「母親なのにグラビアやるなんて」「尻なんか出して恥ずかしい」とネットで批判…“ママグラドル”倉持由香(32)が、“世間の声”に思うこと
文春オンライン / 2024年11月10日 11時0分
倉持由香さん ©杉山秀樹/文藝春秋
〈 「一生ママって呼ばれないかもしれない」2歳息子が“発達障害”と診断され絶望…落ち込む倉持由香(32)を救った、プロゲーマー夫の“的確すぎる言葉” 〉から続く
2021年、第一子となる湊さんを出産したグラビアアイドルの倉持由香さん(32)。今年、その湊さんが自閉スペクトラム症であることを公表した。夫でプロゲーマーのふ~どさんとともに、湊さんの特性にどのように向き合ってきたのか。また、自身のキャリアについても振り返ってもらった。(全3回の3回目/ 1回目から読む )
◆◆◆
保育園の手続きで職業欄に「タレント」「プロゲーマー」と書くと…
――倉持さんがグラビアアイドルで、夫のふ~どさんがプロゲーマーということは、お2人とも個人事業主?
倉持由香さん(以降、倉持) 最近夫は法人化しましたけど、基本的に2人ともずっと個人事業主ですね。
――夫婦ともにフリーランスだと保育園に入りにくいことはなかったですか。
倉持 うちの自治体は幸いにも問題なかったですね。ただ、区役所に出す書類で互いの職業欄に「タレント」「プロゲーマー」って書いたら、窓口の方が「ん?」みたいになってしまって。
――夫婦ともに珍しい職業ですよね。
倉持 特に夫の方はどんな働き方なのかイメージしにくいと思ったので、過去の成績とか、アメリカの事務所のホームページをプリントアウトして追加書類として区役所に提出しました。
あと、仕事の時間割みたいなのも書くじゃないですか。
――保育が必要な理由を証明する「就労証明書」に、何時から何時まで働いて、休み時間はどれくらい、と書く欄がありますよね。
倉持 そうそう。そこに、深夜から朝方まで生配信をしたり、練習もしています、みたいなことを書いて。とにかく預けないと練習ができなくて収入がなくなっちゃうんですと、いかに練習が必要な仕事かということも書きましたね。
そうしたら役所の方も、「ああ、最近話題のeスポーツのやつか」という反応で、認知度は上がってるんだなと感じました。
グラドルとプロゲーマーは「けしからん職業」と思われがち
――プロゲーマーという仕事が認知される前は苦労もあった?
倉持 10年前、夫がプロゲーマーになりたての時に税務署に調査に入られたことがありましたね。
「プロゲーマーとは何だ!」みたいな対応で、「ゲーム機材は経費になりません」と言われて、いやいやいや、と。当時はまだまだ認知度が低かったので、ふざけた職業のやつがいると思われたのかもしれません。
――「けしからん職業」と思われがちだったんですね。
倉持 「ピコピコ遊んで稼ぐなんてズルい」みたいに思われたりとか、ネットでも「プロゲーマーなんてまともな職業じゃない」みたいな。それは私のことも言われるんですけど。
特に、息子の自閉スペクトラム症を公表したときは、「親がプロゲーマー(笑)とグラビアアイドル(笑)」とか、「そんなまともじゃない仕事についている親の子どもがまともなわけない」と書かれたこともありました。
グラビア復帰後に受けた誹謗中傷の中身
――ひどいです。お子さんを産んでグラビアに復帰されたときも誹謗中傷があったそうですね。
倉持 妊娠して24キロ太っちゃったんですけど、産後にダイエットして『週刊プレイボーイ』で復活したとき、「母親なのにグラビアをやるなんて」みたいな声があって。あとは、「俺が夫だったら妻がグラドルなんてイヤだ」みたいな意見も多かったです。
――倉持さんはどのように受け止めたのでしょうか。
倉持 グサッとはきつつも、別にあなたの妻じゃないしなあ、みたいな(笑)。夫が嫌だって言ってたら話は別ですけど、うちの夫はまったく気にしてないし、むしろ「やりたいことはやった方がいいでしょ」「ダイエットしてえらいねえ」みたいな感じなんで。
――「母親なのに~」という意見に対してはどうですか。
倉持 息子が思春期になってもまだ続けてたらちょっと違うのかなと思いつつも、息子が「ママ、恥ずかしいからやめてよ」と思えるぐらい成長してたら、それはそれですごくうれしいですね。
いろいろ意見もあるし、心がささくれ立つのも嫌なので、今は表立ってはグラビアをやっていなくて、Discordというサービス内でコアなファンの方向けにグラビアを掲載しています。
面倒くさいことや不得意なことはどんどん外注
――“母親はこうあるべき”みたいなものを押し付けられることもありますか。
倉持 うちは外食や冷凍食品を使うことも多いし、家事代行サービスも週2で利用しているんですけど、そういう投稿をすると、「ちゃんとママが手料理作ってあげないとダメですよ」とか「母の味で育ててあげて」とかって言われますね。昭和の方なんですかね(笑)。母親が作らなきゃいけないルールなんてないんだから、別にパパが作ってもいいわけですし。
私も夫も働くのは好きだけど、家事はそんなに好きじゃないので、面倒くさいことや不得意なことはどんどん外注して、その分、お互い働いてお金を稼いで、得意な方にやっていただくスタイルにしてます。仕事から帰ってきて「めしは?」なんて言われたくないし、夫も絶対そういうことは言わない人です!
――もともとお母さんになった後もグラビアは続けていこうと思われていたのでしょうか。
倉持 最初はグラビアは終わりかなと思ってました。グラビア自体はずっと大好きなんですけど、ママグラビアに需要がないだろうと思ったので。体型も崩れるだろうし。
「手段」じゃなくて「目的」…グラビアアイドルになった理由
――お子さんを持つと決めた段階で、キャリアにひと区切りをつけようということだったんですね。
倉持 そもそも、結婚してからはそんなにグラビアのお仕事はしてなかったんです。夫がプロゲーマーということもあって、ゲーム関係のお仕事が多くなっていました。
――結婚を機にグラビアからは卒業しようと思われていた?
倉持 でも、「卒業」とはあまり言いたくなかったんですよね。卒業と言うと、嫌々やってたのかなって思われるかなと。でも、私は本当にグラビアがずっと好きで、グラビアに生きてグラビアに死にたいと思ってるんですよ。
――「グラビアに生きてグラビアに死ぬ」、カッコいいです。
倉持 グラビアアイドルって、だいたいがタレントとか女優へのステップアップの手段なんですけど、私はグラビアアイドルになりたいと思ってこの世界に入ってるんで、「手段」じゃなくて「目的」なんですよね。
それで、長年の目標だった『週刊プレイボーイ』の表紙にも出られたので、グラビアをやりきったと思って結婚したんです。
コンプレックスだった巨尻を武器するようになって…
――「尻職人」と名乗っているとおり、倉持さんはお尻を強みにされていましたが、そのきっかけは?
倉持 元々は巨尻がコンプレックスで、サイズも逆サバ読んでたくらいお尻は出したくなかったんですけど、とにかく全然売れなかったんです! メディアに出始めるまで9年くらい下積みしてました。
そんなときにカメラマンさんから、「もっちーはその大きなお尻を武器にした方がいい。出さなかったらただの“無駄尻(むだじり)”だよ!」と言われて(笑)。その言葉に衝撃を受けて、じゃあこのコンプレックスの尻を武器にしようと思って、前面に出した活動を始めたんです。
――おのずと人よりお尻を出す時間が多かったと思いますが、外気にさらすことで思わぬ影響などはありましたか。
倉持 外気の影響は特になかったですけど、腰痛がひどかったですね。
――撮影時のポーズの問題で?
倉持 そうです。顔とお尻を同じ方向に向けるんですよ。レンズの方向にグイッて感じで。それを長期間続けていたらヘルニア一歩手前みたいになっちゃって。ギックリ腰も一時期繰り返してました。
あと、長年腰を酷使していたからか、妊娠中は座骨神経痛になっちゃったんですよ。こうならないように、若いグラドルたちにはちゃんと定期的に接骨院などでメンテナンスしてほしいですね。
――お尻のコンディションを整える作法とか、そういうものもあったのでしょうか。
倉持 撮影前は、フェイスパックを右尻、左尻にペンペンって貼ってましたね。お尻が顔みたいなものなので。
13歳で芸能活動開始…小中高大と全部不登校だった学生時代
――倉持さんは13歳のときから活動をはじめ、今年活動20周年だそうですね。学生の時は学業との両立が大変だったのでは。
倉持 それがあんまり通ってなかったんですよ。小中高大と全部不登校で。特にいじめられたとかじゃなくて、同じ時間に同じ場所に行けない、学校に行こうと思っても足が動かなくなっちゃうんです。だから、普通のお仕事もできなくて。
――たしかにグラビアのお仕事だと時間も場所も日によって違いますよね。
倉持 そうなんです。毎日違うことはできるけど、逆に、毎日8時に定時出社とか、学校に行く、みたいなことが全くできないんです。だから、そういう自分の特性が湊に受け継がれてしまったんだろうかとか、そういうのもあって自分を責めていたんですけど。
――ご自身の特性を活かした道を早くから見つけていた、とも言えますよね。
倉持 誰でも凸凹ってあると思うんです。発達障害はその凸凹が顕著なものだと思うので、湊に関しても、凹の部分を平らにすることに力を割くのではなく、凸を大きな凸にしていってあげたいなと思いますね。
「尻なんか出して恥ずかしい仕事」って思われてるかもしれないけど…
――倉持さんの場合、その凸がグラビアであり、お尻であったということでしょうか。
倉持 そうかもしれないですね。グラビア界って「童顔巨乳」が不動の人気で、その山はたとえるなら日本一の“富士山”なんです。で、その富士山のてっぺんに行くために、たくさんのグラドルたちがずらーっと山道に列を作っている状態というか。
その中で私は山道の手前の樹海で9年ぐらいさまよって、これは無理だなと思ったとき、もう富士山じゃなく、その近くに“尻の山”をたてようということで、方向転換して。尻の山は“童顔巨乳山”より低いかもしれないけど、てっぺんにいればメディアに見つけてもらえるだろうから、人と違うことを武器にしようと思ったんです。
――自ら築いた“尻山”の山頂から見た景色はいかがでしたか。
倉持 すごくいい眺めでしたね(笑)。尻の山を築かなかったら、たぶんずっとメディアに出られないままグラビア界の樹海を彷徨っていたと思うので。
そうやって本当に自分がやりたいことを順序立てて、目標のために逆算して頑張ってきた自負もあるんです。傍から見たら、「尻なんか出して恥ずかしい仕事」って思われてるかもしれないですけど、私は20年間やりたいことをやってきたから、息子にも「ママはこれで君のおむつ代を稼いだし、今住んでいるお家もママがグラビアをやってきたからローンを組めたんだよ」と、尻を張って言いたいと思います。
撮影=杉山秀樹/文藝春秋
(小泉 なつみ)
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