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最高指導者の殺害にバイデン米大統領は「正義の措置」…イスラム教シーア派組織「ヒズボラ」とは?〈池上彰氏が解説〉

文春オンライン / 2024年10月19日 7時0分

最高指導者の殺害にバイデン米大統領は「正義の措置」…イスラム教シーア派組織「ヒズボラ」とは?〈池上彰氏が解説〉

バイデン氏は声明でヒズボラについて「40年にわたる恐怖政治の間に数百人の米国人を殺害した責任がある」と記した ©時事通信社

Q 最高指導者・ナスララ師殺害にバイデン米大統領は「正義の措置」…イスラム教シーア派組織「ヒズボラ」とは?

 イスラエル軍は9月28日、レバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の最高指導者ナスララ師を殺害したと発表しました。これについて、アメリカのバイデン大統領は「何千人ものアメリカ人やイスラエル人、それにレバノンの民間人を含む多くの犠牲者にとって正義の措置だ」などと声明を発表しましたが、「ヒズボラ」とは一体どのような組織なのでしょうか?(40代・男性・自営業)

A 「神の党」という名称のイスラム教シーア派の武装勢力です

 ヒズボラ結成のきっかけを作ったのは、実はイスラエルです。日本ではヒズボラと発音していますが、原音に近い表現はヒズブッラー。「神の党」という名称のイスラム教シーア派の武装勢力です。

 このヒズボラが結成されたのは1982年のこと。イスラエル軍が同年6月にレバノン南部に侵攻し、現地で大勢の人が犠牲になった際、イランの革命防衛隊によって創設されました。

 イランでは、1979年のイラン・イスラム革命によって成立したシーア派政権が「革命の輸出」を始めます。シーア派の思想を他国に広め、アラブ諸国にもシーア派の政権を樹立しようと考えたのです。そこでイランの政府軍とは別に革命防衛隊を創設して周辺国家に浸透を図ります。レバノンにも触手を伸ばし、レバノンに侵攻してきたイスラエルに対して戦おうと呼びかけて組織を作ったのです。

まさに因果はめぐる

 では、なぜイスラエルが当時レバノンに侵攻したのか。この頃は、まだ「オスロ合意」が存在していませんでした。オスロ合意によってパレスチナ自治区でのパレスチナ人による自治が始まったのは1994年のこと。それより前のこの頃は、アラファト議長率いるPLO(パレスチナ解放機構)が反イスラエルの武装闘争を繰り広げていました。その拠点がイスラエルの隣国レバノンだったのです。

 そこでイスラエル軍がレバノン南部に侵攻しました。まさに因果はめぐる、です。

 その後、2006年にもレバノンに侵攻し、ベイルートを空爆しましたが、このときは大規模な戦闘には発展せず、イスラエル軍はまもなく撤退しました。しかし、互いに国境を挟んで睨み合ってきたのです。

(池上 彰)

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