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《2024ハロウィーン》「規制しても結局こうなんだ」渋谷では人が密集、歌舞伎町では殴り合いの大喧嘩…規制が強化されたはずの都心部ハロウィーンで起きていた“恐ろしい現実”

文春オンライン / 2024年11月1日 12時0分

《2024ハロウィーン》「規制しても結局こうなんだ」渋谷では人が密集、歌舞伎町では殴り合いの大喧嘩…規制が強化されたはずの都心部ハロウィーンで起きていた“恐ろしい現実”

外国の人と写真を撮ったり、見知らぬ人とコミュニケーションがとれることが一番の魅力と語るなるさん(右)とももさん ©文藝春秋

 2018年の渋谷ハロウィーンでは、狂乱する群衆が軽トラックを横転させ、複数の逮捕者が出た。騒動を受け、渋谷区は2019年から条例でハロウィーンの時期における渋谷駅周辺での夜間路上飲酒を禁止し、以来、年々規制が強まった。

 とはいえ、2022年時点では「遊びに来るなとは言いたくない。ルールを守って楽しんでもらいたい」(長谷部健渋谷区長)と、融和を意識したともとれるメッセージを発していた渋谷区。そこから態度を一転させたのが2023年だった。「今年は『【注意】渋谷はハロウィーンイベントの会場ではありません。』と世界に明確に伝えたいと思います」(同上)と強硬な姿勢を見せ、過去に行った規制に加え、ハチ公前周辺の封鎖にまで踏み切った。

 結果、2023年の渋谷ハロウィーンは、ピーク予想来街者数が6万人だったにもかかわらず、実際に渋谷を訪れた人々が1万5000人にまで激減。

 そして2024年の秋、渋谷区長は、「迷惑な路上飲酒や騒ぐのではなくルールを守って過ごすよう心がけてほしい。街を訪れる皆さんには、地域の文化や環境を尊重し、サステナブルな行動を心がけてほしい」という声明を発し、前年に劣らぬ、いや前年以上の規制を行った。

 それでも、狂騒を求め、渋谷に集う人は数多い。

「規制してもこれかー」

 音ゲーを嗜む「スラッシュ」さんは、ナンパされたいという目的でセーラーサターンのコスチュームに身を包む。

「今年で渋谷のハロウィーンに参加するのは10年目くらいです。注目される服装を選んではいるんですが、でも、いつも『一緒に写真撮ってください』で終わってばかりで、そこからは……。あ、でも、昨年は連絡先交換もできましたね」

 恋路の詳細はわかりかねるが、長年渋谷のハロウィーンに足を運んでいるスラッシュさんは、さまざまな事件、事故を目の当たりにしてきたのだとか。

「軽トラの横転事件も見ていたんですよ。他にも、まったく規制がない頃は、酔っ払っているのかわかりませんけど、奇声を上げながら疾走してくる人にぶつかられたこともありました。今のような規制は絶対に必要だと思っています」

 一方、数多くの男性から写真撮影を求められていた、ももさん(25)、なるさん(22)は、渋谷ハロウィーンの規制に対して、異なる見方をしていた。

カメラマンに囲まれる女性

「規制しても結局こうなんだという感じはありますよね。場所を移動しようとしても、撮影してくる人がたくさん集まってきちゃって、身動きとれなくなっちゃったりして。なのにセキュリティはウチらに『その場を移動しろ』って言うんです。ウチらより周りの人を注意してほしかった(笑)。

 結局、一人ひとりの意識の問題なんだと思うんですよね。お酒の制限もそうだし、まずは自制心を持つことが大事なんじゃないですかね」

 こうした状況を、さらに若い人々はどう考えているのか。密集地帯から少し離れた場所で彼女と待ち合わせ中だという青年に聞く。

「いま20歳の大学生で、今日は都内から来ました。友達も誘ったんですけど『いや、いいわ』って言われちゃって(笑)。彼女と二人で渋ハロを楽しむ予定です。

 ハチ公前だったりセンター街は、ふつうに歩いていたとしても『止まらないでください!』っていうセキュリティの声がすごいですよね。でも、それも仕方ないと思っています。

 とにかく、事故が起こったらダメ。ジョーカーのコスプレをしてはいますが、『何も起きないといいな』と」

 なお、規制区域を少し外れた場所に店舗を構える飲食店従業員は「今日は、いや、今日だけじゃないですけど、あからさまにコスプレしているような人は店に入れていません。お店で酔っ払われるのがそもそも嫌ですし、今日の方々のテンションはその何倍も厄介そうじゃないですか」と、笑いながら語る。

 一方、話を聞いた店の斜向かいにある飲食店では、店前の看板に「コスプレ着用のお客様ドリンク500円」との記載が。渋谷という街の懐の深さ、おおらかさのようなものが現れているように感じられた。

「人間としていかがなものか」

 昨年は渋谷区が強い規制を設けると発表したなか、その他の区は大きな制限を設けておらず、賑やかなハロウィーンを楽しみたい一部の人が新宿へと流れ、騒ぎとなった。

 そうした事態に対し、吉住健一新宿区長は10月7日、日本外国特派員協会での記者会見において「勝手に集まって騒ぎ、街を汚して帰っていく。人間としていかがなものかというイベントになっている」「ただ来て勝手に騒いで、勝手に散らかして帰っていく。非常に異質な現象ですので、そういったことは厳に控えてほしい。ハロウィンにあたって、わざわざ新宿に来なくても結構ですと正直思っている」と強烈な苦言を発信。歌舞伎町1丁目と新宿3丁目の一部に路上飲酒の制限を実施するほか、酒などの販売自粛要請を行うと発表していた。

 そして、2023年に騒ぎの中心になっていたシネシティ広場を今年は閉鎖した……が、ハロウィーンを楽しもうとする歌舞伎町の人々はただ単に周囲の道路に押し出されるかっこうで思い思いに楽しんでいる様子だった。

 仕事中にもかかわらず取材に応対してくれたピエロ姿の男性は「このあたりの店で働いているんですけど、今日はとにかく治安が悪いですね」とこぼす。

殴り合いの喧嘩が勃発

 実際、取材中にも、男性グループ同士が口論となり、殴り合いの喧嘩に発展するトラブルが発生。外国人観光客らがその状況を指笛や歓声で煽りながら、スマートフォンのカメラを向け続けるという状況に遭遇した。

 しかし、歌舞伎町に慣れ親しむ人にとって、そうした騒動は日常茶飯事なのか、トラブルはすぐに収拾し、数分も経たぬ間に、各々が各々のハロウィーンを楽しみ始めた。

 トー横脇の路上で髪を整えていた方に話を聞く。

「こっちによく飲みに来ていて、友達も多いですし、渋谷のハロウィーンはオワコンだと聞いて、消去法で新宿に来ました。

 4、5年前までは渋谷のハロウィーンに行っていたんですけど、こっちの方がまだ人が少ないじゃないですか。全然歩けるんで。それが新宿に来た一番の理由かもしれませんね。

 心は完全に男の子なんですけど、もともとこういう可愛い格好が好きなんですよね。俗に言う地雷系みたいな?」

 首長のメッセージは響かなかったのか、今年も多種多様な人々が数多く渋谷、新宿には集った。

(「文春オンライン」編集部)

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