iPhoneのバッテリーが劣化してきた…交換した方が得になる条件、そして1万円を超える純正品のコスパは?
文春オンライン / 2024年11月8日 17時0分
iPhoneはバッテリーの最大容量が「80%」未満になると交換対象とされます
スマホを長期間使っていると避けられないのが、バッテリーの劣化です。バッテリーが劣化すると、何でもない操作で残量が一気に減るようになるため、バッテリーのステータスを気にしながら使わなくてはいけなくなります。モバイルバッテリーを使ってこまめに充電しながら使うにしても限界があり、非常に厄介です。
こうした場合の究極の解決策が、メーカーなどが用意しているバッテリーの交換サービスを利用することです。バッテリーそのものを新品に置き換えるので効果は抜群ですが、コストおよび手間がどのくらいかかるかは気になるところです。
今回はバッテリーが劣化した筆者手持ちのiPhoneについて、Apple純正のバッテリー交換サービスに申し込み、手続きにどのくらい手間がかかるのか、またどれだけ効果があるかを検証しました。
バッテリーの最大容量が「80%」を切ったら交換対象
今回バッテリーを交換するiPhoneは、筆者が約3年使っているiPhone 13 miniです。動画の撮影や録音、さらに音声入力のたびに、バッテリーが数%単位でゴソッと減少する症状が、この半年ほどでたびたび起こるようになり、普段使いに支障をきたしつつあります。勝手に電源が切れるなどの症状は発生していませんが、いずれそうなるのは明白です。
設定画面でバッテリーのステータスを見ると、最大容量は「78%」と診断されています。8割近くあれば問題ないように素人目には思えますが、Appleが定めているバッテリー交換の基準は80%なので、じゅうぶんに交換の対象になります。ちなみに有償のAppleCare+に加入していれば無償交換の対象なのですが、筆者の場合すでに期限が切れているため、今回は自腹での交換となります。
まずはAppleのサポートサイトで申し込みを行います。自宅にいながらの宅配便による発送および受取も可能ですが、iPhoneが手元にない時間をなるべく減らしたいため、今回はApple Storeに直接持参しての交換を選択します。申し込みが完了したら、当日該当のiPhoneを持ってApple Storeに向かいます。
予約した時間にApple Storeの「Genius Bar」を訪れると、まず最初にiPhoneが備える診断プログラム「モバイルリソースインスペクタ」を用いてのチェックが数分かけて行われ、それらをもとにバッテリーの交換が必要かどうかが、スタッフによって判断されます。
交換が必要であると判断されれば、保護フィルムを剥がしてよいかどうかの確認、さらに分解後に水没などの問題が発覚した場合は、その時点で返却か、あるいは新品との交換によって別途費用が発生するがそれで構わないかといった確認が行われます。またこの段階で身分証明書の提示が必要になります。
これらが問題なければ、スタッフの持つiPad上で、修理申込書が作成されますので、それらの内容を確認した上でサインをし、iPhoneを渡した上で、修理完了まで待機することになります。作業時間は予め明示されているので、それまではApple Storeを離れて、時間を潰していて構いません。今回は2時間かかるとのことでした。
交換前はバッテリーが20%台にまで減っていたのが…
さて、作業完了時間を待って受け取りに行きます。特に引換証のようなものはなく、申込時に提示した身分証明書を再度提示し、端末にサインをして受け取ります。尋ねたところ完全ペーパーレスゆえ、引換証はもちろん受領証なども発行していないそうで、控えはメールで受け取る形になります。料金はAppleアカウントに登録されている口座から引き落とされますので、現地での支払いはありません。
以上で手続きは終了です。今回は特にイレギュラーな問題も発生せず、スムーズに受け取ることができました。受付に20分、待ち時間で2時間、受け取りに10分ということで、トータルの所要時間は2時間半といったところです。この時間なら、手元にスマホがなく知り合いや会社との連絡が取れなくても、ギリギリセーフといったところではないでしょうか。ちなみに保護フィルムは剥がされることなく、そのままの状態で返却されてきました。
多少気になったのは(繁華街のApple Storeではいつものことですが)客の人数が多いせいで、店内でなかなかスタッフを捕まえられないことです。客の人数が少ない時は、店内を巡回しているスタッフのほうから声を掛けてくれるのですが、混んでいる時はそうもいきません。自分から声をかけるのが苦手で、返却までの時間がかかっても構わないようであれば、店頭持ち込みではなく配送修理を検討したほうがいいかもしれません。
さて、バッテリー交換の効果はどのくらいあるでしょうか。6時間にわたって動画をストリーミング再生するという実験をしてみたところ、交換前はバッテリーが20%台にまで減っていたのが、交換後は6時間経過後も60%台をキープするなど、劇的な改善が見られました。新品と交換しているので当然と言えば当然なのですが、この1年ほど、みるみる減っていくバッテリーに慣れてしまっていたので、少々感動モノです。
交換にまつわる体験記は以上ですが、ではこうしたバッテリーの新品交換が、費用対効果という点で優秀か否かについて考えていきましょう。
今回は、交換費用は筆者は自腹で支払いましたが、AppleCare+に加入していて、なおかつバッテリー残量が80%未満となった場合は、無償交換の対象となりますので、やらない手はないでしょう。交換にかかるコストと言えば、実際にApple Storeに足を運んだり、発送の手続きをする手間と時間のみです。
では今回の筆者のように、有償の場合はどうでしょうか。この場合、該当のスマホを今後どれだけ長く使い続けるかで判断するのがよさそうです。
2年程度はスマホを買い替えないという前提が大事
筆者の場合、該当のiPhoneを入手してから今回のバッテリー交換までに約2年間使用しており、また今後2年程度は、このiPhoneを引き続き使う予定でいます。いま交換したバッテリーが次に劣化するのはおそらく手放すタイミングのはずで、折り返し地点でのリフレッシュとしては、この14,500円という額は、24カ月で割ったとしても600円ちょっとということで、決して高くありません。むしろ安すぎるのではないかと感じるほどです。
ただし近いうちにスマホ自体を買い替える可能性がある場合は、あまりよい選択とは言えません。せっかくバッテリーが新品同様になったのに、1年も経たずに機種変更してしまうのは、ちょっともったいない気がします。下取りに出すに当たり、バッテリーが新しければそのぶん査定は良くなるでしょうが、元を取れるほど査定額が上がるとは思えません。
そのためバッテリーの交換は、せめて今後1年、できれば2年程度はスマホを買い替えないという前提があって成立するものといえます。言い換えると、バッテリーの劣化はスマホを買い替えるひとつの目安であり、その段階で思い切って買い替えるか、それともバッテリーを交換して延命させるかを判断するようにすれば、使い勝手とコストを両立させられるはずです。
なおここまでの話は、原則としてiPhoneの場合に限られます。iPhoneは本体価格が安いモデルでも数万円、フラッグシップモデルでは20万円を越えており、1万円台というバッテリーの交換費用をかけてでも延命させる価値はありますが、これが数万円以下の安価なスマホとなると、交換費用とのバランスを考えても、あまりよい選択とはいえません。このように、本体の買い替えにかかる金額との比較で判断するのも、ひとつの考え方でしょう。
バッテリーの交換費用は、iPhoneの場合はAppleのサイトで、それ以外の機種は交換サービスを提供している外部サイトで、おおよその費用を把握できます。自分が所有しているスマホのバッテリー交換にはどれぐらいの費用がかかるのか、まずはそれらを確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。
(山口 真弘)
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