10キロ増量、丸刈りも笑顔で…唐田えりか(27)がオーディションで『極悪女王』長与千種役に抜擢された深い理由
文春オンライン / 2024年10月19日 17時0分
長与千種を演じた(唐田えりかのインスタグラムより)
Netflixで配信中の『極悪女王』での演技が話題を呼んでいる唐田えりか(27)。休業期間中に臨んだオーディションで長与千種役に抜擢された背景、作品への覚悟とは。(全2回の1回目/ 続きを読む )
◇◇◇
これまでの逆風を完全に跳ね返した
「強くなりたかった。強くなるしかなかった」
現在、爆発的な反響を巻き起こしているNetflixオリジナルドラマ『極悪女王』。80年代に大ブームを巻き起こした女子プロレスをテーマにした作品だ。Netflixらしく時間と予算をふんだんに使い、当時の熱狂を見事に再現している。
ダンプ松本役のゆりやんレトリィバァ、ライオネス飛鳥役の剛力彩芽とともに、高い評価を集めているのが、不倫騒動の影響で芸能活動を休止していた唐田えりかだ。これまで芸能ニュースでしか彼女を目にしたことがなかったような人たちが、『極悪女王』での演技に目を瞠っている様子がSNSなどから伝わってくる。これまでの逆風を完全に跳ね返した形だ。
休養期間中にオーディションに臨んだ
冒頭の言葉は、唐田がインスタグラムに記したもの。まるで劇中のセリフのようである。女子プロレスの世界で落ちこぼれだった長与千種は、強くなり、這い上がってスターになった。唐田えりかもまた、強くなって、奈落から這い上がってきたのだ。
唐田が『極悪女王』のオーディションに臨んだのは休養期間中のこと。当時は「この仕事を続けていいのかな」とネガティブな気持ちが強かったが、事務所の社長やスタッフが後押しをしてくれた(シネマトゥデイ 2024年9月23日)。
マネジャーに長与千種役を勧められ、長与の過去のインタビュー記事などを調べるようになってから、強く演じたいと思うようになったという。
「やられた後の立ち上がり方が格好良くて、心を動かす人だなって。こんなに魅力的な人を演じたいと思いました」(WEBザテレビジョン 2024年9月26日)
丸刈りになることが条件だったが…
試合に負けても観客を魅了する“プロレスの天才”長与千種を的確に捉えているのがよくわかる。と同時に、唐田は長与に自分との共通点を見出していた。
「覚悟を決めてこの作品に臨んだので、オーディションを入れて約3年、諦めずに努力することの大切さをあらためて学んだ気がします」(シネマトゥデイ 2024年10月6日)
オーディションは多くの俳優が受けたが、白石和彌監督が強くした推したことで唐田が長与千種役を獲得する。白石監督を動かしたのは唐田の切実な思いだった。
「人生の再出発にあたって、どうしても芝居がしたいという思いが本当に強くて、僕はその思いにやられて唐田さんでいきたいという思いがあって。結果的に大成功というか、本当に頑張ってくれました」(マイナビニュース 2024年10月2日)
クライマックスではダンプ松本との敗者髪切りマッチがあるため、丸刈りになることが条件だったが、唐田はまったく意に介さなかった。実際、髪切りマッチで撮影スタッフから心配の声があがっても、唐田は笑顔でリングに上がっていったという。
感情も自然に溢れてくるようになった
準備当初は2キロのダンベルしか持ち上げることができず、でんぐり返しも満足にできなかったが、やがて70キロ近い重量を持ち上げるようになり、サソリ固めやフライングニールキックなどのプロレス技を習得した。
準備期間から出演者たちは、どんどん役柄にのめりこんでいった。なかでも、のめり込み方が激しかったのが唐田だった。準備期間からプロレスラーのマインドを身につけていったため、試合での悔しさや嬉しさなどの感情も自然に溢れてくるようになった。
クライマックスの髪切りマッチでの撮影後、唐田は悔しさのあまり、家に帰ってもずっと泣いていたという。「プロレスを演じる」という意識を持ち続けていた剛力彩芽とは好対照だ(Lmaga.jp 2024年10月5日)。
長与からの言葉「唐田さんは長与千種でした」
剛力は、唐田のすごさは「目」にあるという。「彼女の目の輝きは芝居をこえています。相手選手を睨んでいる視線や、『立ち上がれよ』と言うシーンの目は鳥肌が立ちます」(Lmaga.jp 2024年10月5日)。プロレススーパーバイザーを務めた長与千種も「目で語るっていうのはプロレスラーにとって最大の武器」(WEBザ・テレビジョン 2024年9月26日)とした上で、唐田に「目がとてもいい。目で十分に語れる人」と賛辞を送っている(マイナビニュース 2024年10月6日)。
途中からは唐田が若い頃の自分にしか見えなかったという長与は、このような言葉を送った。「唐田さんは長与千種でした」(シネマトゥデイ 2024年10月6日)。長与千種を演じたいと思い、血まみれになり、丸刈りになりながらも、長与千種になりきった唐田は、長与の現役時代を知るプロレスファンからも絶賛を受けている。
マザー牧場でスカウトされて芸能界入り
1997年、千葉県君津市出身。17歳のとき、アルバイトをしていたマザー牧場でスカウトされたのがデビューのきっかけだった。そのまま事務所に所属し、翌年にはドラマ初出演。オーディションを勝ち抜いて大手損保会社のCMに抜擢されて一気に知名度が上がった。
当時の売りは事務所の先輩である有村架純も絶賛した「透明感」。もともとモデルに憧れていたが、やがて女優を志すようになる。18歳のとき、永野芽郁主演の深夜ドラマ『こえ恋』にメインキャストの一人として出演、事務所社長と二人三脚で演技の猛特訓を重ねて撮影に臨んだ。しかし、すぐに壁にぶち当たってしまう。
オーディションでは連戦連敗。落ちるたびに自分を否定された気になり、自分には芝居などできないと完全に自信を失っていた。つらくて仕方がなく、毎日泣き暮らしていたという。唐田は、この頃のことを「暗黒時代」と表現していたが、さらに大きな暗黒期がこの後やってくるとは知る由もない。
「この仕事を辞めたい」と事務所や家族に伝えた直後、唐田はあるオーディションを受けることになる(anan NEWS 2018年12月9日)。それが映画『寝ても覚めても』だった。
〈 東出昌大との共演直後に「自分を押し殺したくないし、正直でいたい」と発言…唐田えりか(27)が放つエネルギーの正体〈『極悪女王』が話題〉 〉へ続く
(大山 くまお)
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