「社長とはセックスできませんと…」“紀州のドン・ファン殺人公判”須藤早貴(28)が主張した事件最大の核心 新婚初夜に「ゴム手袋使って」勃たない夫は「もうダメだから覚醒剤を」
文春オンライン / 2024年11月9日 12時15分
初公判に出廷した須藤早貴被告=12日、和歌山地裁[イラスト・松元悠氏] ©時事通信
〈 「社長の周りにいる女は全員売春婦」“紀州のドン・ファン殺人公判”地元&夫の会社で出演AV作品を見られ…須藤早貴(28)が法廷で爆弾発言をした理由 〉から続く
和歌山地裁で行われている須藤早貴被告(28)の裁判員裁判は、11月8日の第19回公判から、いよいよ被告人質問に突入した。問われているのは、元夫で和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助氏(享年77)に対する殺人罪と覚醒剤取締法違反の罪。無罪を主張する須藤は、野崎氏との異様な夫婦関係を明らかにする必要があった。( #7 から続く)
須藤は黒いパンツスーツに白いマスク姿で出廷。証言台では、弁護側の質問に対し、夫である野崎氏を「社長」と呼びながら応じていく。
「社長とはセックスできません」「生理的に無理だな」
知人づてに野崎氏を紹介されたのは2017年12月。田辺市で初めて野崎氏本人と対面した日、「今日は会いに来てくれてありがとう」と、帯封付きの現金100万円を渡された。
「びっくりして『いいんですか?』と聞いたら、社長から『結婚してください』と言われました。冗談かと思って、『毎月100万円くれるならいいよ』と、私も冗談で返しました」(須藤の証言内容より)
以降も野崎氏から熱烈な求婚を受けた須藤は、2度目に会った12月中旬、毎月100万円の小遣いのほかに、こんな条件を出す。
「田辺市がすごく田舎で何もなくて、こんなところに正直、住めませんと言いました。すると社長は、家政婦さんみたいに、『月1週間から10日間くらい来てくれればいいですよ』と。それと『社長とはセックスできません』とはっきり言いました。初めて会った時に、オムツをしているのを見て、生理的に無理だなと。正直に言いました」(同前)
野崎氏は「私はもうできないんです」と言いながら、愛人関係にある別の女性の存在を挙げた。それがX子さんだった。
新婚初夜に「ゴム手袋を使ってもいいですか」
「X子さんという昔からの交際相手が、大阪から田辺に2、3日に1回来て、抜いてくれると。そのことについては文句を言わないでくださいね、と言われました。X子さんだけは、社長を男にしてくれる、勃たせてくれる、射精させてくれる人だから、この人だけは切れないと。私は『どうぞ、お好きに』と言いました」(同前)」
一方で須藤は、野崎氏との出会いを「お金をくれるしラッキーだな。うまく付き合っていこう」と考えた。実際に12月21日と2018年1月31日、野崎氏から須藤の口座にそれぞれ100万円が振り込まれた。そして須藤は、前述の約束を守る条件で2月8日、野崎氏と戸籍上の夫婦になる。
「家族や友人には話しませんでした。月100万円で契約した結婚なので、愛のある普通の結婚とは違います。わざわざ伝える必要はないと考えました」(同前)
須藤は“愛のない初夜”についても法廷で赤裸々に振り返っている。その日、夕食を済ませた後、須藤は野崎氏から自宅2階の寝室に呼ばれた。野崎氏は、入浴と歯磨きを済ませた状態で、全裸のままベッドの上に仰向けになっていた。
「社長は『初夜なので、あなたもこっちに来てください』と。私が『セックスとか性的なことはしない約束だよね』と言うと、『セックスはできないのでしなくていいです。でも触ってほしい』と言いました。私はイヤだったので『ゴム手袋を使っていいですか』と言い、怒られるかなと思いましたが、社長は『それでもいいのでお願いします』と」(同前)
須藤は1階のキッチンから持ってきたゴム手袋を装着して、野崎氏の陰部に触れる。まるで汚物扱いだった。
「もうダメだから、覚醒剤を…」
「どうにもならなかったです。勃たなかったです。社長は『もういいです。口でしてくれたら、フェラしてくれたら、勃つかもしれません』と言いましたが、私は『それは無理です』と拒否しました。社長は『もういいです』と、残念そうな、悔しそうな顔をしていました」(同前)
2月中旬に田辺市へ行った時も、野崎氏は同様の行為を要求した。
「同じことをしましたが、勃たたなくて、私は『年だから仕方ないよ』と言いました。社長は『俺を勃たせられるのはX子だけだ』と言うので『じゃあX子さんに頼みな』と。言い合いというか、社長の八つ当たりのような感じでした」(同前)
須藤は野崎氏を適当にあしらいながら、3月中旬にフランス旅行をするなどし、気ままな生活を続けた。旅行中も野崎氏からは頻繁にメールが届く。〈お金を受け取ることは自由を束縛されることです。紀州に君の笑顔を見せることが何よりのプレゼントです〉とメッセージが来た時は、
「やべえ奴だなと思いました」(同前)
東京を拠点に生活していた須藤は、野崎氏に懇願されて3月末から田辺市で生活を始めるが、
「田辺市で生活を始めてからも、社長がベッドで横たわって『触ってほしい』と求められることが何回かありましたが、やはり勃ちませんでした」(同前)
事件の根幹に関わる新証言が飛び出したのは、その直後のことだ。
「4月になって、社長から『もうダメだから、覚醒剤でも買ってきてくれませんか?』と言われました」(同前)
野崎氏の命を奪った“凶器”の覚醒剤。須藤は、それを野崎氏本人が要求したと主張したのだった。
( #9 に続く)
〈 「あれ、使いもんにならん。ニセモンや」“紀州のドン・ファン殺人公判” 覚醒剤密売人と接触した須藤早貴(29)が中学生時代に受けていた“特別授業”「マジなの?」 〉へ続く
(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)
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