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「家がなくてかわいそう」「迷惑かけやがって」とネットで批判…スクールバスを“魔改造”して車中泊生活を始めたオシャレ男女が明かす、周囲からの反応

文春オンライン / 2024年11月9日 11時0分

「家がなくてかわいそう」「迷惑かけやがって」とネットで批判…スクールバスを“魔改造”して車中泊生活を始めたオシャレ男女が明かす、周囲からの反応

「HAPPY CARAVAN」のコージさんとさあやさん(さあやさんのInstagramより)

 アメリカンスクールバスをキャンピングカーに改造して日本一周の旅に出た、「HAPPY CARAVAN」のコージ(42)とさあや(35)。

 そんなふたりに、日本一周の旅に出るまでの経緯、アメリカンスクールバス購入と改造、カップルではない男女が車中泊で旅をすることに対する周囲の反応などについて、話を聞いた。(全2回の1回目/ 2回目に続く )

◆◆◆

「じゃあ、行こうよ」みたいな感じで500日くらい旅をした

――当初から、ふたり一緒に車中泊で日本一周しようと考えていたのですか?

コージ もともと、彼女とは仲が良くて。僕はキャンピングカーで旅に出たいと話していて、彼女のほうも日本全国を回りたいって言ってたんですよ。それがいいタイミングで合致して「じゃあ、行こうよ」みたいな感じになって、500日くらい旅したって感じです。

さあや 私は東北出身なんですけど、地元と神奈川、東京に住んだことしかなくて。全国をめぐりながら、住みたくなるような場所を探せたらなと考えてたんです。

 そういうなかで、コージさんが車を買ったみたいなことを、ちょっとは聞いてたけど、どんな車を買ったとか、それでなにをするとかは全然知らなくて。納車されたのって、コロナが始まったぐらいだっけ?

コージ そう。2020年の2月だから、コロナと同時ぐらい。

さあや 私はコロナきっかけで美容師の仕事を辞めたんですけど、すぐ旅に出てはいなくて。コージさんもスクールバスを買ってたけど、放ってたんだよね。

コージ そうだ、スクールバスは1年くらいずっと置いたまんまだったんだ。それから車をイジったりして、2021年6月に出発したんだ。

さあや 「これが来た。俺はこれで旅に出るんだ」って、スクールバスを見せてもらって。すごくキャッチーな車だから「こんなのに乗って旅したら超楽しそう」と思って。でも、こっちはまだまだ「いってらっしゃい」って感じだったんですけど。

 そもそも旅したいといっても、車中泊するなんて思ってもいなかったですね。自分ひとりで旅に行くつもりだったときは、もう普通に新幹線とかで行こうと思っていたぐらいなので。

「キャンピングカーで旅に出たい」と思うようになったワケ

――コージさんは、なにか理由があって「キャンピングカーで旅に出たい」と?

コージ 世捨て人願望があったんです。僕は湘南で美容室の経営をやってるんですけど、けっこうつらい部分がいろいろあって。お金を借りて回していかなきゃいけないし、社員に良かれと思って環境を整えても、そんなに反応が良くなかったり。

 そういうのが溜まっていて、すべてをなげうって、あらゆるしがらみから解放されたいって思いが、すごく強くあって。正直、ぜんぶ放り投げて世捨て人になってもいいんだけど、それって簡単にできないじゃないですか。そういうのがあって、車であちこち放浪することに憧れたんですよね。現実は絶対にあるので、現実逃避はできないけど、いろんな場所に行ったら気が晴れるのかなって。

コロナ後に美容師の仕事を辞めた経緯

――さあやさんは、コロナをきっかけに美容師の仕事を辞めたとのことですが、なにかあったわけですか。

さあや コロナになって、仕事が一気につまらなくなったんですよ。それで、もう辞めようと。

 美容師といっても、自分でお店を持っているわけじゃなくて、表参道にある美容室で働いてたんですよ。で、「コロナになったから、これはしちゃいけない」とか「あれはムリ」とか、上からの制限が多くなって。たとえば、外出している様子をインスタのストーリーに載せたら、上から即「消して」と連絡がくるみたいな。

 あと、お客さまの数も実際ガクンと減ったんですよね。それで、ちょっと美容師から離れようって思ったし、ずっと前から日本を回りたいのもあって、「旅に出るなら、このタイミングだな」とはメチャ思ってました。

――では、お互いのタイミングが一致したのが2021年の6月だったと。

コージ それぞれの旅をしたいという気持ちのタイムラグがけっこうあったし、ひとりで行くつもりだったんですけど、そのあたりでたまたまタイミングが重なって出発しました。

ヤフオクで見つけたアメリカンスクールバスの出品

――コージさんは、車好きだったのですか。

コージ これが、まったく車に興味なくて。いまはスクールバスに愛着がありますけど、自動車自体には興味ないです。ただ、ずっと車には乗っているんですけど、あくまで移動するための道具として使っている感覚ですね。

――自動車に興味がなかったけど、アメリカンスクールバスには惹かれてしまった。

コージ 2019年に『VOGUE』のオンラインの特集で、ジャネル・イリアナさんというバンで生活しているアメリカの女性が紹介されてたんですよ。「バンライフってカルチャーがあるのか」って驚きつつも憧れて、自分もやってみようと思ってバンを探し出して。

 最初はトヨタのハイエースとか日産のキャラバンとかをチェックしてたんですけど、ちょっと狭いなと感じて。今度はダッジとかシボレーとか、アメ車のフルサイズバンと呼ばれてる車種で探して。フルサイズバンはハイエースよりも大きくて良かったんですけど、そこでスクールバスの存在に気づいて「これもアリかな」と思ってヤフオクをのぞいたら、ちょうど出品している人がいて。まぁ、2、3ヶ月は探してましたね。

手に入れたアメリカンスクールバスの大きさは?

――どんな方が出品を。

コージ 広島の方で、スクールバスを3台も持っていて。電話をしてみたら、その方は廃校になった小学校を買って、そこでなにかやろうとしていて、趣味のものを整理したくていろいろ売り出しているということで。そのひとつがスクールバスだったと。で、電話で意気投合して、そのまま個人売買でスクールバスを譲ってもらったという。

――手に入れたアメリカンスクールバスは、どこのメーカー?

コージ シボレーのバンで、シェビーバンと言われるフルサイズバンの1987年式ですね。それをスクールバス仕様にしてあって、長さが5.4m、幅が2.4m、高さが2.6mあります。

さあや アメリカンスクールバスもサイズがあって、コージさんが買ったのは一番車体が短いベリーショートってサイズで。ベリーショートは窓が4個で、一番長いのだと窓が8個になって、車体の長さが倍なんですね。

検索しまくって、車中泊できるようふたりで改造

――アメリカンスクールバスは、ネットオークションではけっこう出品されてるものですか。

コージ 僕が見つけた以降は出てないので、ほんとにたまたまのタイミングだったんじゃないですかね。見つけたときは「あー、あったー!」って感じで。中古車屋さんのサイトにはいくつか載ってたけど、それよりも50万円近く安かったのも嬉しくて。189万円で購入しました。で、受け取りは船便で広島から川崎港まで送ってもらって。

――おふたりで、車中泊できるように改造したわけですよね。

コージ ほかの人の手をまったく借りず、ふたりだけでやりました。

さあや やり方とか雰囲気とか、ググりまくったよね。

コージ YouTubeやらGoogleやら、検索しまくりました。ただ、僕は工作がすごい得意で。電子工作にはなるんですけど、エレキギターのエフェクターとか作ったり。なんでも自分で作っちゃおうかなってタイプで。

 だから、ハンダや電子回路は余裕ですし、自分の美容室の店舗なんかでも、普通だったら大工さんに造作してもらうような建具とか家具とか自分でやっちゃってたりしたので。木工とか、電気の配線とか、バッテリーを組むとか、そうしたもののスキルは全般的にあったという感じ。

――かなり作り込んだ車内ですが、徹底的に凝る予定ではあったのですか。

コージ 当初は僕ひとりで旅に出るつもりだったんで、席を外して、寝袋とポータブル冷蔵庫ぐらいを積めばいいかなぐらいに考えてたんですよ。でも、彼女も行くと言ったので、「じゃあ、ちょっとしっかり作ろうか」となって、なんかイイ感じの車内になったんですけど。

――さあやさんも、DIYがお好きで

さあや 全然。だけど、コージさんに言われるがままに一緒に作業したら、こんなになりました。私もそんなにぶきっちょなほうじゃないし、やってるうちに夢中になって。

さあやさんの意見が反映された内装

――内装はさあやさんの意見が反映されているそうですが。

コージ 彼女からイメージをヒアリングしましたね。

さあや でも、だいたい決まってはいました。コージさんが図面を引いて、「こっちにベッドを置いて」とかも決めてあったので、私は家具の色や形なんかを意見して。

――内装をめぐって意見がぶつかることは。

コージ ぶつかりはしなかったけど、クローゼットを作るかどうかは、だいぶ悩みましたね。彼女は、服をいっぱい持っているので。タンスみたいなものはスペース的に置けないので、吊り戸棚をたくさん作って解決しましたね。

さあや 車内の色は、基本的に白にして。べつに私もそんなにセンスがあるとかじゃないんで、白にしとけば間違いないだろうって。

――居住部分用のバッテリーも積んでいますよね。

コージ キャンピングカーのサブバッテリー、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーというのをたくさん積んでいます。さらに屋根には100ワットのソーラーパネルが10枚載っていて。リン酸鉄リチウムイオンバッテリーが1万ワットぐらい、ソーラーパネル10枚だから合計1000ワット。といっても、理論値で1000ワットなので、晴れている日で850ワットの入力ですかね。

 まぁ、余裕ですね。暑い日はクーラーで600ワットぐらい使うけど、ソーラーパネルだけでカバーできるし。

さあや でも、夜が充電できないからね。

コージ そうそう。

車体費と同じくらい改造費がかかった

――大変だった作業は、ありましたか?

さあや エアコンじゃない?

コージ ソーラーパネルかな。ソーラーパネル10枚で1000ワットだから、けっこう電圧が高くなって危険じゃないですか。たとえば、家でそれぐらいのパネルを設置するとなると電気工事士の免許が必要になるけど、車で工事する場合は免許はいらないんですよ。でも、感電して死にたくないじゃないですか(笑)。

 だから、パネルのメーカーとやりとりして、10枚を並列にするか、直列にするか、どう組み合わせると、出力はどれくらいになるのか。施工の順番はどうしたらいいのか。けっこう綿密に相談させてもらって設置しましたね。なので、ソーラーパネルに関しては考える時間が長かったという。

――DIYとはいえ、改装費もそれなりに掛かっていそうですね。

コージ 全然かかっています。バッテリーとソーラーパネルだけで、50万ぐらいいってる。合計で車体くらいですかね。

――車中泊仕様に完成させるまでの日数は。

コージ きっかり2カ月ぐらいかな。時系列をまとめると、2020年2月に納車。そのまま1年放置して、2021年3月ぐらいから取りかかった感じですね。5月終わりぐらいにはできていたかな。

さあや 私は2021年3月いっぱいで仕事を辞めたので、4月から改装に全振りです。

コージ そっか、じゃあ本格的に作ったのは4月からだ。

さあや そうそう、4月、5月、6月。それで、2021年6月に出発。

「車中泊って、なんかかわいそう」と思う人も…

――車中泊生活を送りながら日本一周することに対して、家族や友人などからなにか言われましたか?

さあや 付き合っていない男性とふたりで生活するわけですから、親には話をしておかないと思って言いに行きました。そうしたら、親は「楽しそう」とか「こういうのって、一生に一度しかできないからいいんじゃない」といった感じでしたね。でも、バンライフっていうキラキラしたイメージを持つ人もいる一方で、「車中泊って、なんかかわいそう」って思う人もいるんですよね。

コージ うちの母親は、そんな感じでしたね。さあやに会わせたときに「大丈夫なの?」とか「ごめんなさいね」みたいな感じで。

さあや やっぱり上の世代だと、車上生活みたいなイメージがあって、「家がないのか」とか不憫なイメージがあるみたいで。これが若めの世代になると、「楽しそう」という感じだけどね。

――実際、楽しいことばかりで?

コージ いや、ギスギスしちゃう場面もありましたよ。

さあや 「バス、降ります」って言いました。

コージ 出発10日で車が故障して、修理に1年費やすことにもなったし。

〈 カップルでも、夫婦でもない男女が“2人きり”で車中泊生活…“魔改造”したスクールバスに500日も住んだオシャレ男女が語る、車中泊のリアル 〉へ続く

(平田 裕介)

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