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「200万くらい儲かったかな」“三重県の売春島”に借金のある女性を売ったことも…日本初の女ヤクザが明かす「暴力団のビジネスモデル」

文春オンライン / 2024年10月20日 11時0分

「200万くらい儲かったかな」“三重県の売春島”に借金のある女性を売ったことも…日本初の女ヤクザが明かす「暴力団のビジネスモデル」

知られざる暴力団のビジネスモデルとは? ©細田忠/文藝春秋

〈 エリート家庭のお嬢様→少年院にも入る筋金入りのワル→“日本初の女ヤクザ”になった西村まこ(58)の壮絶人生「学校のテストは100点以外なら竹の棒で体罰」 〉から続く

「主なシノギとしては、借金の取り立てやら恐喝やら覚醒剤の販売やら、あとは女の子を風俗に沈めたりしていましたね。当時、三重県に売春で栄えている『売春島』というのがあって…」

 日本最初の女ヤクザとして認定され、更生を果たした今は岐阜県を中心に暴力団および非行少年の更生支援や、清掃ボランティア活動などに励む西村まこさん。インタビュー第2弾では、「暴力団のビジネスモデル」について直撃。当時の彼女はどうやって飯を食っていたのか?(全6回の2回目/ 最初 から読む)

◆◆◆

ヤクザの収入事情

――ヤクザとして、どんなことで収入を得ていたんですか?

西村まこ(以下、西村) 主なシノギとしては、借金の取り立てやら恐喝やら覚醒剤の販売やら、あとは女の子を風俗に沈めたりしていましたね。当時、三重県に売春で栄えている「売春島」というのがあって、借金を抱えている女の子をそこに売り渡していました。関係者に分け前を渡しても女の子ひとりにつき200万円くらい儲かったかな。

 借金の取り立てのコツとしては、しつこくやることですね。相手の家に毎日毎日行って、近所の人に聞こえるような大声を出せば、相手もしぶしぶ家から出てきてお金を返します。

――毎日か……。ヤクザってまめですね。

西村 本当そうですよね。シャブだって、警察にバレたくないなら自分で全部やるのが一番です。面倒くさがって手を抜くと、そこからパクられるんです。自分で仕入先までシャブを取りに行って、自分でパッケージに小分けして、自分で客に売る。客も厳選してきっちりやっていたので、今までチンコロ(密告)されたことはありません。

――ヤクザって儲かるものですか?

西村 周りのヤクザにお金を貸したりしていたし、私は儲かっているほうだったんじゃないかと思います。ただ、あるだけすぐ使っちゃう性分なので、当時の年収とかは把握していません。

――お金は何に使っていたんですか?

西村 その頃に流行っていたアクセサリーとか服ですね。ファッションには結構こだわりがあって、刑務所でもサンローランのメガネをかけていましたから。もともとはサングラスだったんですが、刑務所に入るにあたってメガネが必要だということで、フレームはそのままレンズだけ入れ替えたんですよ。

 ちゃんと願箋(受刑者が各種の願い出をする際に職員に提出する書類のこと)を書いて正式に許可が下りたのに、1か月くらい経ってから「やっぱりそのメガネは派手だからダメだ」と取り上げられて、あれは納得がいかなかった。

――ヤクザは高級車に乗っているイメージですが、まこさんは車にあまり興味がなかったんですか?

西村 未成年のときに無免許で捕まっているから、そもそも免許を取るのが27歳と遅かったんです。なのでヤクザになってからも自分の車をしばらく持てなくて、会長のベントレーとか、ほかの組員の車をそのつど借りて乗っていました。

初めて入れた入れ墨は80万円

――入れ墨は何歳のときに入れたんですか?

西村 最初に入れたのは18歳です。名古屋で一番有名な司忍さん(六代目山口組組長)と同じ彫荘さんという彫師さんにお願いしました。とても人気の方なので、週2時間しか予約が取れず、両腕の八分袖と身切り(入れ墨と肌の境目)を入れるのに1年近くかかったかな。費用は80万円程度でした。デートクラブを起業して、お金はあったので。

――商才がありますね。

西村 たまたまいくつか当たっただけですよ。でも確かにお金に困ったことはありませんね。お金がないときは、実家のお母さんに連絡してお小遣いをもらっていましたし(笑)。お金が欲しかったというより、「ヤクザとして成功したい」とか「上り詰めたい」という気持ちが強いから結果的に儲けていたという感じです。

――しかし、いくら成功したい気持ちが強くとも、女性ということでヤクザ社会で苦労したことはありませんでしたか?

西村 意外とあまり苦労はしませんでした。事務所の電話当番のとき、電話に出たら「男? 女?」って聞かれるくらいですかね。低い声で「男です」と答えていました(笑)。会長たちからは男のヤクザと全く同じに扱われていたので、逆に、女でやりやすかったこともないかもしれません。部屋住みのときは、ほかの組員と一緒に10人くらいで雑魚寝でした。

女ヤクザゆえに苦労したことは…?

――男性の中に女性がひとり混ざっているということで、ゲスの勘ぐりをされたり、口説かれたりはしませんでしたか?

西村 全然ありませんね。もしかしたら女ということで舐められた場面はあったのかもしれないけど、あまり気づかない性格だし、いちいち気にしていたらやっていられませんから。自分のことは男だと思って、男と一緒にシノギをしていました。

――さすがタフですね……! しかし、「ヤクザ社会で名を上げる」という意味では、一発で覚えられる存在でしょうね。

西村 女のヤクザは私ひとりしかいないらしいので、名は知られていたと思います。上部組織との顔合わせなどで遠い地域に行っても、向こうから声をかけられたりしましたから。電話当番をしているとき、抗争相手から「まこちゃーん」と電話がかかってきたこともありました(笑)。

(原田イチボ@HEW)

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