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ヤクザの組長が自分で対立組員を銃撃? 裁判で異例の無罪判決を出した“異色の裁判長”の評判とは「無罪判決を出しまくることで有名」

文春オンライン / 2024年11月8日 12時0分

ヤクザの組長が自分で対立組員を銃撃? 裁判で異例の無罪判決を出した“異色の裁判長”の評判とは「無罪判決を出しまくることで有名」

写真はイメージです ©AFLO

 武闘派ヤクザの組長が5年ぶりに身柄を釈放された。2019年、対立していた暴力団組員を銃撃したとして殺人未遂罪などに問われた指定暴力団六代目山口組の二次団体「山健組」組長の中田浩司被告(65)に対し、神戸地裁(丸田顕裁判長)が無罪を言い渡したのだ。

「ややこしい話ですが、中田が襲撃したとされた相手も同じ六代目山口組の中核二次団体『弘道会』の組員でした。とはいっても、中田率いる山健組は19年の襲撃当時、六代目側から分裂して対立抗争中の『神戸山口組』に所属していました。中田が山健組ごと六代目側に移籍したのは事件後、神戸側のトップの井上邦雄組長と仲違いしてからのことでした」(全国紙記者)

「組長がヒットマンになるなんて組は、聞いたことがない」

 中田の襲撃が事実だとすれば、「抗争が中核団体同士の直接衝突に発展したことになる」(同前)と当時話題になった。

「それまで神戸側は六代目側にやられっぱなしだったこともあり、とうとう反撃に出て全面戦争になる、との見方もありましたが、突然、山健組組長である中田が失踪し、当惑が広がりました」(同前)

 暴力団は組織犯罪集団であり、抗争の実行役は下っ端の組員や偽装破門した元組員にやらせるのがこの業界の常識だ。だが、兵庫県警が実行犯として逮捕したのは、事件直後から逃亡していた中田だった。

 暴力団関係者は「普通はヒットマンの面倒を生涯みてやるのが組長。組長がヒットマンになるなんて組は、聞いたことがない。まして山健組は最盛時で何千人も組員がいた大所帯。そこに組長が信頼できる部下が一人もいないことになる、と話題になった」と振り返る。

「中田が無罪になるかも」司法関係者がそう明かす理由

 暴力団は犯罪のプロだけに事件は未解決に終わる事も多いが、県警が中田を逮捕したのは発生からわずか4カ月後のこと。ヘルメット姿の男が襲撃する様子が防犯カメラに映っており、検察はバイクに乗ったこの男の服装が中田のものと一致すると指摘、周辺の防犯カメラ映像をつなぎあわせることで、中田の犯行と立証しようとした。だが、地裁判決は「別人の可能性がある」と無罪を宣告したのだ。

「実は、中田が無罪になるかもと思っていました」と明かすのは司法関係者だ。

「判決を下した丸田裁判長は、無罪判決を出しまくることで有名です。60歳過ぎですが、これまでに出した無罪判決は10件ではききません。薬物事件、詐欺事件と無罪のジャンルもさまざま。しかも、相当数が高裁で有罪に覆っています」

 裁判員裁判ではあったが、そんな裁判官のもとでは、裁判員の評議が無罪方向に誘導されてもおかしくはない。それだけに「高裁で逆転有罪になるのでは」(同前)という見立てが早くも司法関係者の間でささやかれている。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年11月14日号)

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