《独占入手》自民党候補者の旧統一教会「推薦状」写真を一挙公開〈教団関係者と笑顔でガッツポーズも〉
文春オンライン / 2024年10月25日 18時30分
旧統一教会の“強力な選挙支援”の実態を浮き彫りにした内部資料
ジャーナリストの鈴木エイト氏が入手した世界平和統一家庭連合(旧統一教会。以下、統一教会)の衝撃的な内部資料が自民党陣営を揺るがしている。
統一教会のフロント組織「世界平和連合(FWP)」の中部地区常任講師のS氏が作成した33ページにわたる内部文書『激動の2021年「政治決戦 総選挙と日本の行方」』は、前回2021年衆院選での自民党候補者に対する統一教会の“強力な選挙支援”の実態を浮き彫りにした。
「 文藝春秋 電子版 」が10月23日に報じた鈴木エイト氏の論稿「 全公開『極秘 旧統一教会内部資料』33ページ 2021年衆院選、旧統一教会に支援された自民候補者実名リスト 」では、婦人部や青年部、壮年部までが時間制で電話掛けやビラ撒きを行う“総力戦体制”や、愛知県から新潟県に至る「中部地区」候補者の“格付け表”、さらには、自民党議員と統一教会との関係を示す“決定的証拠写真”が掲載されている。
10枚以上ある写真のうち、教団による組織的な選挙支援や政策協定の証拠となる「推薦確認書」「推薦状」とともに撮影されたものを紹介しよう。
シンボルマークの入った「推薦状」を授与
岐阜4区の金子俊平氏(前財務大臣政務官)は、選挙事務所で教団関係者から世界平和連合のシンボルマークの入った「推薦状」を授与される様子が写されている。金子氏はこれまでの調査や取材に統一教会との接点を一切認めていない。
21年選挙で「推薦状」を取り交わしたか編集部から質問すると、金子事務所は「そうした事実はございません。こちらの事務所では選挙期間だけでなく普段から旧統一教会との付き合いがなく、当事務所から電話がけをお願いするようなことは実態から考えてありえないです」と回答。
写真を提示すると、「出陣式開始直前にできる限り多くの方と挨拶する機会をいただいていた時、自由参加かつ自由撮影の状況下で、持参されたカメラで撮影した写真と思われます。こちらが正式にお受けした推薦状はすべて壁に貼り出したうえで、一覧表も作成し記録してあります。少なくともこちらにとって正式に推薦頂いた団体という認識はございません」と追加で答えた。
しかし、本人の真横で掲げられた金子俊平殿宛てのロゴ入り推薦状は正式のものではないという説明に、有権者は果たして納得できるのだろうか。
「推薦確認書」への署名も
三重3区の石原正敬氏は、2021年10月9日に集会所で「石原まさたか支部長後援会 敬世会」を設立したとして写真が掲載されている。
議員の名前の1字と「世」を合わせて後援会名とするのは、統一教会の常套手段だ。石原氏署名入りの「推薦確認書」の写真も掲示され、「平和連合5項目」すなわち、(1)憲法改正と安全保障体制強化、(2)家庭教育支援法と青少年健全育成基本法の制定、(3)同性婚合法化の慎重な扱い、(4)日韓トンネル実現推進、(5)共産主義勢力などへの攻勢阻止に同意している。
こうした推薦確認書への署名は事実上の「政策協定」とみられ、単なる選挙応援を超えた政策への影響が危惧されているのだ。統一教会では、推薦確認書への署名を条件に推薦状が授与され、推薦確認書に記された政策の実現に取り組むという条件で教団側が選挙支援を行う仕組みであることが、これまでの報道からも明らかになっている。
石原氏はこれまで、友好団体の講演会に出席し挨拶したことのみ認めた上で「旧統一教会の友好団体の主催だという意識はなかった」と釈明しているが、自身の後援会の結成と推薦確認書への説明については言い逃れできないだろう。石原事務所にも再三にわたり回答を求めたが、期日までの回答は得られなかった。
議員の自己申告がいかに虚しいものであったか
――自民党による再調査ではもはや足りない。第三者委員会による調査、国政調査権による調査が必要な段階にある。現在行われている衆院選は、自民党が統一教会との「関係断絶」を打ち出してから最初の国政選挙だ。だが、議員たちの自己申告がいかに虚しいものであったか、この内部資料を見れば一目瞭然だ。統一教会信者たちによる献身的かつ組織的な選挙運動が、今回の選挙では行われていないと、誰が断言できるのだろうか。
自民党本部は次のように回答した。
「自民党は、旧統一教会ならびに関連団体と一切関係をもたないと宣言したとおりです。ご指摘の内部資料の詳細につきましては、党本部ではお答えしかねます。個別の事例については各議員にお尋ねください。新たな事実が判明した際には、各議員より党本部に報告をすることになっております」
世界平和連合(FWP)にも事実確認を求めたが、期日までの回答は得られなかった。
「一切関係をもたない」
この宣言を誰が信じられるというのか。
◇
「 文藝春秋 電子版 」の記事、「 全公開『極秘 旧統一教会内部資料』33ページ 2021年衆院選、旧統一教会に支援された自民候補者実名リスト 」には、石破茂内閣の現役閣僚や副大臣、政務官と統一教会との関係を示す“決定的証拠”となる衝撃的な写真が多数掲載されている。
加えて、統一教会による中部地方議員の“格付け”の詳細や「全員当選」のための具体的選挙戦略が詳述されている。
(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 電子版オリジナル)
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