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「え、今?(苦笑)」選挙中の萩生田光一氏(61)が突然の質問に発した“なんとも歯切れの悪い一言”とは

文春オンライン / 2024年11月5日 6時0分

「え、今?(苦笑)」選挙中の萩生田光一氏(61)が突然の質問に発した“なんとも歯切れの悪い一言”とは

萩生田光一氏 ©時事通信社

 自民党がうごめいている。衆院選で過半数割れとなった与党の連携先は国民民主党か? 日本維新の会か?

 いや、何よりも先に「連立」しそうな集団がいた。派閥の政治資金問題で離党したり、非公認となって当選した人たちだ。いわば「新党裏金」と真っ先に連立するだろうと選挙前から予想していたのだがやはりニュースが飛び込んできた。

見事な「裏金連立」である

『世耕弘成氏・萩生田光一氏ら6人、自民党会派入り決定…「政治とカネ」蒸し返す懸念も』(読売新聞オンライン10月30日)

 見事な「裏金連立」である。裏金議員への非公認を経て、むしろ裏金議員の存在感が増すのだろうから、石破自民党のちぐはぐさが浮き彫りになる。溺れる者は裏金をもつかむ。

 さて、これだけ世の中の批判を集めながら選挙区で勝ち上がってきた候補者は地元ではどんな選挙戦をしていたのだろう。気になりませんか?

 私はそのうちの一人、萩生田光一氏の選挙戦に注目した。現場では何が話されていたのかをこの目で確かめたく、公示日から八王子に何度も入った。

「萩生田さんの演説です」「うわ、帰ろ帰ろ」

 第一声は八王子駅北口。 聴衆やメディアが集まり始めると「これから何かあるの?」と話しかけてきたおじさんがいた。「萩生田さんの演説です」と教えると「うわ、帰ろ帰ろ」と早足になる。

 話を聞くと、「僕はね、自民党は好きだけど今回は5人衆にはケジメつけさせないと。地元にもそう思ってる人いると思うよ。でも仕事の関係とかで支持する人が多いんじゃない?」と言って去っていった。「地元」と「仕事」というワードが頭に残った。

 萩生田氏の応援には自民都議、市議、国会議員らが駆けつけていた。自民党都連会長は「萩生田候補が最大のピンチを迎えている」と訴える。商工会議所会頭は「萩生田さんによって教育、都市計画、経済が発展してきた。力のある衆院議員に戻ってもらわないと」と演説。

 そして遂に萩生田候補が登場。私の前に座っていた年配の女性5人ほどが一斉にスタンディングオベーションで迎えた。

印象的だった萩生田氏の演説

 萩生田氏の第一声で印象的だったのはこちらだ。

「昨年来、私の政治資金の収支報告をめぐって政治不信を招く事態となってしまいました。派閥のルールを踏襲したとはいえ、立法府の一員としてやはりどこかで足を止めてこれでいいんだろうかと考えなければならなかったと反省しております」

 そして「不快な思いをおかけした皆様にお詫びを申し上げたいと思います」と述べると逆に拍手が起きた。

 続いて、「しかし私は、市民の皆さんに誓って申し上げたいのです。言われているような事務所で意図して裏金をつくるとか、私的流用を図るとか、ましてや脱税だとかこのような事実は一切ございません。不記載は確かにあったんですけれど、しかしこれは司法の場でも明確に判断いただき、現在はすべての修正を終えて正常化をしたところでございます」と説明。

 後半は、「批判のためだけに八王子を選んだ候補がよいのか。私の責任ですが、この故郷(ふるさと)を渡すわけにはいかないじゃないですか」と対立候補の話題で、語気を強めた。

「そんな人たちに故郷を任すわけにはいかない」

 これは次の演説現場(八王子市四谷町)でも強調していた。

「この選挙戦、野党の皆さんはこの八王子の選挙区を選んだ理由はたった一つ。私を批判するためです。私の落選運動のためです。もちろんご批判は甘んじて受けなければならない。しかし一方的な批判を街中でし続けてその先に八王子の何があるんでしょうか皆さん。街の発展にはまったくつながらないと思います」

 さらに、「すべて最初から最後まで私への批判、この街に対しての政策は1ミリもない。そんな人たちに皆さん、故郷を任すわけにいかないじゃないですか。私は是非この戦い、八王子を守る。その決意で戦い抜いてまいりたいと思います。全国から多くの活動家がこの八王子に集結しています。毎日のようにデモがおこなわれています。私はこの故郷をそんな街にはしたくない。八王子を守っていきたいと思います」

 この部分に支持者の熱い拍手が起きていた。感極まって「八王子を守ってくれー!」と叫びだす人も他の現場で見た。

「私は八王子の土になります!」

 萩生田候補の演説では、こうした野党候補による「批判」を批判し、「故郷を、八王子を守る」がキラーフレーズだった。他の候補はまるで侵略者のような扱いだった。

 さらにもう一つのキラーワードがあった。「私は八王子の土になります!」である。ジャーナリストの鈴木エイトさんによれば和歌山2区に出馬していた二階敏博氏の三男も「和歌山の土になります」と叫んでいたという。空前の土ブームである。

有田芳生氏の気になる言動

 萩生田氏の対立候補として注目を浴びていた立憲民主党の有田芳生候補の演説も見た。気になったのは「選択肢は2つ」と言い切っていたことだ。つまり自分か萩生田か、と。

 この選挙区には他にも4名が立候補していたので少し口がすべったのかと思い、私と同行していた鈴木エイトさんが「他の候補者は眼中にないのですか」と確認のために尋ねると有田氏は「眼中にない」とキッパリ。

 このあたりの振る舞いは有権者にはどう見えたのだろう? 萩生田候補が「八王子を守る」論法で展開していくのは予想できたので、立憲はたとえば地元出身の候補を立てることはできなかったのか? 野党の戦術についてもしばし考えた(有田氏は惜敗、比例復活)。

萩生田光一氏への質問のタイミングを探る

 私はここ数年、ラッパーのダースレイダーと共に全国の選挙現場を見ている。直接候補者に質問をする大事さを実践している。今回なら萩生田氏と話をしてみたい。ただ、ガードは厳重でなかなか話しかけるタイミングがない。そんなときに気づいたのが萩生田氏が選挙カーでずっと流している曲だ。

 調べると『ぼくらの八王子』で作詞はファンキーモンキーベイビーズ。ダースさんが「CDを出されたら無下な扱いはできないのではないか」とミュージシャンならではの発想をした。そして「ボクがサインをもらうので、そのあとに鹿島さんが質問してください」と。

 萩生田氏の気が少し緩んだところに私が質問をするという作戦だ。しかし群衆の中でそんなことはできるのか。懐疑的だったがダースさんは本当にCDを見せながらサインをお願いした。

萩生田氏を“直撃”

 萩生田氏は「え、今?(苦笑)」というリアクションだったが八王子愛を言ってる手前思い直したのか、なんとサインをしたのである!

 私は続けて「サインありがとうございます、一つ聞いていいですか。批判に対する説明はされてると思いますか? 」と質問をした。

 萩生田氏はこちらを向き、「まぁそれなりの……」と言った。それなり……?

 次の言葉を待ったが、私の隣にいた年配のおじさんが「初心に戻って頑張れよ」と萩生田氏に声をかけたので中断。そのあと萩生田氏はまたこちらを向き「一人一人に全部届かないことがあると思いますけど、いろんな機会に説明していきます」と答えた。

翌日も質問を試みるも…

 ひとまず「説明をしていく」という言葉を引き出せた。ではどんな説明なのか具体的に聞いてみたい。翌日、私とダースレイダーと鈴木エイトさんの3人で郊外の萩生田氏の演説現場に行った。

 聴衆との触れ合いがすべて終わったあとに話しかけようと考えたが萩生田氏は用意していた車に駆け足で乗り込んでいった。「やられた!」というのが正直な感想だ。

 萩生田さん、この度は当選おめでとうございます。そのうち私たちの質問をあらためてじっくり聞いてください!

(プチ鹿島)

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