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「胸まるだしの女性が乳をしぼる動画」のコメントは男性ばかり…「グレーなセクシー動画」が野放しになる“YouTubeの現在地”

文春オンライン / 2024年11月10日 6時10分

「胸まるだしの女性が乳をしぼる動画」のコメントは男性ばかり…「グレーなセクシー動画」が野放しになる“YouTubeの現在地”

なぜYouTubeで「搾乳動画」が大量投稿されるのか? 写真はイメージ ©getty

 近年、YouTube上でなぜか増加中なのが「搾乳(さくにゅう)動画」。驚くべきは、その再生回数でなんと700万再生を超えるものも。YouTubeで今何が起きているのか? そして、この状況はいつまで続くのか? ITジャーナリストの高橋暁子氏がその背景を解説する。

◆◆◆

 近年、YouTubeなどのSNSで増加傾向にあるのが、子どもに乳をやるために使われる「搾乳機(さくにゅうき)」の動画だ。執筆現在、YouTubeで「搾乳機」と検索すると、なぜか若い女性のサムネイルばかりが並び、軒並み再生数が多い。

 たとえば今年夏に投稿された、搾乳機の使い方をレクチャーするとうたう動画は、なぜか再生回数は700万回以上。実際に動画を見てみると、通常なら禁止されているはずの女性の乳房が映っており、コメント欄に並ぶのは男性の、それも性的なコメントばかりである。いったい何が起きているのか?

「搾乳動画」が量産される理由

 YouTubeには以前から搾乳の仕方を教える動画は多数あった。しかしその多くは、服を着たうえで説明したり、赤ちゃんの正しい抱き方について解説したりと、どれも教育的なもの。再生数は数千回程度とそう多いものではなかった。

 一方で、冒頭で紹介した700万回以上再生された動画の女性は、子を持つ母親でもなく、もちろん母乳が出るわけでもなく、助産師でもない。当事者でない女性が、ただ乳房をあらわにして、搾乳機を使って見せる動画を投稿しているだけなのだ。

 彼女は何者なのだろうか? YouTubeに書かれたプロフィール欄を見ると、普段はほかのSNSなどでセクシーポーズや下着姿の写真を投稿している。また別のアカウントでは、アダルト系の有料サイトにまで誘導するケースまで見られた。

 となると、前述したように男性のコメントばかり並ぶのも納得だろう。これらの授乳動画のターゲットは子育てに悩むママではなくて、性的な欲求を刺激したい男性たち。通常なら数千回程度しかない再生数が、その数千倍以上に膨れ上がるのもわかる。

 しかし一方で、性的なコンテンツに対してYouTubeは、利用規約を作るなど厳しく取り締まっている。なぜこうした搾乳動画はこの網の目から逃れているのだろうか?

 YouTubeでは、ヌードや性的なコンテンツは、利用規約で禁止されている。具体的には、「性的満足を目的とするヌードまたは部分的なヌード」「性的満足を目的として、胸部、臀部、生殖器部を合意なく拡大したり、執拗に強調したりするコンテンツ」などが対象だ。

 ただし、「教育的なコンテンツ」についてはその対象から例外とされることがある。問題のある搾乳動画が野放図になっているのは、この例外措置があるからだ。

 また2023年11月には、それまでアダルトコンテンツにカテゴリされていた2つのガイドラインが改定されている。それが「母乳育児」と「官能的なダンス」だ。過去には、乳輪が見えない場合に限って収益化が可能だったが、現在は乳輪が見えている場合でも広告収入が得られるようになった。その結果、今回紹介したような「搾乳動画」が大量投稿されるようになったのだろう。

なぜ搾乳動画の削除は難しいのか?

 過去には多くのSNSで禁止対象となっていた搾乳コンテンツだが、今では主要SNSの多くが受け入れている。たとえば、Instagramの規約を見ると、こう書かれている。

「授乳は自然かつ美しい行為であり、Instagramでその経験をシェアできることが育児中の方にとって重要であるとInstagramは考えています。このような投稿のほとんどは当社のポリシーに適合しています」

 また過去には、未熟児で生まれたわが子への授乳中の写真をFacebookから削除された母親が怒り、騒動になったこともある。彼女は抗議の意を込め、母乳育児グループのFacebookページに授乳写真を再投稿。コメント欄には賛同する母親たちによる授乳写真が多数投稿されたほか、運営会社に直接抗議する人も相次いだ。

 SNSが搾乳・授乳動画に寛容なのも、そうした歴史があるからだ。

搾乳動画を少しでも遠ざけたい人は…

 冒頭で紹介したような動画は、あくまで利用規約の穴を狙い、収益化を目的とした“グレーなセクシー系コンテンツ”と言える。

 とはいえ、YouTubeは言わずもがなだが、老若男女すべての人たちが触れるビッグプラットフォームだ。未成年の目に触れる可能性もあるので、プラットフォーム側での何かしらの対策が必要ではないか。

 もしわが子を少しでも、こうした動画から遠ざけたい人は、YouTubeの「制限モード」をオンにすることでコンテンツを除外したり、「YouTube Kids」を利用するなどすれば、表示されなくなるので、ぜひ試してほしい。

(高橋 暁子)

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