「カリスマ主婦と呼ばれた私が2度の離婚、もうダメだ…」それでも岡田美里が60歳で3度目の結婚をした理由
文春オンライン / 2024年10月26日 6時10分
〈 「父はお酒の量が増えると暴れて、母は16歳のときに家を出ていきました」岡田美里が温かい結婚生活に憧れた幼少期の“ツラすぎる思い出” 〉から続く
2度の離婚を経て、20代の頃付き合っていた男性と60歳を過ぎてから3度目の結婚をした岡田美里。様々な経験をして自身の人生を振り返ってもらうと……。(全3回の3回目/ #1 を読む、 #2 を読む)
◆◆◆
昔の彼氏で唯一思い出せた相手が今の主人だった
――2022年、60歳のときに現在の旦那さんと再々婚されましたが、どのようなタイミングでお付き合いがはじまったのでしょうか?
岡田 私も何回も結婚して離婚して(笑)、もちろん結婚している間はちゃんと真面目に結婚生活を送っていたので、誰かを思い出すとか一回もなかったんですよ。でも2回離婚してシングルになったとき、こんなね、カリスマ主婦と呼ばれた人が2回も離婚して、もうダメだ…って落ち込んでいたら、当時のマネージャーさんに言われたんです。「みりさん。昔の彼氏でもいいから恋をしてください。誰か独身で思い出せる人はいないんですか?」って。それで思い出したのが今の主人だけ、唯一私を振った人だったなって。振られるまで一度も喧嘩もなくて、いつもニコニコしていて優しくてすごく印象の良い人だったんですけど、突然お別れしちゃって。この話をマネージャーさんにしたら「その人にしましょう」と言って、マネージャーさんが連絡先をみつけてくれたのがはじまりですね。
彼とは18歳のときに知り合って、私と彼ともう一人の友達3人でずっと仲良くしていて、お付き合いがはじまったのは24歳くらい。お別れしたのが26歳だったと思います。
――1回も喧嘩したことがなくて、なぜ突然お別れしてしまったのでしょうか?
岡田 「結婚してください」って言われたんですよ、彼に。でも私は当時、『徳光和夫のTVフォーラム』という情報番組にレギュラーで出させて頂いて、半年くらいしか経っていないときに「結婚して」って言われたんです。彼はイギリスに転勤が決まっていたので一緒に連れて行きたかったようですが、当時は婚前交渉という言葉があるくらいの時代で、アシスタントの人が結婚するとか言いにくい。プロデューサーにも絶対言えない!って言っちゃったんです。もちろん、あなたのことが嫌いという意味ではなくて、今はまだできないっていう意味だったのに、彼は僕とは結婚できないって思っちゃったみたい。私が大泣きしている横でぷいっと向いていなくなっちゃって。携帯もない時代だったのでそれっきりでした。
――その後、約20年ぶりに再会してみていかがでしたか?
岡田 全然変わってなかったですね。ただ、彼はすごくクサクサしていました。僕はこのまま独身で、将来は田舎に引っ越すから一人で住む家を何年もかけて探してるんだとか、ドライブしながらずっと言ってて。私も離婚して落ち込んでるはずなのに、なぜか励ましちゃって。
でも、ここからまた連絡を取り合うようになって、結婚まで12~13年付き合いました。
――すぐに再婚を考えていたわけではなかったのですね?
岡田 彼は私とは正反対というか、ものすごく慎重な人なんですよ。私の娘たちとも仲良くしてくれましたが、もう結婚まで考えてなかったんじゃないかな。私も2回も結婚していたからパートナーさえいればいいかなと思っていましたし。でも長くお付き合いが続いていくなかで子どもたちも自立していって、2人だけで会う時間が増えてくると、そろそろ一緒に住みたいねといった話も出てきていたんです。ただ、そうこう言っている間に母の介護が始まりました。母はパーキンソン病を患ったので、介護の環境を考えて母と二人で山梨に移住することになったんです。
――東京と山梨の遠距離でのお付き合いをすることに。
岡田 約4年間は東京と山梨を行き来していて。でも、あるときお互いが倒れたときはどうなるんだろうといった話になってから、自然と結婚の話が進みましたね。結婚して3カ月後に61歳になりました。
自分たちだけの、毎日どう楽しく生きるかしか考えない結婚
――今までの結婚と違うと感じるところはありますか?
岡田 子どもたちの成長のためにとか、出産を考えてっていうのがもうないじゃないですか。自分たちだけのために結婚を考えて、恋だのなんだの言う感じでもないですし。寝るときもダブルベッドじゃなきゃ嫌だってこだわりもなくて、できれば別がいいよねって、今も離れて寝てますよ。すごく仲はいいけどお互いを尊重しているような感じもあって、友達と暮らしているような感覚ですね。喧嘩もほとんどないですし
あと、結婚に夢を持ってる方がいらっしゃったら申し訳ないんですけど…。結局若いときの結婚って、夢を見過ぎているから喧嘩もするし、失望したり、衝撃を受けたりの連続で、そこに子育てが加われば考え方の違いも生まれるかもしれない。でも、今はそうした会話も一切ないし、毎日自分たちがどう楽しく生きるかしか考えない結婚なので、今までと全然違いますね。
――ところで岡田さんはアトリエ教室や紅茶専門店、のちに山梨でジャム工房など次々に起業されています。一番初めに起業されたのは下のお子さんが幼稚園児のときだったそうですね。
岡田 当時、雑誌の撮影をたくさんしていて、撮影がある日は住み込みのお手伝いさんが子どもの送り迎えをしてくれたんです。でも、子どもが「ママ、今日はどこのスタジオ?」って不安そうな顔で聞いてきて、幼稚園児なりに今日はママがいないってわかるんですよね。その顔を見ていたら、この子のために働き方を変えなきゃいけない。どこにいるのかわからないんじゃなくて、「ママはここでお仕事してるのよ」って安心させてあげなくちゃいけないと思って、雑誌の表紙もぜんぶ辞めて、お料理教室を開くことにしました。これなら時間通りに終われるし、自分でお迎えにも行けるじゃないですか。ただ、ひっそりやろうと思っていたら、自分がそこまで認識していなかったんですけど、当時カリスマ主婦と呼ばれていたので、申し込み初日で4年後まで予約が埋まっちゃってすごい誤算!え?私4年後まで働かないとダメなの?となっちゃったんですけど。
――お子さんたちと過ごす時間も確保しつつ。
岡田 お仕事が増えていくと地方に行くことも時々あって、家を空けてしまう日もありました。展示会にお母さんと娘さんが一緒に来る姿を見ると、私もこんな風に親子で買い物に行きたいなって羨ましく思ったことはありましたね。でも、逆にほどよく放任というか、お母さんが家に居ない時間に子どもたちの友達もワンサカきていたので、あんまり寂しいと思ったことはないんじゃないかな。子どもの友達もみんな私のことが大好きで「みり!」って呼び捨てにされるくらい(笑)、みんなで仲良くしてましたよ。
「今までいろいろ経験できたことは財産だと思っています」
――お仕事もプライベートも常に充実されている印象があります。
岡田 アップダウンもありながら、結局いつもうまくいってるような気はします。子どもたちも私が大変なときもみているから、協力的ですし。いつも動いてるし、常になにかやってる人って思ってるんじゃないですかね。
ふりかえるとずっとジェットコースターのような人生でした。我ながら感受性がより豊かになって、ふとしたことでも涙腺が緩んでしまうこともあります(笑)。たとえば歌を聞いても涙ぐむこともありますよ。今演歌の番組の司会をさせていただいていますが、今までいろいろ経験できたことは財産だと思っています。
写真=山元茂樹/文藝春秋
(松永 怜)
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