小3男子がズボンを脱がされ「お尻の穴にチンチンを」と…母親が語る“加害者の母親”へのいらだちと、悲しすぎる後遺症とは
文春オンライン / 2024年10月18日 11時0分
被害を語るサトルくんの母親
〈 「お尻の穴にチンチン入れさせて」と小3男子がズボンを脱がされ…加害者が警察で証言した“あまりに身勝手な犯行理由”とは 〉から続く
北海道札幌市の小学3年生のサトルくん(仮名・当時8歳)が、近所の小さな公園内で中学1年(当時)の男子生徒Aから繰り返しわいせつな行為を受けていた事件。
調査にあたっていた札幌市の教育委員会が10月8日に記者会見し、いじめ防止対策推進法の「いじめ重大事態」とした上で、再発防止策を提言した。
しかしサトルくんの母親によると、サトルくんは「忘れることはないよ」と今でも事件の記憶に苦しめられているという。
ズボンを脱がされ「お尻の穴にチンチン入れさせて」
サトルくんは2021年の春ごろ、同じスポーツ少年団に所属していた4学年上のAと仲良くなり、一緒に遊ぶことが増えていた。しかしAはその信頼を裏切るように、家の前にある公園でサトルくんに対して性加害行為に及んだ。性器の見せ合いや、Aの性器をさわらせるなどの行為が続いていた。
最大の被害は、5月28日。サトルくんはAに「キャッチボールをしよう」と誘われて公園へ行くと、女子トイレに連れこまれた。そこでサトルくんはズボンを脱がされ、Aは「お尻の穴にチンチン入れさせて」と性器を挿入しようとしたという。
公表された報告書では調査委員会が独自に調査していない。学校側の対応はサトルくんが通っていた小学校の元教頭が担当していたが、異動で学校を去る際に後任の教師には引継ぎがなされなかったことが書かれている。
「報告書は、加害生徒Aがなぜそんなことをしたのかという動機や背景が書かれていません。これでは再発防止ができないのではないでしょうか。警察の捜査資料を私たちから渡しているのに『把握していない』というのです。教育委員会や先生たちは、法律や子どもの命を守る気がないように見えました」(サトルくんの母親、以下、同じ)
被害にあったサトルくん本人も、報告書の公表を心待ちにしていたという。
「調査の結果が公表されたという新聞記事はサトルも気になったようでじっくり読んでいました。これまでは学校などでも事件について黙っていなければいけないのが辛かったようで、調査結果が公表されるのを望んでいたんです。学校での説明会も今は交渉中ですが、本人は『説明しないのとか本当にあり得ない』と怒っています。『ニュースになっているのに、学校では説明しないならまた被害を受けるかもしれない』と怖がっているんです」
自分から「忘れることはないよ」ということも…
事件からは3年間という時間が経過しサトルくんは小学6年生になったが、事件の記憶は全く風化していない。
「たまに自分から『忘れることはないよ』と言うので心配になりますが、忘れられる出来事ではありませんからね。インターフォンを押してどういう流れで外に行って何をされ……という事件当日の様子もたまに思い出すようです。ただ、聞かれない限りは自分から話したくないとも言っています」
いま、サトルくんはAのことをどう思っているのだろうか。
「『会わないならもうどうでもいいよ』って言っています。とにかく存在を感じたくない、考えたくないというのが強そうですが、『やり返されたらどうしよう』という恐怖は残っているようです。警察が出てくるドキュメンタリー番組などを見て『恨まれて、家を燃やされたらどうしょう』『刺されたらどうしよう』とぼそっと言うんですよね」
事件そのものの記憶に加えて加害男子への恐怖感という新たな課題も発生し、サトルくん親子は今でも日常的にその対処に迫られているのだ。
「不安が大きくなった時は保護観察所で相談したりするようにしています。ただ、夜眠れない日は今でも頻繁にあります。事件からは3年経ちましたが、私たち家族にとってはそれが当たり前の生活になってしまいました。布団に入ってから入眠するまでは1~2時間かかり、その間も夜の静かな空気を怖がるんです。音がないと怖がるので、Alexaで音楽を流したりしています。一度眠れても、夜中に突然叫びだしたり、悪夢でうなされていることも週に数回あります。怖い男性に追いかけ回されて刺される夢を見る、と言っていました」
「反省していないのではないかと疑ってしまいます」
事件の記憶に飲み込まれないように思考を前向きにするトレーニングなどをしているが、今でも日常的に「怖がる」ものがあるという。
「中学生の姿を見ると、恐怖を感じるようです。『中学生』という存在が加害者のAを思い出させるようで、男子だけでなく女子でも避ける素振りをします。通学路などで中学生と遭遇すると走って距離を取ったり、一気に追い抜かして視界に入らないようにしています」
サトルくんは事件の記憶とどう向き合っているのか。母親を通じて、こう話してくれた。
「性被害のことを口に出すことはしたくないです。みんなが悲しく辛そうにするから、しない方がいいと思って、全部自分が抱えこんでいます。でも、普段の生活では楽しい事や頑張りたい事に気持ちを向けて過ごしています。精神科の先生にも辛いことは言いにくいけど、眠れないって悩みだけは言えたから、困ったことを伝えたら助けてもらえるんだってわかってきました」
加害男子のAやその保護者は、今でも同じ市内に住んでいる。彼らについてどう思っているのだろうか。
「加害者やその親に対する感情までサトルが抱え込むのは可哀そうすぎるので、そこの問題を考えるのが親の役割だと思っています。今は保護観察官と保護司を交えてやりとりをしていて、カウンセリング費用の弁済などの交渉をしています。
ただ気になるのは、少年審判の中でAくんが『性に関する学習をする』という項目があったのですが、専門機関に行ったのは3年間で1度だけ。『正常』と診断を受けたと加害者が言っていることです。正直に言えば、反省していないのではないかと疑ってしまいます。やりとりをする中で感じるのは、Aくん本人以上に、お母さんがまだ十分に飲み込めていないように見えています」
(渋井 哲也)
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