「まこちゃん、シャブやっちゃう?」暴力団に入った時点でやめられない…日本初の女ヤクザ(58)が語る「ヤクザと薬物」の危険な関係
文春オンライン / 2024年11月17日 17時15分
ヤクザが「シャブ」を止められない理由とは…。 ©copy;細田忠/文藝春秋
今では更生を果たし、地域住民からの信頼も厚いNPO法人「五仁會」(主な活動内容は暴力団および非行少年の更生支援など)の広報として活躍する西村まこさん。かつて「日本初の女ヤクザ」として名を広めた、彼女が語る「薬物の恐ろしさ」とは? 著書『 「女ヤクザ」とよばれて ヤクザも恐れた「悪魔の子」の一代記 』(清談社Publico)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/ 後編 を読む)
◆◆◆
「シノギ」のリアル
ヤクザ者の日常的なシノギはキリトリ、いわゆる債権回収です。まあ、因縁づけですね。これは直接、商店主などから依頼され、素人さんからカネを回収するシノギです。
回収に行くと、こちらは3人くらいで債務者を囲み、いきなりケンカ腰で話をしますから、相手はブルってしまいます。
回収したカネは半分を依頼者に渡し、残りは山分けにします。いわゆる取り半です。楽なシノギでした。カタギの人間から頼まれるシャブ代の取り立ては相手がボケていますから、とりわけ楽ちんでした。
もっとも、取れなかったこともあります。いま思うと、大きいカネを借りている人間は計画的な人間です。借用者の住所のヤサに行ったら、そもそもそこに住んでいないなど、端から逃げる気でいるケースもあります。あるいは、回収に行ったら、いろいろ言い訳しながら、明日のこの時間までにカネを用意しておくと約束し、翌日に訪問してみすと、家はもぬけの殻になって夜逃げしていたことなども、数え切れないほどありました。
次にシャブ屋。これは身内じゃなく、ほかの組の人間に売っていました。顧客は20~30人ほどいたと思います。うちの品物は、ほかの売人より安かったし、関東のブツでしたから、ものがよく、人気だったと思います。
セコイやつもいて、2万円分のシャブを注文しておきながら、支払いのとき、出してきた封筒のなかには1万円しか入っていません。そのときは頭にきましたから、取り引き場所の喫茶店のトイレでシャブを半分にして、キッカリ1万円分渡しました。
当時は携帯電話など便利な道具がありませんので、ポケベルで注文が入るか、事務所の電話に入ってきました。売買は、かなり適当でした。1グラムが1万円なのに、1パケ(約0.3グラム)1万円のこともありました。こっちも常ポンでヨレていますから面倒くさかったのです。
もっとも、組で扱うシャブは事務所の奥の部屋で兄貴分が持ってきたシャブを天秤ではかってパケをつくり、小分けしていました。シャブをはかり、ビニールのパケに小分けし、割りばしで挟んでライターの炎で封をする。この作業が延々と続きます。シャブでボケていないとできない仕事です。3人くらいの部屋住みが額を寄せ合って取り組む地味なシャブの小分け作業。見た目は、まるで家内手工業のようでした。
私は懲役に行ってシャブは断たっていましたが、出所したら、すぐに同僚の部屋住みが「まこちゃん、シャブやっちゃう?」と持ってきましたから、たちまち再開してしまいました。なんといっても、杉野組ではシャブはタダですから、やり続けてしまいました。
ヤクザが「シャブ」を止められない理由
シャブを常ポンで続けたのは、好きというよりは、シャブの効果が切れたら身体がエラいからです。だから、切れ目なく続けるしかなかったのです。
自分は外見ではヨレていないと思います。ほかの人間から「まこは強いな」と、よく言われていました。ですが、白状すると、中身はヨレヨレだったのです。幻聴や幻覚はバリバリありました。たとえば、影が人に見えたり、水道が流れる音が人の声に聞こえたり、たんすの影が人に見え、誰かが部屋にいるような錯覚が生じます。ただ、私はこうした幻覚や幻聴が生じることを口に出して他人に言わなかっただけです。
〈 250万円を盗まれただけじゃない…“あまり好きでもない元カレ”に母親を紹介してしまった「日本初の女ヤクザ(58)の後悔」 〉へ続く
(西村 まこ/Webオリジナル(外部転載))
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