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伊藤万理華は最新主演作『チャチャ』でなぜ「俳優として築き上げたものを全部壊す」必要があったのか?

文春オンライン / 2024年10月13日 11時0分

伊藤万理華は最新主演作『チャチャ』でなぜ「俳優として築き上げたものを全部壊す」必要があったのか?

 今作では、人目を気にせず自由奔放に生きる主人公を演じた伊藤万理華。「これまでの自分をすべて壊して挑んだ」というチャチャの役づくりと演じることへの想いを聞いた。

◆◆◆

役に親近感を覚えたけど、役づくりは今までで一番苦労した

――脚本を読んでチャチャというキャラクターをどう思われましたか?

 自分の中にも、まわりにどう思われようと自由に自身を謳歌するチャチャと同じ素質があると感じました。でも一方で、そんなチャチャを俯瞰して見る目線もあります。ただ、どちらかを選べと言われたら、私はきっとチャチャである自分を選ぶと思います。それほど役に親近感を覚え、絶対にやりたいと思いました。

――では、役づくりにはそれほど苦労されなかった?

 それが、今までで一番苦労しました。撮影初日までに、自分の中にチャチャ像をつくっていったのですが、酒井(麻衣)監督に「全部違う」とバッサリ切られたんです。

 チャチャを演じるのには、それまで自分がやってきた役との向き合い方がまったく通用しなかった。今まで俳優として築き上げてきたものを一度全部壊さないとできなかったので、そこは本当に難しかったです。

赤ちゃんのように真っ白な気持ちでやろうと

――具体的にはどのようなリクエストがありましたか?

 酒井監督からは、手の動きひとつから表情、声色まで徹底的に直していただきました。それでいて「伊藤さんのままで演じてください」という、一見矛盾していると思えるリクエストも……。自己表現はこれまでもやってきましたが、お芝居で「そのまま」ってどうやるのだろう、と苦しみました。

 結果、赤ちゃんのように真っ白な気持ちでやろうと決めて、妥協しない酒井監督に必死でついていきました。

――大変な現場だったのですね。

 酒井監督のアドバイスを受け、これはきっと、これまでの私の延長線上ではなく、越えないと次にいけない壁なんだろうなと感じました。

 私自身が個展を開いてきたこともあって、『サマーフィルムにのって』(21年)以降は、作り手側を演じさせていただくことも多かったのですが、今作は、いい意味でその確立されたものを一度すべて壊す、よい機会になったと思います。

――チャチャのようにまっすぐに、好きなものや人に向かって生きることに、伊藤さんは共感されますか?

 共感します。いいなと思った感情を無視せず、なぜそれをいいと思うのかを深掘りして探り続ける。それによって自身の感情の源泉が見えてくるので、自分という人間が理解でき、もっと自分を好きになれると思っています。

チャチャに思い出させてもらったこと

――好きな人に振り向いてもらえない、思うような仕事ができないこともあります。そんなときも自分を好きでいられるものでしょうか。

 私はずっと、ゼロから何かを生み出さないと価値がないと考えて、自分がそれをできないことに劣等感を抱いていました。でも私にはつなぐ力があるのではないかと思えたときに、肩の力が抜け、このままでいいんだと自分を認めることができました。

 結局、「こうでないといけない」という壁を自分でつくっていただけなんですよね。振り向かれようが振り向かれなかろうが、できようができまいが、自分が好きならそれでいい。今はそう思っています。

――作品からもその伊藤さんの想いが伝わります。

 私も、チャチャに忘れていたフラットな状態の自分や、10代の頃の純粋な気持ちを思い出させてもらった気がします。ぜひ劇場に、何度も会いに来てください。

いとう・まりか 1996年、大阪府生まれ。2011年から17年まで乃木坂46一期生メンバーとして活動。現在は俳優としてドラマ・映画・舞台に出演する一方、クリエイターとして個展なども開催。初主演映画『サマーフィルムにのって』(21年)では、TAMA映画賞最優秀新進女優賞、第31回日本映画批評家大賞新人女優賞を受賞。近作はNHKドラマ『燕は戻ってこない』『パーセント』(共に24年)。待機作に映画『オアシス』(11月公開予定)、『港に灯がともる』(25年1月公開予定)がある。

INTRODUCTION
新進女優×次世代監督による映画シリーズ「(not)HEROINE movies」の第4弾。ドラマ「美しい彼」シリーズ、『劇場版 美しい彼~eternal~』(23年)で多くのファンの心をつかみ、多くのドラマも手がける酒井麻衣監督の7年ぶりとなるオリジナル長編映画。主人公・チャチャに俳優・クリエイターとして活躍する伊藤万理華、チャチャが想いを寄せる相手・樂に、若手実力派俳優の中川大志を起用。観客を惹きつけながら突き放す酒井監督の美意識を集約させた、ジャンルレスな作品となっている。

STORY
上司から才能を評価されているイラストレーターのチャチャ(伊藤万理華)。同僚から陰口を叩かれても、「人目を気にせず、好きなように生きる」を信条に、“野良猫”のように自由奔放に生きている。ある日、事務所が入るビルの屋上喫煙所で、1階のレストランで働く樂(中川大志)と出会ったチャチャ。樂が落とした鍵を拾ったことから距離が縮まり、やがてチャチャは樂の家に居付くようになる。しかし彼には秘密があった。

STAFF & CAST
監督・脚本:酒井麻衣/出演:伊藤万理華、中川大志、藤間爽子、塩野瑛久、ステファニー・アリアン、藤井隆/2024年/日本/108分/配給:メ~テレ、カルチュア・パブリッシャーズ/©2024「チャチャ」製作委員会

深野未季=写真
和田ミリ=スタイリング
外山友香(mod’shair)=ヘアメイク
衣装協力:ヨウヘイ オオノ、フミエタナカ(ドール)

(相澤 洋美/週刊文春CINEMA)

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