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「自分のリズムが乱され先輩方の胸を借りるつもりで…」配達員役に挑んだ高橋文哉が抱えていた“不安”《映画『あの人が消えた』》

文春オンライン / 2024年10月12日 6時0分

「自分のリズムが乱され先輩方の胸を借りるつもりで…」配達員役に挑んだ高橋文哉が抱えていた“不安”《映画『あの人が消えた』》

「次々と人が消える」と噂されるマンションを舞台に、怪しげな住人の秘密を知ってしまった配達員が事件に巻き込まれていくエンタメミステリー『 あの人が消えた 』(全国公開中)。監督は人気ドラマ「ブラッシュアップライフ」などで知られる水野格、主人公の配達員を高橋文哉が演じる。初タッグを果たしたふたりに、撮影の舞台裏を語ってもらった。

◆◆◆

着想を得たのはコロナ禍

―今回、監督は自身の体験に着想を得てオリジナル脚本を執筆したそうですね。

水野 アイデアを着想したのは2020年です。当時、コロナ禍で在宅を余儀なくされ、同じマンションの住人たちと顔を合わせる機会が増えました。こんな人が住んでいたのかと新鮮に感じる一方で、自分は隣人について何も知らないことに改めて気づいたんです。極端な話、隣の部屋でバラバラ殺人がおこなわれている可能性もなくはないし、逆にすごく良い人が住んでるのかもしれない。

高橋 たしかにそうですね。

水野 さらに、ずっと家にいるものだからAmazonの利用回数が増え、配達の人が毎日家に来るようになりました。僕の部屋は玄関から居室が丸見えで、応対するたびに生活を覗かれている気分になったんですね。ほかの部屋も同じ間取りだろうから、マンションの住人たちについて一番詳しいのは配達員かもしれないな、と。この人が、各部屋の玄関の隙間から得られるわずかな情報をもとに、住人の異変に気づいたら……などと妄想しているうちに映画の企画になっていました。

配達員さんのことを毎回観察

―高橋さんは配達員を演じるのは初めてですよね。

高橋 出演が決まってからは、家に来る配達員さんのことを毎回観察していました。いつもは置き配や宅配ボックスを利用することが多いのですが、帰宅時間をお伝えして、対面で受け取るようにして。

水野 文哉くんがいたら配達員さんも驚くだろうね。

高橋 伝票にある名前と顔を見比べて「あっ!」と言われたことはあります(笑)。

監督と同じイメージを共有できているか

―高橋さん演じる丸子は、コロナ禍でエッセンシャルワーカーに興味を持って配達員のバイトを始める真面目な大学生です。曲者揃いのマンションの住人に比べるとキャラクターの個性が弱く、逆に役作りがむずかしそうな印象を受けました。

高橋 ここ2年ほどは原作モノの作品に出演させていただくことが多く、オリジナル脚本は久しぶりだったんです。原作がないぶん、監督と同じイメージを共有できているかの答え合わせが撮影初日までできない不安はありました。

水野 僕が考えていた丸子は誠実でひたむきな青年。文哉くんは最初からそのイメージに限りなく近い芝居をしてくれたけど、撮影初日は正解がわからないままやってるみたいなところがあったよね。

高橋 はい、ありました。

水野 そこで初日か2日目に丸子のテンションについて意識のすり合わせをしました。たとえば、丸子はどんな仕事にも真摯に取り組むタイプで、仕事中は溌剌としてるんだけど、実は生活に疲弊している部分もあって……とか。

高橋 「少し疲れている感じが歩き方に出ると良いよね」といった細かなアドバイスをくださって。おかげで2日目、3日目には丸子役が板についてきた実感がありました。

見ごたえある住人と、丸子のやりとり

―袴田吉彦さん、坂井真紀さん、染谷将太さんらが演じる個性豊かなマンションの住人と、丸子のやりとりも見ごたえがありました。

高橋 実在するマンションで撮影したので、僕は本物の配達員のように先輩方がいる部屋を訪ねていくわけです。みなさんそれぞれに独特のリズムを持って芝居する方々ですから、入れ代わり立ち代わりご一緒するうちに、自分のリズムがどんどん乱されていくのがわかりました。この役においてはそれが心地良く、先輩方の胸を借りるつもりでお芝居させていただきました。

水野 そんな中で文哉くんの芝居もどんどんブラッシュアップされていったよね。文哉くんのそういう素直で勤勉な姿勢が丸子とうまくリンクしていたと思います。

みずの・いたる 1989年、愛知県出身。2023年、ドラマ「ブラッシュアップライフ」が国内外で数多くの賞を受賞。近年は海外にも活動の場を広げ、2022年に企画・監督した日英共同開発ドラマ「名探偵ステイホームズ」が国際的な評価を獲得。その他の演出作に「ダマせない男」(22年)、「侵入者たちの晩餐」(24年)など

たかはし・ふみや 2001年、埼玉県出身。2019~20年の特撮ドラマ「仮面ライダーゼロワン」で飛電或人/ 仮面ライダーゼロワン役に抜擢。以後、話題作に次々と起用される。主な出演作は映画『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』(24年)、『からかい上手の高木さん』(24年)など。『少年と犬』が25年に公開予定。

INTRODUCTION

社会現象化したドラマ「ブラッシュアップライフ」(23年)の水野格が、オリジナル脚本で挑んだ。とあるマンションを舞台に、怪しげな住人の秘密を知ってしまった配達員が事件に巻き込まれていくミステリー・エンターテインメントだ。主人公に『交換ウソ日記』で今年、第47回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した高橋文哉。職場の先輩を演じるのは、「おっさんずラブ」などで圧倒的な存在感を放つ田中圭。高橋との名コンビぶりが注目だ。

 

STORY

「次々と人が消える」と噂されるマンションの担当になった配達員・丸子(高橋文哉)。住人の小宮(北香那)に憧れを抱く一方で、挙動不審な住人・島崎(染谷将太)に小宮のストーカー疑惑が持ち上がる。丸子は会社の先輩・荒川(田中圭)の協力を仰ぎ、住人たちに聞き込みを開始。沼田(袴田吉彦)や、長谷部(坂井真紀)から「島崎の部屋に血だらけの女がいた」という目撃情報を聞く。小宮を守りたい一心で部屋に侵入した丸子が目にしたのは衝撃的な光景だった。

 

STAFF & CAST

監督・脚本:水野格/出演:高橋文哉、北香那、坂井真紀、袴田吉彦、菊地凛子、染谷将太、田中圭/2024年/日本/104分/配給:TOHO NEXT/©️2024「あの人が消えた」製作委員会

 

杉山秀樹=写真
Shinya Tokita=スタイリング
KATO(TRON)=ヘアメイク
衣装協力:チノ、カーディガン、パンツ(モールド)

(岸良 ゆか/週刊文春CINEMA)

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