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兵庫県知事選 斎藤元彦(46)ムーブメントの裏に「自民内紛」と「暴走側近」《11月17日投開票》

文春オンライン / 2024年11月16日 7時0分

兵庫県知事選 斎藤元彦(46)ムーブメントの裏に「自民内紛」と「暴走側近」《11月17日投開票》

街頭演説には聴衆が殺到

「労働組合からも辞めろ、議会からもメディアからもそして最後は副知事からも辞めてくれと言われて本当に最後は独りぼっちだった。だけどやっぱり僕は辞めるわけにはいかない」

 黒山の人だかりの中心でマイクを持つ手に力を込めたのは、斎藤元彦前兵庫県知事(46)だ。

◆◆◆

斎藤氏の再選可能性が上がった“ワケ”

 県議会から不信任を全会一致で突き付けられた斎藤氏。“出直し知事選”には稲村和美前尼崎市長や清水貴之前参院議員らが相次いで出馬表明した。四面楚歌でスタートしたかに見えた選挙戦だが、斎藤氏はムーブメントとでも呼ぶべき人気を巻き起こしているのだ。背景には何が――。

「県議会最大会派の自民党で、“内紛”が起きたんです」(自民党関係者)

 自民党兵庫県議団は知事選で独自候補を立てず、自主投票の方針を決めるとともに、斎藤氏への支援禁止を打ち出したのだが……。

「最も有利と目されたのは連合兵庫などが推す稲村氏。自民県議のうち一定数も稲村氏を支援すると見られた。これに明石市議会の自民会派が猛抗議し、事実上の斎藤氏支援の姿勢を見せた。すると後日、今度は自民党神戸市議団が維新と相乗りして清水氏を支援すると表明したんです」(同前)

 県議団と各市議団がバラバラの方を向いてしまった。

「反斎藤票が稲村氏に集まらないようにという工作でしょう。いずれにせよ、過去最多7人の候補が立ったことで票が分散し、斎藤氏の再選可能性が上がった。具体的な政策議論はほとんど交わされず、政局や思惑ありきの選挙戦になっている」(県政担当記者)

 雑音も大きい。

故人の個人情報を暴露する、という暴挙

「今回の騒動の引き金となった告発文書を作成した元県職員X氏(故人)の個人情報が流出し、故人が冒涜されている。告発内容とは関係ないので、批判の矛先をそらしたいだけにしか見えないのですが……」(同前)

 流出元とされているのが、

「斎藤氏の最側近だった片山安孝前副知事です。10月25日に開かれた県議会百条委員会では、告発内容の中でも特に重要とされる、昨年の阪神・オリックス優勝パレード開催費用を巡る疑惑についての証人尋問中に突如として暴走し、X氏の個人情報を暴露するという暴挙に出た」(県関係者)

“政策コーディネーター”の存在

 片山氏の代理人は小誌に流出への関与は否定した。

 求心力が働きつつある斎藤氏だが、本当に「独りぼっち」なのだろうか。

「斎藤氏は10月、県内各地を行脚していた。告示前なので具体的な投票依頼はないとはいえ事実上の選挙活動。場所によっては、地元選出の県議らにアテンドしてもらったようです。さらに10月18日に訪れた山間部の丹波篠山市では、県の『政策コーディネーター』から地元の有力者らを紹介されたらしい」(県議)

 この政策コーディネーター、いったい何者なのか。

「総務省出身で、斎藤氏の後輩にあたる。丹波篠山市で地域づくり系の一般社団法人を運営しているが、今年4月に県の政策コーディネーターに任命された。特別職なので、地方公務員法上の政治活動の制限はありませんが、公職選挙法第136条の2は一般職、特別職問わず公務員等の地位利用による選挙運動を禁止しています」(同前)

 本人に聞いた。

深まる、斎藤県政への疑惑

――斎藤氏の選挙戦をコーディネートしている?

「それは全くない。斎藤さんから『丹波篠山の方にこういう日程で行こうと思っているんだけど』と連絡をいただいて、地域の事業者に挨拶して回りたいとのことだったので、一度だけ連絡させてもらったぐらいです。特定の候補者とか政党の応援は全くやっていない。総務省で斎藤さんと先輩後輩の関係なのに、ここで一切コミュニケーションを取らずに手のひら返しみたいなこともできない」

――告示後は連絡は?

「まったくないですね」

 思惑渦巻く選挙の投開票日は11月17日。もちろん、斎藤県政の疑惑は残ったままである。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年11月14日号)

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