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《出生率0.72の国の恋愛事情》韓国人がマッチングアプリで譲れない“露骨すぎる条件”とは? 男性は「経済力と外見」、女性は…

文春オンライン / 2024年10月18日 17時10分

《出生率0.72の国の恋愛事情》韓国人がマッチングアプリで譲れない“露骨すぎる条件”とは? 男性は「経済力と外見」、女性は…

写真はイメージ ©︎AFLO

 恋愛における韓国の男性といえば「彼女を束縛しがち」と言われることが多い。メッセージのやりとりが多く、女性が1人で遊びに行くことも歓迎しない。そんなイメージが一般的だった。

 しかし、その傾向に変化が起きているようだ。

「今の彼女は見た目が好みのタイプだったのと、サービス業なので休みが別々なのもよかったです。前の彼女は休みが一緒で、自分の時間がとれなくて苦痛でしたから」

 そう話す男性は、一昔前ならば周囲からうるさく結婚を勧められていたであろう32歳。大手企業に勤めていて生活も安定している。

 マッチングアプリで知り合った20代の彼女と付き合うようになって半年が経ったが、周囲に結婚した人はわずかで、本人もまだ考えていないという。

 韓国の恋愛は互いに束縛しあうことも多いのでは、と聞くとすぐに否定した。

「人それぞれでしょうけど、昔の話じゃないですか。自分の周りにはそんなタイプはいないですね。少なくとも僕は、週末の自由な時間をごそっと彼女だけにもっていかれるのは勘弁してほしい」

日本よりはるかに急激な少子化だが、マッチングアプリは拡大

 彼女とのデートは家でNetflixの映画を観たり、天気のいい日には漢江沿いの公園でテントを張ったりとのんびり過ごすことが多い。「お金もかからないし、リフレッシュできていい」という。

 若者のそんな恋愛観を反映してか、韓国では「下がり続ける婚姻率&出生率」が社会問題になっている。1992年に「1.76」あった合計特殊出生率が、1人を割ったのが2018年。以降も下がりつづけ、昨年は「0.72」を記録した。

 合わせて、未婚率も驚くほどのスピードで上昇している。19歳~34歳までの未婚率は2000年に54.5%だったが、2020年には81.5%まで急上昇。20代後半では54.2%から87.4%に、30代では18.7%から56.5%と全世代で急上昇し、いずれの世代も日本よりも20ポイントほど高い。

 しかし恋愛に興味がないというわけではないようで、マッチングアプリ市場は拡大し続けている。

 韓国では男女の出会いのきっかけとして、友人知人を通して1対1で紹介される「ソゲッティング」も健在だが、コロナ禍以降はマッチングアプリの利用者がぐんと伸びた。

 2010年代初めに登場したときは「軽い出会い」という悪いイメージが先行して伸び悩んだが、いまや約220億円ほどの規模に成長した。

 そして、この急成長を支えているのは男性だ。マッチングアプリの利用者を男女別で見ると男性の利用者が圧倒的に多く、人気マッチングアプリ上位10社の利用者を平均すると、男性が約8割に女性は2割ほどだ(広告専門企業「インクロス」調べ)。年齢的には30代~50代の男性が多い。

 マッチングアプリでの出会いは、最初に入れる「条件」に大きく左右される。日本では男性は収入、女性は年齢、そしてどちらも外見が重要と言われるが、韓国ではどうだろう。

 業界の関係者に聞くと、男性が女性に求めるのは「まずは外見と、あとは自分より年齢が下かどうか」、女性は「経済力、そして外見」だという。そこまで日本と変わった様子はない。

男性は「経済力と外見」、女性は「外見と年齢」で判断される

 韓国のマッチングアプリの中には、こうした「条件」を加入時から設定して目的のはっきりした会員を取り込もうというところもある。

 プレミアムアプリとも呼ばれ、例えば、ソウル大学卒が立ち上げたアプリでは、男性の加入時の条件はSKY(名門といわれるソウル大学、高麗大学、延世大学の頭文字)か医科大学出身で、勤め先の証明書も提示することが求められる。女性はソウル市内の4大卒が基本で、さらに外見が男性会員に認められれば加入できる。

 学歴ではなく保有資産を問うところもある。

 たとえば男性は1.5億ウォン(約1660万円)以上の車を所有していたり、2億ウォン(約2200万円)以上のマンションに住んでいたり、年収が1億ウォン(約1100万円)以上、もしくは個人資産が20億ウォン(約2億2000万円)以上あれば加入OKとなるようなイメージだ。女性の場合は、男性と同等の資産を保有しているか、もしくは外見が男性会員に認められれば加入できる。

 さらには本人が保有する資産ではなく、親の条件によって加入が認められるアプリもある。親が保有する資産が100億ウォン(約11億円)以上だったり、職業が上級公務員や大企業の役員、そして、名門大学の教授や医療界、法曹界勤務であれば加入可能となり、女性は男性側と同等の資産条件を満たしているか、外見が既存会員の審査を通過すれば加入できるという。

 男性はスペック、女性は外見という双方の欲望が露骨極まりない形で反映されているが、これが意外と好評だそうで、ネットには「恋愛にもスペックが必要になった」というぼやきの書き込みも見られた。

「理想が高すぎると責められますけど…」と語る女性も

 マッチングアプリのトップ5の中に、1つだけ女性会員が8割を占めるアプリもある。「友だちを作ろう」「町内の知り合いを増やそう」というコンセプトで、女性利用者の不安感を払拭するために徹底したモニタリングを行っており、動画や写真の交換機能はあえて無し。加入条件も本人認証などの基本的なものだけで、条件付きアプリにうんざりしていた女性の登録者数が増えたといわれている。

「マッチングアプリを利用する人は増えていますが、そもそも恋愛をしない女性も増えていると思います」というのは大手IT企業に勤める33歳の女性だ。

「私もアプリを利用していた時期もありますが、知り合った30代後半の男性がしばらくしたら結婚の話を持ち出してきました。私はまだ結婚は考えていないので提案が重くて、結局続きませんでした。とはいえ経済力はあったほうがいいので、候補者は30代半ば以降になるんですけど、そういう人は結婚が頭にあることも多い。ピンとくる相手がいないなんて言ったら理想が高すぎると責められますけど、自分の理想を低くなんてできないですよね。周りにも同じような理由で『相手がいない』と恋愛自体しない友人が増えています」

 最近ソウル市内の公園などに行くと必ず遭遇するのが、8人~10人の男女混合のランナーチームの姿だ。退社後に集合してみんなで走り、終わった後は解散というサークル活動のような雰囲気だという。

「わざわざ彼氏彼女を作らなくても、みんなで楽しく過ごせばいいという人は確実に増えていると思います。女友だちと遊ぶ方が楽しかったりもするし、恋愛の必要性を感じなくなっているのかもしれません」(前出の女性)

 女性も男性も同じような傾向にあるといわれており、「自由でいたい」「自分の時間に熱中している」「おカネがない」などが主な理由だ。 

 低出生率の背景は思っているより根深いのだ。

(菅野 朋子)

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