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久保建英でも、堂安律でも、谷口彰悟でもない…城彰二が「心配になるレベル」と厳しく指摘した森保ジャパンの“意外な選手”とは?《W杯アジア最終予選》

文春オンライン / 2024年10月17日 11時0分

久保建英でも、堂安律でも、谷口彰悟でもない…城彰二が「心配になるレベル」と厳しく指摘した森保ジャパンの“意外な選手”とは?《W杯アジア最終予選》

オーストラリア戦に臨む日本代表 ©時事通信社

 今月11日と15日に2026W杯アジア最終予選が行われ、サッカー日本代表はサウジアラビア・オーストラリアと対戦。サウジアラビアには2-0で勝利し、オーストラリアには1-1で引き分けた。

 元日本代表で、現在はサッカー解説者として活躍する城彰二氏は、この試合をどう見たのか。話を聞いた。

◆◆◆

サウジ戦で感じたセットプレーの精度の向上

――10月は、サウジアラビア、オーストラリアという強豪チームとの2試合になりましたが、1勝1分けという結果でした。

城彰二さん(以下、城) 悪くないですよ。特にアウェイのサウジ戦に2-0で勝ち、「日本、強いなぁ」って印象だった。大勝した中国戦とバーレーン戦ではボールを支配していたけど、サウジは技術の高い選手がいて、序盤はマウントを取られた感じの試合展開になった。でも、そこでの対応力というか、守備が非常に良かった。

――サウジ戦の前半42分、鈴木彩艶がシュートを止めたシーンなどGKが目立った試合でした。

 あそこで決められていたら、スタジアムが異様な盛り上がりになって、また違う展開になったと思うけど、股抜きのシュートで軌道が見えにくかったのによく止めたと思いますね。アジアカップではミス絡みで散々叩かれたけど、自分のクラブ(イタリア・パルマ所属)でしっかりと活躍できる環境を作って来たことで安定感が出てきたし、自信もついたんじゃないかな。

――後半は、小川航基がコーナーキックから追加点を奪いました。拮抗した試合展開でのセットプレーからのゴールは、大きかったですね。

 このコーナーキックからのゴールを含めて、最近はセットプレーがしっかりデザインされているなと思います。この時は、谷口(彰悟)が前で相手をつる動きをして、その裏の小川に合わせたんだけど、これは完全に狙っていたと思います。キックも狙いどころを持って蹴っていますし、精度がかなり上がってきている。

 これまでキッカーとボックス内の選手との呼吸、狙いどころがもうひとつピンと来ないシーンが多く、セットプレーを無駄にしていたけど、これから得点のチャンスがより増えていくと思います。

オーストラリア戦は日本がひどすぎた

――理想的な展開でサウジを破っただけに、オーストラリア戦はかなり楽観視された部分がありましたが、1-1のドローでした。

 サウジ戦の結果から考えるとオーストラリア戦はホームだし、相手は監督が代わったばかりで楽勝かなと思ったけど……。日本がひどすぎたし、逆にオーストラリアは自分たちの強みに徹した素晴らしい試合をしました。

――オーストラリアは、どういう点が良いという印象でしたか。

 まず、運動量で日本を上回っていました。中盤でもボールに対してプレッシャーを掛け続けていたし、奪ってからの攻撃も速かった。5‐4‐1というシステムで、守備は三笘(薫)と堂安(律)のサイドからクロスを入れられるのは仕方ないと諦め、その代わりに中央を固めた守備をしていた。高さとパワーがあるので、日本はそこで勝てなくて、ことごとく跳ね返されていました。

 もっとも、日本のクロスの精度が低くて、ピンポイントで合わせられない、狙ったところに蹴れていないのもあったけど、オーストラリアが日本を研究し、割り切った戦い方がハマった感がありました。

「遠藤の不在が大きかった」日本がオーストラリアに苦戦したワケ

――逆に、日本はなぜ機能しなかったのでしょうか。

 遠藤(航)の不在が一番大きかったですね。日本の選手は、相手のフィジカルが強くて大きいので、どうしても足元でボールを受けたがるんです。そうなると相手も狙いやすいですし、ガツンと当たられるわけです。そこで奪われたりミスをしたりして、取り返そうとするんですけど跳ね返されるし、中途半端にプレスをかけるのでボールを奪えない。ボールを奪えても次に繋げない。

 遠藤は、1対1の対応というか駆け引きがうまいし、ボールを奪ってもしっかり前に繋げられる。しかもセカンドボールの回収力も抜きん出ているので、攻撃が2次、3次と繋げられるんです。今回は遠藤がいないことで、日本はまったくリズムを掴めなかったし、縦パスを入れることもできていなかった。遠藤ひとりの不在で、こんなにも日本のサッカーが機能しなくなるのかって、ある意味、驚きました。

――遠藤選手は、体調不良でメンバー外になりましたが、今後も累積警告などで出場停止になるケースも出てくると思います。そうした時、日本のパフォーマンスが落ちる可能性が高まり、難しい試合を強いられることになりそうですね。

 今の代表のボランチは、遠藤と守田(英正)が鉄板なんです。このふたりのセットが不動で、このふたりがいての森保一さんのサッカーなんです。今回、遠藤の代わりに出た田中碧がどのくらいやるのか楽しみでしたが、正直、「大丈夫か」と心配になるレベルでしたし、まだ彼は遠藤の代わりに届いていない。

 個人的には途中からでも藤田譲瑠チマを使ってほしかったのですが……。森保さんは、これから遠藤なしで、どれだけやれるのかを積み上げていかないといけない。これはけっこう大きな課題だなと思います。

「左足のインサイドでクリアすれば済む」谷口のオウンゴールに思うこと

――オーストラリア戦では、最終予選で初失点を喫しました。

 これは谷口の完全なミスでしょう。右利きだから右足でのクリアを優先したのがそもそも間違いで、あそこは左足のインサイドでクリアすれば済むことなんです。谷口の近くに相手の選手もいなかったので、焦ってクリアする必要もない。

 このクリアミスの伏線になったのは、その前のプレーでした。相手のボールを奪い切れなかったので、それで慌てて戻った矢先、オウンゴールが生まれた。ベテランらしくない大きなミスで、これがW杯なら命取りになるかもしれない。谷口本人が一番悔しいと思うし、ミスはつきものだけど、してはいけないミスがありますから。

――一方、初招集された大橋祐紀選手、関根大輝選手は出場機会を得られませんでした。

 2試合とも難しい試合だったので、なかなか出られる状況にはなかったのかなと思うけど、オーストラリア戦はふたりもGKのバックアップを入れる必要があったのかなと思いますね。

 また、4バックをやるつもりがないなら、サイドバックではなく大橋のような攻撃的な選手を入れておくべきでしょう。新しい選手を招集して代表の空気に触れさせ、戦い方を見させるというのはあると思うけど、もうそういう経験はいいんじゃないかな。大橋は欧州で結果を出してきている選手ですし、呼ばれたからには出場することに飢えていると思うんです。

 そういう選手がデビュー戦で劇的なゴールを生むのってけっこうあるんです。でも、まだ思い切って使えないんでしょうね。森保さん、新しい選手の起用には慎重だし、頑固だから自分の考えを曲げないので。

11月のアウェイ2連戦はインドネシアに要注意

――11月は、インドネシア・中国とのアウェイ2連戦になります。日本は4試合で勝ち点10ですが、この2試合に勝てば予選突破にだいぶ近づきます。

 中国はともかく、インドネシアは曲者って感じがしますね。サウジ、オーストラリア、バーレーンに負けていないので要注意かなと思いましたが、中国にコロッと負けているので、安定感はそこまでないのかもしれない。

 ひと昔前のインドネシアはうまいけど、そんなに強さが感じられないチームでしたが、今は帰化した選手が多く、GKパエスを始め能力が高い選手が揃っています。チームも粘り強く戦いますし、積極的に攻撃を仕掛けてくる。

 オーストラリア戦みたいに運動量が足りないと危ないシーンを作られてしまう可能性があるかもしれない。相手ファンの大観衆の中での試合になると思いますが、それはサウジ戦でも経験しているので、アウェイはそんなに気にする必要はないと思います。

――森保一監督としては、早く予選突破を決めたいでしょうね。

 間違いないですね。ある程度、予選突破が見えた段階でパリ五輪の選手や他の選手を入れてくるでしょう。その時、チームにどんな変化が起こるのか。W杯を見据えて、もっといろいろチャレンジができるんじゃないかなと思います。

取材・文=佐藤俊

(城 彰二)

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