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「カルトだよ。危ないよね」石破茂新体制を生んだ“究極の選択” 自民党議員たちが高市早苗を選ばなかった“想像以上の嫌悪感”とは

文春オンライン / 2024年10月1日 7時0分

「カルトだよ。危ないよね」石破茂新体制を生んだ“究極の選択” 自民党議員たちが高市早苗を選ばなかった“想像以上の嫌悪感”とは

自民党総裁選を終え、あいさつする石破茂新総裁 ©時事通信社

 自民党総裁選は石破茂氏が5回目のチャレンジで総裁になった。決選投票に石破氏と共に進出したのは高市早苗氏。高市氏は1回目の投票では国会議員票、地方票ともに石破氏を上回ったが、決選投票では21票差の僅差で石破氏に敗れた。

 世論調査や報道を見ている限りでは高市氏は一気に伸びてきたように見えたし、そのように解説されていた。しかし高市氏は本当に「途中から伸びた」のか? 実は最初から支持は高かったのではないか?

 そうした仮説で考えてみるといくつか興味深い記事があった。まずは東スポだ。

『高市早苗氏支える“選挙の神様”の票読み「石破さんよりは議員は掌握している」』(9月26日)

 投開票前日の記事だ。話しているのは選挙プランナーの藤川晋之助氏。「自身が支援する高市氏の勝利に自信を見せた」とある。藤川氏は東京都知事選で前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏の選挙参謀を務めた。

「『高市』と言うとバッシングが起きるから、みんな黙っている」

 石丸氏が2位となり“石丸現象”と言われたのは記憶に新しい。藤川氏は今回石丸氏の時と同様に大手コーヒーチェーン「ドトールコーヒー」の鳥羽博道名誉会長から「高市を頼む」と要請され、支援することになったという。

 藤川氏は高市氏の国会議員票について「高市さんは30って言われてるけど。『高市』と言うとバッシングが起きるから、みんな黙っている」と語る。そして「石破さんよりは議員は掌握していると私は読んでますけどね」。

 私はこの部分を読んで2016年の米大統領選の際に言われた「隠れトランプ」を思い出した。表立っては言わないけれど投票になるとこっそりトランプに投票するというアレだ。今回は「隠れ高市」が多かったのだろうか。実際、1回目の議員票は72票で予想された数字よりもかなり高かった。

 高市氏は議員票だけでなく地方票も多かった。党員・党友票を伸ばした背景についてスポーツ報知は2点挙げている(9月28日)。

1. 保守系団体「日本会議」が「安倍晋三元首相に代わるスターに押し上げた」(高市陣営関係者の分析)

2. 都知事選で善戦した石丸氏の参謀役を担った選挙プランナー・藤川晋之助氏の存在

 この2点については同日の朝日新聞も書いていた。高市氏側は総裁選を見越し、地方票の掘り起こし戦略を検討。毎週末に全国各地の講演会に出向いていたという。注目は次だ。

小泉氏の答弁能力に不安を感じて高市氏に...

《保守系の運動団体「日本会議」と連携する地方議員たちも支援に回った。》

 そして高市氏のネット上での人気の高さも挙げ、都知事選で石丸氏を支援した民間スタッフ約50人が、SNS上での拡散に寄与したと陣営関係者が明かしている。

 読売新聞も高市氏について『ネット・地方重視奏功』と書いた。ネット動画で「都市部の党員への浸透も図ってきた」という陣営の証言があった。

 現場で取材している人はどう分析しているのか。ジャーナリストの鈴木哲夫氏に疑問をぶつけてみた。

 鈴木氏は「取材してる限りではやはり高市さんは急に伸びた。いわゆる敵失です。小泉進次郎さんが落ちてきたことが大きい」と語る。小泉氏の答弁能力に不安を感じたので高市氏に乗り換えたという人が多かったという。

 なるほどやはり途中から伸びたのか。ちなみに地方票では依然として石破氏が強く、高市氏に目を見張るべきは都市部の強さだとも。

ある議員は高市氏の勢いに「カルトだよ。危ないね」と...

 ではなぜ高市氏は決選投票で石破氏に逆転されたのか。読売新聞は『「反高市票」流れる』とし、“党内随一のタカ派” “高市氏の保守強硬的な主張”に対して「初回投票の結果を見てまずいと思い、石破氏に流れた票もあるはずだ」との自民議員の声があった。

 朝日新聞は「高市氏が首相になれば、戦後の外交・経済が全部ふっとぶ」(党幹部)という危機感から僅差での敗北につながった可能性があると書く。

 東京新聞には投票日ドキュメントがあった。

 その中で衆院第2会館でおこなわれた石破氏と河野太郎氏の出陣式の会場から出てきたある議員は、高市氏の地方票が伸びているとのマスコミの調査結果を受け、記者団に「もうちょっと離したい。カルトだよ。危ないよね」と警戒感をあらわにしたとある。カルトという言葉まで出てきた。

「石破氏は高市氏との『究極の選択』で議員支持を得ただけ」

 あまりに右に傾くことにマズいと感じた自民議員が「好きじゃないけど石破に投票」だったということか。実際「石破氏は高市氏との『究極の選択』で議員支持を得ただけで、党内に人望があるわけではないことを政権運営で肝に銘じるべきだ」(政府高官・読売新聞)というコメントもあった。決選投票が究極の選択だなんて!

 今回の総裁選では、自民党の伝統的な知恵が働いたのだろうか。与党で居続けるための「悪知恵」と言ってもよい。今まで党内で野党的な立場とみられていた石破茂氏なら党の印象を変えられるという、選挙をしのぐためだけの「看板の掛け替え」にも思える。

 しかし石破氏は世論に近いことを言いつつ、すぐにブレる印象もある。党内にばかり顔を向けるようになれば世論はすぐに気づく。今までの批判精神を発揮できるかが問われる。

 それでいうと私が石破発言で注目するのは「日米地位協定の見直し」だ。地位協定の特権によって、米軍関係者が日本国内で事件や事故を起こしても日本側が十分に捜査できないなどさまざまな問題が生じている。理不尽の塊である。見直すことができれば画期的だ。

石破氏に電話で直接取材!返ってきた答えは...

 しかし総裁選翌日に、読売新聞政治部長はこう釘を刺した。紙面上で石破氏に対し、《こうした意向が伝わるだけで日米同盟の信頼に影を落とし、日本の抑止力、外交力が低下しかねない。早期に軌道修正し、懸念を払拭するメッセージを出すことが不可欠ではないか。》と修正を求めたのだ。石破氏がブレる予感がプンプン。

 すると偶然なことに私は総裁選翌日に石破氏に直接質問をすることができた。前出の鈴木哲夫氏と時事通信の山田惠資(けいすけ)氏を招いて自民党総裁選と立憲代表選を総括するイベントをやったのだが、ライブ中に鈴木氏が石破氏に電話をかけたら本人が出たのだ。

 私は「日米地位協定を本当に見直しますか、ブレませんか」と問うと石破氏は「ブレません」と言った。党内にばかり顔を向けることもない、と。

 言質がとれてしまった。ブレたら「公約違反」である。

 その一方で解散は国会論議を尽くしてからと言っていた石破氏だが10月27日の投開票という早い日程で動き出している。言ってることがもう変わり始めているように見える。

 本日石破氏は首相に選出されるが、裏金や旧統一教会問題も含めてなぜ岸田政権が退陣せざるを得なかったかを忘れ、おまけに主張がブレ始めたら早期退陣の匂いすらある。あ、まだ首相に就任していないうちからすいません。

(プチ鹿島)

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