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「負けたら石破の責任、勝ったら裏金はチャラ...」石破茂(67)は自分が“使い捨て総裁”だといつ気づくのか

文春オンライン / 2024年10月8日 6時0分

「負けたら石破の責任、勝ったら裏金はチャラ...」石破茂(67)は自分が“使い捨て総裁”だといつ気づくのか

石破茂総裁 ©時事通信社

 過去の自分が殺しに来る。以前読んだ雑誌にあった言葉だ。ひとことで言うならおじさんのアップデートについてだった。おじさんは過去の自分と直面させられることもあるはず。ならば開き直るのではなく、せめて今日からは変わろうとするしかない。おじさんの分岐点について考えさせられた。

 さてそんな意味とは別に「過去の自分が殺しに来ている」のが石破茂氏ではないか。

 自民党総裁になった直後、私は石破氏がこれから戦うのは野党ではなく過去の自分だろうと思った。今までの党への批評や提言を実行できるかチェックされるからだ。

 すると、ブレにブレた。石破氏は総裁になる前は解散総選挙について国会論戦が重要とし、早期解散に慎重だった。ところが、総裁になった途端に衆院選を「10月27日投開票」とする方針を表明した。さっそく“自民党に取り込まれた”のである。

 10月4日には『裏金議員を原則公認へ 首相、比例重複も容認 衆院選』(朝日新聞)と報じられた。総裁選の最中には公認しない可能性も示唆していたので、ここまで変わるかと感嘆すらした。

「ブレません」と言った“重要政策”も...

 政策に目を向けると、石破氏は「日米地位協定の見直し」について言及していた。私は総裁選翌日にジャーナリストを招いてライブをやったのだが、ライブ中に石破氏に電話がつながり「日米地位協定を本当に見直しますか、ブレませんか」と問うと石破氏は「ブレません」と言った。

 しかし、所信表明演説では日米地位協定には触れなかった。選択的夫婦別姓については導入に前向きな考えを述べていたが、公明党との連立政権合意では記載が見送られた。

 かなりのヨロヨロ具合だが、実はこの展開は予想できていた。

 政界で活動する人物たちを、長年ウォッチしてきたからである。よく「政局より政策を!」と言う。当然だと思うが、人の動き(政局)も見ておかないと政策もわからない。政策だけを見ていたらコロリと騙される。政局を通じて人物を見ておくのも大切だ。

石破氏の「優柔不断さ」が予想できた、あの“安倍晋三との一騎打ち”とは

 それでいうと石破氏はわかりやすい。一例をあげると2018年の総裁選で安倍晋三氏と一騎打ちとなったとき、石破氏は「正直で公正、謙虚で丁寧な政治をつくる」と主張。森友・加計問題を念頭に安倍晋三首相を批判したと報道された。

 すると党内から「個人攻撃だ」と言われ、石破氏はそのフレーズを言わなくなったのだ。「正直・公正」と言うと叱られる自民党の状況がやたら面白かったのだが、一方で石破氏の優柔不断さを痛感した。だから今回も予想できた。

 しかしここまで総裁選と言っている内容が違うと、あらためて「総裁選とは何か」について考えねばならない。アレはやはり自民党のPRイベントであり“興行”だろう。候補者は聞こえの良いことだけをひたすら言えばよく、自民党が変わるかのような雰囲気をせっせと作り出す。

 罪深きはそれらの空論を垂れ流したメディアの共犯ぶりではないか。テレビ局の多くは特定政党に電波ジャックをさせ、一方的な言葉のばらまきを許したことにならないか。総裁選直後の世論調査で「自民党の支持回復」と報じるメディアもあったが、PRを流し続けたらそりゃそうなるだろう。

総裁選の主張は「営業トーク」だったのだ

 総裁選での論戦がいかに適当だったか証拠を出そう。石破陣営は日米地位協定の見直しについて「総裁選ではライバルとの違いを際立たせるため、主張を先鋭化させた」と語っている(読売新聞10月2日)。つまり営業トークだったのだ。

 石破氏自身も野党各会派へのあいさつ回りをした際に「石破カラーを出して頑張ってください」と声をかけられると、「出したらぶったたかれるでしょ」「出すと国民は喜ぶ、党内は怒る」とあっさり語っていた。自分が総裁になっても自民党は変わらないと告白したのと同じだ。メディアは次回の総裁選報道をきちんと考えたほうがいい。いかにその場でちゃんと問えるか、ツッコめるかを。

 石破氏は過去の自分が殺しに来ていると気づいたほうがいい。さらに気づくべき点もある。

 石破氏はこの10年以上、ずっと自民党内で嫌われていたから今回総裁になれて良かったねと喜んだ人もいるだろうし、もしかしたら本人もそうかもしれない。しかし総裁になった今こそ最大の意地悪をされているのではないか? 

負けたら「石破氏の責任」勝ったら「裏金問題はチャラ」?

 誰が総裁になっても苦戦したであろう次の衆院選。負けたら石破氏の責任であり、勝ったら裏金問題は無くなると期待している人がいる。どっちみち使い捨てなのである。この状況にいつ気づくのか。

 ほんの1年前、石破氏は総裁候補としてはもう終わった人だとみられていた。しかし自民党派閥の裏金問題が発覚し、党内の端っこにいた人間に再び目が向けられた。自分で這い上がったのではなく他力で浮上しただけなのである。

 それも政治家の運だというなら、石破氏には裏金問題の対応こそ注目されていた。しかし党内にあっさり取り込まれて世論は呆れた。

 さてここまで書いたらこんな速報が流れてきた。

『石破首相、裏金議員の重複立候補認めぬ方針 一部は非公認も 衆院選』(毎日新聞WEB・10月6日)

《自民は裏金議員について、原則公認し、比例代表との重複立候補も原則容認する方向だったが、世論からの強い批判を背景に、石破首相が党内を押し切った形だ。》

 非公認は代表的なところでは萩生田光一氏が該当する。石破首相はこの1週間の世論の呆れっぷりにさすがにマズいと気づいたのだろうか。ただ、またしてもブレて最初に戻っただけとも言える。ややこしい。

 どうせ党内から嫌われていると開き直れるのか、それともまた新たにブレるのか。しばらく注目です。

(プチ鹿島)

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