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あなたが経済ニュースをいくら読んでも「決して金持ちになれない」シンプルな理由「記事を作っているジャーナリストたちは…」

文春オンライン / 2024年11月26日 6時0分

あなたが経済ニュースをいくら読んでも「決して金持ちになれない」シンプルな理由「記事を作っているジャーナリストたちは…」

なぜ経済ニュースを読んでも、金持ちにはなれないのか? その理由は…。写真はイメージ ©getty

 投資を成功させるうえで、ぜひ参考にしたいのは「経済ニュース」…という考え方は、ただの思いこみにすぎない。ここでは、あなたが経済ニュースをいくら読んでも「金持ちになれない」理由について解説。

 世界各国でベストセラーになった金融ジャーナリストのニコラ・ベルベ氏の新刊『 年1時間で億になる投資の正解 』(新潮社/土方奈美訳)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/ 後編 を読む)

◆◆◆

「ジャーナリストたちはまったく富豪などではない」

 ほぼすべての投資家がニュースに関心を持っている。目的は危険なサインをキャッチすること、市場の現状を把握すること、そして今後何が起こるかをイメージすることだ。

 ただ投資の観点からいうと新聞を読んだりテレビをつけたりといった行為は、資産を増やすより減らしてしまう可能性が高い。

 最新の経済情勢に精通していれば金持ちになれるのなら、ジャーナリストはみな大富豪になるはずだ。親愛なる読者のみなさまにこっそり教えよう。ジャーナリストたちはまったく富豪などではない。

 確かに経済ニュースはおもしろいし、資産運用に関する記事は私たちの人生に影響を及ぼすかもしれない。

 だがボーイングの受注が予想を上回っただとか、ネットフリックスがここ3カ月で欧州連合域内のサブスク会員を新たに500万人獲得したとか、アップルが中国で地歩を固めるのに苦労しているといった情報は、投資家としての私たちに何の役にも立たない。

 一番声の大きい者は、往々にして一番間違っている。たとえばジム・クレイマーはアメリカの金融ニュースチャンネル、CNBCの花形キャスターとして20年以上にわたり、景気や市場の状況に基づいて日々どの銘柄を売買すべきか推奨してきた。

 これほどの専門知識や人脈を持つウォール街の象徴のような人物なら、パフォーマンスでS&P500を上回っているのではないかと思うだろう。

 だが現実には、クレイマーは市場に勝ってはいない。数年前のある研究では、ジム・クレイマーが設立した投資ファンドの過去15年のリターンは65%であったのに対し、同期間のS&P500のリターンは70%だった。

 つまりクレイマーがあれだけのエネルギーを注ぎ、何千件もの分析を重ね、有力な情報源に数えきれないほど電話をかけたにもかかわらず、投資家は彼にお金を預けるより単にアメリカの主要500社の株価と連動するETFを保有していたほうが儲かった計算になる。

 市場が下落すると、メディアはすぐに災害モードに突入する。そして私たちは「ウォール街の大虐殺」「市場の暗黒の一日」「あなたのお金を守る3つの投資法」といった記事をこれでもかというほど見せられる。

 作家で投資家のジョシュ・ブラウンは、25年近いキャリアのなかで市場の有為転変を何度も経験してきた。そんなブラウンは投資家にこうアドバイスする。スマホのニュースアプリの通知を今すぐ、すべて、オフにせよ

「ニュースアプリはあなたをスマホのホーム画面から自分たちの世界に引きずり込むように設計されている。広告を見せ、あなたの行動を測定するためだ」とブラウンは書いている。

「あなたが注意すべきはニュースではなく、あなたを人生から引っぺがし、彼らの術数に引きずり込もうとするトラップだ。通知をオフにしよう」

 そんなことをしたら運用のパフォーマンスが落ちるのではないかと不安を感じた人こそ、一番スマホと距離を置くべきだとブラウンは言い添えている。

「速報ニュースに基づいて頻繁に株の売買を繰り返し、利益を上げている投資家はいない。ゼロだ。一人もいない。そんな方法で儲かるはずがない。必ず損をする。まだこの事実を知らない人も、いずれ自分の運用成績を振り返り、自分がピエロだったことに気づくはずだ」

一番たちが悪いのは「後付の解説記事」

 こうした観点に立つと、一番たちが悪いと僕が思うのは、特定の会社の株が上がった、あるいは下がった理由を説明する記事だ。

 こうした記事には「今日、バンク・オブ・アメリカの株が下落した理由とは」、あるいは「ネットフリックス株が暴落した3つの理由」といった見出しがつく。

 読んでいると、書き手にはこうした下落が起こることはわかっていた、そんな人物がわざわざ労をとって私たちに理由を説明してくれるのは奇跡のように有難いことだという気がしてくる。こうして株の下落を予測することは可能だという認識が一段と強まる。

 だが実際には、記事の筆者たちは株がどうなるかなど、まるでわかっていない。後づけで下落の理由を説明し、投資家からクリック数を稼ごうとしているだけだ。

〈 「読者の忘れっぽさ」だけじゃない…経済メディアが市場予測を外しまくっても“倒産しない2つの理由” 〉へ続く

(ニコラ・ベルベ,土方 奈美/Webオリジナル(外部転載))

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