1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. カルチャー

いよいよ放送間近! プロデューサーが語るドラマ『宙わたる教室』の見どころ

文春オンライン / 2024年10月1日 6時0分

いよいよ放送間近! プロデューサーが語るドラマ『宙わたる教室』の見どころ

神林プロデューサーと原作者・伊与原新さん

 10月8日(火)より、窪田正孝さんを主演に迎え、放送がスタートするNHKドラマ10『宙わたる教室』。定時制高校に集った、背景も年代もさまざまな生徒たちが科学実験に挑み、学会発表を目指すという胸が熱くなる青春ストーリーです。第1話の放送を前に、このドラマを企画、制作した神林伸太郎プロデューサーに、『宙わたる教室』との出会い、ドラマの見所などを伺いました。

――今回のドラマは伊与原新さん『宙わたる教室』を原作としていますが、この本が発売されたのが2023年の10月。原作の発売から約1年でドラマが放送開始、というかなり早いペースで進んだドラマ化ですが、どのような経緯だったのでしょうか。

神林 本当に「出会い」でしかありませんでした。書店で「良い原作がないかな」と探していたところ、『宙わたる教室』の「教室に火星をつくる」というコピーが目について。まずは読んでみようと思ったのが、たしか発売から1週間くらいのタイミングです。実際に読んでみると、子どもの頃に読んだスポ根マンガを思い出すような感動がありました。さらにあとがきで、大阪の定時制高校で実際にあった話に着想を得たということを知って「本当にこんなことがあったんだ」とまた感動し……発売から10日以内には、自分のなかではドラマ化を決めていました。

――脚本、制作の座組などはどのように進んでいったのでしょうか。

神林 自分としては、2025年の放送を目指して作りたいと思っていたんですよね。しかし2024年の10月から放送で進めることが決まり、昨年末のうちに脚本の澤井香織さんにお声がけして、大至急プロットを作ってくださいとお願いしました。制作に関してはNHKに企画を出したタイミングで、ランプという制作会社にお話していたのですが、プロデューサーの橋立聖史さんと演出の吉川久岳さんもそれぞれ偶然に同じ原作を読んでいたんです。お二人から「こちらからも『この原作はどうか』と神林さんに相談しようと思っていたんです」と言われ、これはもう運命ですね、ということで、一緒にやることになりました。

原作者・伊与原さんと共に作り上げた

――NHKドラマ10での放送となりましたが、原作が7章構成なのに対してドラマ10は10話の枠です。脚本を拝読すると、特に7話目はオリジナルの展開が主になっていますが、限られた時間のなかで原作にないオリジナルの展開を入れるのは大変だったのではないでしょうか。

神林 そこは、かなり原作の伊与原先生にご相談をさせていただきました。実際にお目にかかって、それぞれのキャラクターのバックグラウンドや、原作のラストの更にその先の展開などをお聞きして、結果、主人公で科学部顧問の藤竹のキャラクターを膨らませるのがいいのではないかという話になりました。原作は羅針盤のようなものなので、原作にある話を脚本にしていくのは比較的スムースにできるんです。しかし、原作にはない話を脚本に落とし込むのには、とても苦労しました。オリジナルの話を作る中で、改めて原作の緻密さに気づき、伊与原さんはすごいなと実感しました。

 今回、制作期間が短かったこともあって、伊与原さんに対しては正直ベースでいこうと決めていたんです。悩んでいることや原作を改変する必要がある部分は、ぜんぶ正直に伊与原さんに話そうと。それに対して、伊与原さんは親身に相談にのってくださり、また我々が不得意な科学に関する資料を送ってくださったりと、一緒にドラマを作り上げているという実感があり、本当に感動でした。

 

――脚本の作成やキャスティングも進めつつ、神林さんご自身でもリサーチのためにいろいろな取材をされたと伺いました。印象的だったことはありますか?

神林 最初は橋立プロデューサーと二人で取材を始めたのですが、夜間中学校を描いた山田洋次監督の映画『学校』の影響もあって、私たちは定時制高校には岳人みたいなちょっとやんちゃな人や年配の人たちが多いようなイメージをもっていたんです。でも取材に行くとそうではなくて、年配の方は昔より減っていたり、現役の高校生だけど様々な理由で全日制に行けない生徒が多かった。定時制の在り方が変わっているという印象を受けました。

 また、原作のクライマックスにあたる日本地球惑星科学連合の大会にも伺いましたが、そこに参加している高校生たちの熱量には驚きましたね。『宙わたる教室』の感想コメントで「科学版スラムダンク」というのがありましたが、まさにそれを感じさせる盛り上がりでした。ドラマのなかで、クライマックスシーンをどう熱量を持って描くかということは課題としてあったので、その場にいるみんなが本当に純粋に科学のことを熱く語っている、という状況はすごく参考になりました。

いかに「本物」を感じてもらえるか

――放送が近づき、キャストやキービジュアルが明らかになっていくうえで、すでに原作を楽しんだ方のなかでも、ドラマに対する期待度がどんどん上がっているのを感じます。これからドラマをご覧いただく方に、神林さんから伝えたいことはありますか。

神林 原作がすごく感動できる作品なので、とにかく自分が最初に読んだときの感動をどうしたら伝えられるか、その感動を1ミリも減らしたくないという考え方で作ってきました。今も、作中に出てくる科学実験の撮影にはとても苦労していますが、この小説をドラマにする意味の一つとして、読んだだけではイメージしにくい実験の部分をちゃんと映像化することが大切と思っていて、そこにかなり力を入れました。原作をすでに読んだ方にも「こういうことだったのか」と分かってもらえるし、科学にもっと興味をもってもらえるだろうと。サイエンスプロデューサーのでんじろう先生や多くの専門家の方にもご協力いただいているので、実験そのものも面白いものになっているかなと思います。

神林 このドラマを作るうえで、注力しているのはとにかく、「いかに本物を感じてもらえるか」ということです。実験も本物に見えるように、作中にでてくる発達障害や病気についてもちゃんと本物に見えるように。原作が実際にあった話に着想を得て生まれた物語なので、定時制の高校生たちが本当にこういう状況にいて、しかもその状況の中で逆境を打破して一つの成功を勝ち取ったんだ、ということがリアリティをもって受け止めてもらえるように描いたつもりです。ぜひご覧いただけますと幸いです。

INFORMATIONアイコン

放送予定:2024年10月8日(火)スタート〈全10回〉
総合テレビ 毎週火曜 夜10:00〜10:45
BSP4K 毎週火曜 午後6:15〜7:00
[再放送] 総合テレビ 毎週金曜 午前0:35〜1:20 ※木曜深夜
原作:伊与原新 「宙わたる教室」
脚本:澤井香織
音楽:jizue
主題歌:Little Glee Monster「Break out of your bubble」

出演:窪田正孝  小林虎之介 伊東蒼 ガウ
田中哲司 木村文乃/中村蒼  イッセー尾形 ほか

ドラマ公式HP   https://www.nhk.jp/p/ts/11GMGMRG5V/

(第二文藝部/文藝出版局)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください