「イケメンだから、ボコボコにして、縛って写真を送れ」元ジャニーズのモデル男性(30)が“闇バイト”に狙われた驚愕の理由《実行犯のテレグラムに残されていた“恐怖のやりとり”》
文春オンライン / 2024年11月5日 11時0分
広域強盗事件の指示をしていた“ルフィ”グループの中核メンバー、藤田聖也容疑者と今村磨人容疑者 ©時事通信社/フィリピン法務省提供
〈 「振り返ると黒ずくめの男がいて、赤い液体を…」元ジャニーズ大川慶吾(30)が明かす、闇バイト強盗による“凶行”の一部始終《“ルフィ事件”の被害者独占インタビュー》 〉から続く
2022年12月、元ジャニーズJr.で俳優・モデルの大川慶吾(30)は今世間を騒がしている“闇バイト強盗”による被害に遭っていた。なぜ、狙われたのは自分だったのか――。大川の部屋を襲った実行犯のテレグラムに残されていた“驚愕のやりとり”、裁判で明かされた恐ろしい事実とは。(全2回の2回目/ はじめから読む )
◇◇◇
「20代、芸能関係者」「ボコボコにしちゃいましょうよ!」
「警察は早い段階からルフィ事件との関連を疑っていたようですが、当時の僕の収入は決して多くなく、芸能の仕事の合間にウーバーイーツで働いているくらいだったので、まさかと思っていました。
けれども、僕の襲撃事件から3日後に中野で起こった現金3000万円が奪われた事件の実行犯のテレグラムを解析したところ、僕が襲撃される前日のやり取りが発見されたそうです。僕の名前や住所、『20代、芸能関係者』という情報とともに『ボコボコにしちゃいましょうよ!』と書かれていたと。
会話の中では僕を襲う時の武器の相談が行われていて、催涙スプレーのほかに候補としてナイフとスタンガンが挙げられていたそうです。もしそこでナイフかスタンガンが選ばれていたら、僕は抵抗できなかったかもしれない……。それを聞いた瞬間、気分が悪くなり吐き気に襲われました」
なぜ自分が標的にされたのか?
事件から約3カ月後の23年3月8日、警視庁は中野事件で逮捕されていた2名をこの事件の容疑者として再逮捕。さらに7月には新たに2人の容疑者が逮捕され、計4人の実行犯が逮捕された。事件は一応の解決を見たが、大川の心にはしこりのようにある疑問が残ったままだった。
「標的にされた理由や個人情報の流出元がわからないままだったのです。警察からは黒い交際はないか、犯罪経験はないか、借金はないかと何度も尋ねられましたが、もちろんどれも心当たりがない。なぜ自分が標的にされたのか、不思議でなりませんでした」
実行犯の1人はTwitter(現X)から“高額バイト”に応募
事件の全貌がようやく明らかになったのは、大川に催涙スプレーを噴射した実行犯の1人の被告人質問が行われた今年5月。大川自身も証言台に立った法廷でのことだった。
裁判を傍聴したジャーナリストの渋井哲也氏が語る。
「事件当時、被告は22歳で、介護現場で働いていた。当時付き合っていたシングルマザーの女性に借金があり、金銭的に助けたいという思いからTwitter(現X)で高額バイトを探す中で、《タタキ(強盗の隠語)》《報酬は100万円から》という投稿を見つけて応募したそうです。XでのDMのやり取りを経て、テレグラムに誘導された被告は、そこで指示役のキムから、犯行に使う武器として催涙スプレーを指定されたと話していた。被告は事件当日、指定された駅に向かい、初対面の男2人と合流。そこで初めて被害者の情報を知らされ、自宅へ向かったそうです」
大川の自宅前に到着した被告に、「キム」は恐ろしい“指示”を出していた。
知り合いからの依頼であると説明「イケメンのやつだから…」
「キムは今回の犯行が、被害者の身内や知り合いからの依頼である、いわゆる“身内案件”との説明をしたうえで、《イケメンのやつだから、ボコボコにして、しばって、その姿を写真にとって送れ》と指示していたのです」(同前)
犯人らの目論見は、大川が反撃に出たことで失敗に終わったが、最近の“闇バイト強盗”に見られるように、縛ったうえで暴行を加えようとしていたことがわかる。
この証言を知った大川は、困惑を隠せない様子でこう語る。
「自分の知人にそんなことをする人がいるなんて信じられない気持ちです。ただ、最近もメンズ地下アイドルのとあるグループのメンバーが闇バイト強盗に関与して逮捕されていますし、こうした犯罪が身近に広がりつつあることを実感します」
大川が証言台に立ち、被害に遭った時の様子を語った最中は、「ずっと俯いていた」(渋井氏)という被告。その後も中野事件など3件の強盗事件に関与した被告に下された判決は、懲役13年の実刑。「金目当て」としながらも、4件の強盗で得た報酬は一銭もなかった。
事件の記憶がフラッシュバックする
最後に大川はこう警鐘を鳴らす。
「事件後1年くらいは、カギを開ける音を聞くだけで事件の記憶がフラッシュバックするし、足音や物音にも過剰に反応してしまう状態でした。“身内案件”という言葉を知って、人間不信にも陥っている。犯人たちは10年程度で刑務所を出られるけれど、僕は一生、この傷と向き合わなくてはならない。誰もがこういう事件に巻き込まれる可能性がある。『自分は大丈夫』と思わずに、防犯意識を持ってほしいと思います」
◇◇◇
「 週刊文春 電子版 」では、この記事のほか「 闇バイト強盗から身を守る5カ条 」も紹介している。
(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)
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