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石破茂新首相(67)が“完全スルー”を決め込んだ質問とは…就任会見を分析して気づいた「自信がないジャンル」と「ツッコまれたくないこと」

文春オンライン / 2024年10月6日 11時0分

石破茂新首相(67)が“完全スルー”を決め込んだ質問とは…就任会見を分析して気づいた「自信がないジャンル」と「ツッコまれたくないこと」

石破茂新首相 ©時事通信社

 長らく自民党の中で「非主流派」と呼ばれてきた石破茂氏(67)が新首相になり、変わったのか、それとも変わっていないのかが話題になっている。

  そこで第102代内閣総理大臣に指名されて初めての会見を分析すると、石破首相が「自信があること」「不安に思っている分野」「ツッコまれたくないこと」が透けて見えてきた。

 冒頭から15分ほどは「守る」などの基本方針を淡々と説明した石破首相だが、気になったのはかなり頻繁に手元の資料に目を落としていたことだ。

「経済について伺います」と聞かれると資料を何度も再確認し…

 石破首相といえば過去にテレビの生出演も多く、講演や演説でもほとんど資料を見ずに話していた印象が強い。しかし自由に発言ができる「非主流派」から首相に立場が変わり、発言に注意する気持ちが増しているのかもしれない。

 質疑応答でも記者の質問に対して資料に目を落とす場面が多くみられたが、特に経済政策や金融政策の話題では資料に頼る度合いが高く見える。

 記者から「経済について伺います」と言われた途端に視線を落として資料を何度も再確認し、資料をそのまま読んでいるような場面もあった。安全保障や防衛問題とは自信の度合がかなり違いそうだ。

 ながらく安倍晋三元首相の経済政策に異論を唱えて距離を置き、金融政策では日銀の早期利上げを容認すると見られていただけに、「金利についてとやかく申し上げることではございません」と会見での語調は弱く、言葉に力強さはなかった。

 自信の無さは「主語」にも表れていた。

 裏金問題やリニア新幹線の質問では「私自身が」「私といたしましては」と自分の意志や責任を強調するが、経済政策の質問では一貫して「政府として」と答弁の主語が変わり、「私ども」と複数形を使っていた。この問題に関しては、首相になったとはいえ得意分野ではないだけに、自分の言葉で話すことにためらいがあったのだろう。

 首相就任直後に日経平均株価が2000円急落するなど経済界から不安視されていたが、本人も、経済政策を自分で決めるという手ごたえを感じていないのかもしれない。

外交・防衛分野になると身振りも大きくなり「私が」と一人称が復活

 一方で、外交・防衛分野についての質問では、資料を見ることなく質問する記者を凝視して回答した。他の質問よりも長く時間を取り、自信たっぷりに滔々と自らの意見を述べる。

 アメリカや韓国などとの関係について「石破総理ご自身の首脳外交の在り方というのは」と問われると一瞬身を乗り出し、「アメリカの新大統領とどのようにして関係を深めていくのか」と聞かれた時には首を前に突き出すような仕草で食い入るように記者を見つめた。質問への食いつき方からも石破首相自身の関心の高さがわかる。

「私は」と自分の経験に基づく意見を披露し、自然と身振り手振りは大きくなり、石破首相らしい独特の口調も戻っていた。地位協定についても「必要に応じて党における議論というものは求めてまいりたい」と、党の意見よりも自分の意見を優先させるという自信をみなぎらせていた。

 質疑応答では、総裁選中の発言と総理就任後の行動が違う点へのツッコミも入った。まず最初に、幹事社のテレビ朝日から「総理になったら変わっちゃったんじゃないの。豹変するんじゃないの、そうした声がでていますけれども、それにはどうお答えになるか」と問われたが、これは石破首相にとって想定の範囲内だったようだ。

 軽く頷いたり、わずかに頬を緩めたりしながらまっすぐ記者を見ていた。「今回、不信任が可決されたわけでも、信任案が否決されたわけでもございませんが」と答えるときも表情は変わらず、リラックスした独特のリズムで落ち着いた調子だった。

ネガティブな表情を押し殺した“ある質問”とは 

 しかし、衆議院解散について、再度説明を求められた時は表情が変わった。

 指名された北海道新聞の記者は、「国民の皆さんは石破総理というのは、耳に痛くても正論を常におっしゃる、そういう人物だという印象を持っている」とまず石破首相を持ち上げた。それを首相は、首をやや傾け、わずかに頷きながら聞いていた。

 しかし続けて解散総選挙について「総裁選のときに言っていることとやはり違うというのが大方の受け止め」と問い詰められると、俯いて視線を伏せ、口元を一文字に結ぶ厳しい表情になった後、少しだけ歯を見せて微笑んだのだ。

 苦笑いにも見えるこの表情には、ネガティブな感情を押し殺した気配が読み取れる。自身の発言を翻したことを、本人も良しとは思っていないのだろう。

 しかし、すぐに固い表情に戻った石破首相は解散については回答せず完全にスルーした。司会者が次の言葉を発するまでしばらく間が空いたが、石破首相は質問されたことすらなかったかのように振舞った。

 野党議員との面会で「本音を出すと国民は喜ぶ、党内は怒る」と愚痴った石破首相だが、やはり自分の信念と党内の論理の狭間で、完全に納得した運営ができているわけではないようだ。そのフラストレーションが、会見の表情からも滲んでいた。

(岡村 美奈)

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