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東出昌大との共演直後に「自分を押し殺したくないし、正直でいたい」と発言…唐田えりか(27)が放つエネルギーの正体〈『極悪女王』が話題〉

文春オンライン / 2024年10月19日 17時0分

東出昌大との共演直後に「自分を押し殺したくないし、正直でいたい」と発言…唐田えりか(27)が放つエネルギーの正体〈『極悪女王』が話題〉

2018年、カンヌ国際映画祭での唐田えりか ©時事通信社

〈 10キロ増量、丸刈りも笑顔で…唐田えりか(27)がオーディションで『極悪女王』長与千種役に抜擢された深い理由 〉から続く

 Netflixで配信中の『極悪女王』の演技が話題となっている唐田えりか(27)。17歳でスカウトされ芸能界に入るも、オーディションの落選が続き仕事を辞めることも考えていたという。そんな中、世界的にも高く評価された1本の作品が、彼女の運命を大きく変えることとなる。

 俳優として一躍浴びた脚光、不倫騒動による休業期間中の日々と復帰、『極悪女王』を経て得たものとは。(全2回の1回目/ #1 より続く)

◇◇◇

 2018年に公開された『寝ても覚めても』は、いろいろな意味で唐田のターニングポイントになった作品だ。運命を変えた映画と言ってもいいかもしれない。

 柴崎友香氏の同名小説を濱口竜介監督が映画化した本作は、第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品された。同じ顔をしているが、まったくタイプの違う2人の男性、麦と亮平の間で揺れ動く女性、朝子の姿を描く。東出昌大が麦と亮平の2役を演じ、朝子役はオーディションで唐田が射止めた。

 唐田は自分が受けたオーディションが、どんな作品かも知らなかったというが、濱口監督は「オーディションで“彼女しかいない”って思った」と振り返っている(ぴあ映画 2018年9月5日)。

「朝子がものすごく自分自身だと思えた」

 黒髪、色白、黒目がちな瞳、かすかに開いた唇。朝子は清楚を絵に描いたような女性だが、透明感よりも存在感が勝る。儚げなようでいて視線が強い。唐田を正面から捉えたショットが多いのも印象的だ。

 浮世離れした恋人の麦が自分の前から突然消えて、その後出会ったサラリーマンの亮平と結婚の約束をするが、再び現れた麦についていって姿を消してしまう。自分の気持ちに正直で、モラルや規範を飛び越えた選択をする女性、それが朝子だ。

 公開時、朝子の人物像は観客の不興を買うことも少なくなかった。「神経を逆なでする草食世代のファムファタール」とも評されたが、唐田は「朝子がものすごく自分自身だと思えたんです。朝子の行動に対して、一つも疑問を感じませんでした」と話す(リアルサウンド映画部 2018年9月1日)。

 本格的映画デビューの本作で、唐田は大きなインパクトを残した。

 唐田の演技力が光っていた――という表現は少しそぐわないのかもしれない。演技をしているのは間違いないのだが、どこか本人を見ているようにも思える。その境界線が曖昧なのだ。

「演技力というものがよくわからない」と話す濱口監督は「魅力的な人を選び、その魅力が出るように心がけています」と言う。唐田に合ったセリフを書き、ひたすら何度も繰り返し読んでもらうことで、自然にセリフが口から出るようにした(映画ナタリー 2018年9月18日)。唐田の演技を受け止め、支えた相手が東出だったのは言うまでもない。

「自分に正直でいたいと思っています」

 伊藤沙莉、瀬戸康史、田中美佐子ら達者な俳優が周囲に配置されている分、大げさな芝居をしていないのに立っているだけで内側から何ものかが滲んでくる唐田の存在が際立って見える。それこそが濱口監督の求めるものだったのだろう。

「ふわふわして見えるくせに、思い込んだら一直線、みたいな」。これは伊藤が演じる親友の春代が朝子について説明するセリフだが、どこか唐田本人について語っているようでもある。次の唐田の言葉を聞くと、やはり二人は重なっているように感じる。

「自分のことを押し殺したくないし、自分に正直でいたいと思っています。直感で動いた結果、人を傷つけてしまうことが仮にあったとしても、それがあってこその“今”だし、すべてがつながっているわけだから後悔はないだろうし、それを信じてやっていきたいと思います」(ぴあ映画 2018年9月5日)

出演を重ねさらなる飛躍が期待されていたところに…

『寝ても覚めても』は国際的に高い評価を受け、唐田もさまざまな女優賞を受賞した。この間、何本ものドラマ、映画に出演を重ねていく。

 少女マンガ原作の映画『覚悟はいいかそこの女子。』(18年)ではクールビューティーのヒロイン、NHKの意欲作『デジタル・タトゥー』(19年)では主人公の大学生の娘を演じた。ベッドで撮った写真が流出して誹謗中傷され、テレビ局の内定辞退を迫られるという役柄だった。

『凪のお暇』(19年)では「空気クラッシャー」として同性に嫌われ、主人公の元彼に迫る女性を演じた。韓国エンタメの大ファンの唐田が、韓国語を習得して臨んだ韓国ドラマ『アスダル年代記』(19年)も配信され、さらなる飛躍が期待された。

 しかし、2020年1月に既婚者だった東出との不倫騒動が起こり、非難の声は唐田にも降り注ぐ。事務所は謝罪のコメントを出し、公式サイト、インスタグラムなどを削除したがバッシングは止まなかった。出演中のドラマも降板となった。

テレビも観ず、携帯すら持たず…休業中に唯一続けたこと

 休業中は事務所の寮の中で、テレビを観ず、映画も観ず、携帯すら持たず、家族以外との交流を一切断って暮らした。唯一、事務所の社長に勧められて、小説のレポートを書いて送ることは続けていた。このような日々は1年ほど続く。

 休業からの復帰作となる映画『の方へ、流れる』(22年)では本心がどこにあるかわからないヒロイン、映画『死体の人』(23年)では死体役専門の俳優と恋に落ちるデリヘル嬢を演じた。しかし、大きな話題になったとは言えなかった。短編『真夜中のキッス』(23年)にオファーした佐向大監督は「唐田えりかって実在するの?」と思っていたらしい(NOBODY 2023年6月23日)。

 唐田が「宝物のような作品」(エンタメOVO 2023年11月28日)と言うのが、石橋夕帆監督の映画『朝がくるとむなしくなる』(23年)。仕事で失敗して孤立してしまった主人公・希の再生を描く物語で、希を優しく励ます親友・加奈子を、実生活でも親友の芋生悠が演じた(芋生は『極悪女王』でマキ上田に扮している)。加奈子の「正しくなんて生きられないよ、みんな」というセリフを聞いて、リハーサルで唐田は泣いてしまった(FRaU 2023年11月26日)。

ずっと欲しいと願っていた「強さ」を得た

 一步一步、復帰への道を踏みしめてきた唐田は、ついに『極悪女王』で溜め込んできたエネルギーを爆発させる。とはいえ、ここまで一人で復活の道を歩んできたわけではない。

「この作品に出会えていなかったらどうなっていたんだろう……と思えるぐらい自分にとっても大きな作品になりましたし、仲間に出会えたことも幸せでした」(シネマトゥデイ 2024年9月12日)

『極悪女王』では多くの仲間たちと出会った。共演した親友もいた。休業中もずっと向かい合ってくれた事務所の社長とは、髪切りマッチの撮影の直前に駆け寄り、グータッチをしてリングに向かった。まわりの人に支えられ、歯を食いしばって得たものは、ずっと欲しいと願っていた「強さ」だった。唐田は「長与さんを演じながら『諦めない』ことの強さを改めて学びました」と話す(映画.com 2024年9月12日)。

「憑依型」という言葉があるが、さらに深く本人と役柄が一体化したとき、すさまじいエネルギーを放つ女優だということが、これまでの歩みでよくわかる。これまでは危なっかしさもあったが、手に入れた「強さ」をもとに、これからもいろいろな役柄を飲み込んでいくのではないだろうか。

(大山 くまお)

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