ILLIT、韓国での“リアルな評価”は? K-POP界を震撼させた「パクリ騒動」の知られざる“その後”「日本人メンバーのモカとイロハは…」
文春オンライン / 2024年11月4日 17時0分
韓国エンタメの祭典「KCON JAPAN2024」のレッドカーペットに登場したILLIT。(左から)ミンジュ、イロハ、ウォンヒ、モカ、ユナ ©時事通信社
毎月のように新たなグループが現れては熾烈な競争を繰り広げるK-POP界。今年3月にデビューしたばかりの“新人”にして世間の注目を集めているガールズグループが、ILLIT(アイリット)だ。日本人メンバー2名も擁するILLITは、韓国でどのような評価を集めているのか? ウェブ版『スポーツソウル日本版』を手掛けるピッチコミュニケーションズの姜記者が、現地の報道と独自取材をもとに読み解く。
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日本人のモカ(20)とイロハ(16)、韓国人のユナ(20)、ミンジュ(20)、ウォンヒ(17)で構成された5人組ガールズグループのILLITは、昨年6~9月にABEMAでも配信されたサバイバルオーディション番組『R U Next?』を通じて誕生した。所属事務所はBTSらを擁する大手芸能事務所・HYBEの傘下レーベルであるBELIFT LABだ。
“自主的で積極的な意志”を意味する「I WILL」、“特別な何か”を意味する代名詞「IT」を組み合わせたグループ名には、「何にでもなれる潜在力を持つグループ」という意味が込められている。
デビューして早々、「コピーしている」と批判が…
しかし今年3月にデビューして早々、ILLITに逆風が吹いた。今年4月、5人組ガールズグループのNewJeansが所属するHYBE傘下レーベル・ADORの前代表ミン・ヒジン氏がHYBEから業務上背任の疑いで刑事告発された。すると、ADOR側がHYBEに対する反論の声明内で「ILLITは髪型、メイク、衣装、振り付け、写真、映像、イベント出演など、芸能活動のすべての領域でNewJeansをコピーしている」と批判。ILLITを「NewJeansの亜流」「ミン・ヒジン風」などと呼んだのだ。
この騒動もあり、一部では「NewJeansの二番煎じ」など否定的な意見を受けることになってしまったILLIT。果たして本当に彼女たちは“二番煎じ”で“亜流”とされるグループなのか? 現地での“リアルな評価”を探ってみたい。
“HYBEの末娘”とも呼ばれ注目されてきた
ILLITは、宮脇咲良を擁する「LE SSERAFIM」、「NewJeans」に次いで3組目に輩出するガールズグループということもあり、“HYBEの末娘”とも呼ばれ注目されてきた。2月にはデビューの前にもかかわらずパリのファッションウィークに招待されるなど、海外でもその期待値が高まっていた。
そして3月25日、1stミニアルバム『SUPER REAL ME』で満を持してデビューすると、タイトル曲『Magnetic』で大きなヒットを放つ。デビューショーケースから現在までILLITの取材を続ける、『スポーツソウル 日本版』の母体にあたる『スポーツソウル』の芸能記者が、その人気ぶりを語る。
「ILLITは“イマドキの10代”をありのままに描き、同世代を中心とした大衆から共感と好評を得たことで、『Magnetic』で韓国の音楽番組12冠を達成しました。また、K-POPアーティストのデビュー曲では初めて米ビルボードのメインソングチャート『HOT 100』チャートインを果たし、デビュー後歴代最短で同チャートに入るという快挙も成し遂げました。ほかにも、韓国国内の主要なチャートすべてでリアルタイム1位に輝くという、通称“パーフェクト・オールキル”を達成するなど、数多くの記録を打ち立てたことで、まさに鮮烈なデビューを飾ったと言えるでしょう」
“受験生禁止ソング”と呼ばれる理由
中毒性のあるメロディで一度聴いたら耳から離れないことから、韓国の受験生の間で勉強時に聴いてはいけない“受験生禁止ソング”とも呼ばれている『Magnetic』。同曲は米ビルボードの「グローバル(米国を除く)」と「グローバル200」で30週連続チャートイン中と、現在も根強い人気を見せている。
筆者も5月、幕張メッセとZOZOマリンスタジアムで行われたK-POPフェスティバル「KCON JAPAN 2024」を取材した際にILLITの姿を目にしたが、メンバーと世代の近い10~20代の女性が熱狂的に声援を送る姿が印象的だった。なぜILLITがデビュー直後から、それも若い“Z世代”から人気を集めるのか、前出の芸能記者はこう分析する。
「耳馴染みのよいメロディ、ハツラツとしてダイナミックな歌詞、弾けるようなパフォーマンス。三拍子そろったバランスの良さで、世界中の10代から人気を集めていると感じます。特に、TikTokなどのショート動画で『Magnetic』に合わせて踊るダンスチャレンジがブームを起こしたことで、大衆的な人気を掴んだと評価されています」
実際、『Magnetic』のダンスチャレンジ動画をはじめ、ILLIT公式TikTokでは全動画の累計再生回数が10億回を突破。TikTokで今夏に人気を集めた楽曲によるランキング「Songs of the Summer 2024」でも、韓国で6位、日本で5位とランクインした。まさに、韓国内外を問わず“Z世代”を魅了するアイドルとしてまたたくまに地位を築いた。
韓国メディアによるILLITの評価は?
そんなILLITについて、韓国のネットメディア『SPOTV NEWS』は「音楽やパフォーマンス、ビジュアルなどさまざまな側面で10代が共感できる要素が多いのがILLITの魅力」としている。さらには「音楽やステージ、SNSなどで見せるハツラツとした姿が、まるでいつも一緒に遊んでいるようなクラスメイトを連想させ、“リアルな10代”の姿を思い浮かべることで良い反応を得ている」と評価する。
韓国メディア『OSEN』も、「ILLIT の人気の要因は“トレンディさ”にある」と指摘し、こう続ける。「最近の流行を素早くキャッチし、それを“ILLITならでは”の魅力に昇華させる。キャッチ―な振り付けなど、誰もが真似したくなるようなコンテンツを発信し、トレンドをつくっている」。
「スターの登竜門」ポカリスエットのCMに起用されたメンバーも
そして何より、メンバー一人ひとりの個性溢れる魅力も同世代から支持される理由の一つだろう。
『愛の不時着』女優として知られるソン・イェジンやTWICEも過去に出演し、韓国では「スターの登竜門」と呼ばれる「ポカリスエット」の2024年CMモデルに起用されたウォンヒや、人気音楽番組『ミュージックバンク』のMCを務めるミンジュなど個々人の活躍も光る。さらに、ある業界関係者は日本人メンバーであるモカやイロハにも着目している。
日本人メンバーへの評価は…
「モカは『Magnetic』で披露したスタイリングが美容系クリエイターの間で大きな注目を集めました。韓国でも人気のあるサンリオキャラクター『シナモロール』と似たキュートなルックスが、ILLITを初めて見た人たちをも魅了し、多くのGLLIT(グリット:ILLITのファンの名称)を獲得したと言われています。さらにモカは、毎回のステージで異なるコンセプトを完璧に消化することから、“完成型アイドル”と呼ばれています」
2008年生まれ、現在16歳のイロハについてはこう語る。
「最年少メンバーながら、3歳からダンスを始めて“ダンスの神童”とも呼ばれています。HYBEに入社する以前はTWICEやNiziUの所属事務所であるJYPエンターテインメント練習生だった時期もある実力派。ILLITの中で実質的なメインダンサーの役割を担っています。NiziUのメンバーとも親交があるようで、たびたびSNSで話題となっています」
韓国では順調に人気を伸ばしている
前述した「NewJeansの亜流」騒動で思わぬ批判に巻き込まれたILLIT。ただ、韓国では至って順調に人気を伸ばしていると言えるだろう。
実際、10月21日にリリースした2ndミニアルバム『I’LL LIKE YOU』は発売後1週間の販売枚数で前作『SUPER REAL ME』を超える38万2621枚を記録。タイトル曲『Cherish(My Love)』もミュージックビデオが公開後16時間で再生回数1000万回を突破するなど、『Magnetic』に続く勢いを見せている。
『Cherish(My Love)』は、韓国で「愛の歯(サランニ)」と呼ばれる親知らずを“誰かを愛する思い”に例え、「あなたの気持ちも気になるけど、それよりもあなたを好きな私の気持ちがもっと大切」と、“誰かを好きになる自分の姿に満足する”という10代の思いを投影した曲だ。
メンバーが語った、新曲に込めた“メッセージ”
「I ch ch ch ch cherish my love」と繰り返されるサビの中毒性。それに加え、韓国の著名ダンサーとして知られるJ Black(ジェイブラック)は「ILLITのダンスは簡単に見えるが、実際はそうではない。複雑な手の動きのほかにも、全体的にリズムやグルーヴが細かく決められており高いスキルが求められる。メンバーたちがそれを当然のようにこなすから簡単に見えるのだ。一見キュートでも難しい動作が多く、大変そうに見えないということは、それだけダンスが上手いということだ」とそのパフォーマンス能力を評価している。
10月21日に行われた『I’LL LIKE YOU』のショーケース*内で、最年長メンバーのユナは「どんな状況でもILLITを変わらず応援してくれるファンを思いながら、良い姿をお見せしようとアルバムを熱心に制作しました。苦労してきてくださった会社、スタッフ、そしてファンの方々に、『動揺せず、私たちは私たちだけの道を行く』というメッセージを込めました。絶えず前進し続けるグループになります」と、今作に込めた思いを語っていた。
*ショーケース:K-POPで使われる言葉で、新曲発表の前に開かれるお披露目会のこと
「ILLITの魅力は、女子生徒のようで、友達のようで、それでいて家族のような雰囲気にあると思います」とはモカの言葉だ。まだデビュー1年にも満たない彼女たちが、この先も同世代の共感を呼ぶヒット曲の数々を披露することを期待したい。
(姜 亨起)
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