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SMAP解散→「新しい地図」では地上波に出られない時期も…香取慎吾が辞めることを決めた仲間にかけた言葉とは

文春オンライン / 2024年11月27日 11時0分

SMAP解散→「新しい地図」では地上波に出られない時期も…香取慎吾が辞めることを決めた仲間にかけた言葉とは

香取慎吾 ©時事通信社

〈 中森明菜とのコラボも話題に…香取慎吾(47)がSMAPの“裏リーダー”だったワケ「最後は慎吾ちゃんに任せれば何とかしてくれる」 〉から続く

 2024年3月に放送作家を引退したのを機に、「小説SMAP」をうたった 『もう明日が待っている』 を刊行。SMAPの素顔を余すところなく描き出したのが鈴木おさむさんである。

 テレビの世界を離れて半年。いまこそ語れる「SMAP論」を、存分に披露していただこう。今回はSMAPの末っ子・香取慎吾の、内に秘めた人知れぬ葛藤について。(全2回の2回目/ 前編 から続く)

◆ ◆ ◆

最後の収録のあと、セットにそっと…

 10代のころより、テレビの世界の中心で活躍し続けてきたのが、香取慎吾さんです。早いうちに確固たる地位を築いた彼が、さらに飛躍を遂げたのは2000年のこと。「おっはー」というあいさつセリフを発する慎吾ママに扮して歌う「慎吾ママのおはロック」が大流行したのでした。

 以来、彼の存在感はますます増して、SMAPのなかでも「木村拓哉とは違うスター性」を発揮し、より輝かせていきました。

 そのあたりから、僕ら番組をつくる側のスタッフと、香取慎吾さんとの打ち合わせが増えていきます。番組の構成や演出について、スタッフが彼の意見や考えを求め、頼るようになっていったのです。香取慎吾さんは自由奔放なキャラのふりをしながら、いつだって番組全体のことがきちんと頭に入っています。主たる演者であることを超えて、番組制作に欠かせぬブレーンとしての役割も担っていくこととなります。

 SMAPの活動でいえば、香取さんはさらに以前から制作側の顔を併せ持っていました。彼らのコンサートの全体構成は、香取さんもがっつりと関わってつくられていました。実際にステージに立つ者の視点から意見が得られるというのは、このうえなくありがたいものです。香取慎吾さんはSMAPを、表と裏の両面から支え続けていたということになります。

 そんな香取さんが、自身の「ホーム」であるSMAPを失くしたときのつらさと喪失感は、どれほどのものだったか。想像することすらできません。彼は悔しさや悲しみを言動には直接出さないほうなので、表面的には取り乱したりするようなこともありませんでした。

 ただ、『もう明日が待っている』にも書いたように、『SMAP×SMAP』の最終回が収録された際の彼の行動は「らしい」ものだなと感じました。収録が終わり、出演者が収録現場を去り、残ったステージセットをスタッフが片付けている最中のこと。人知れず香取慎吾さんがひとりスタジオに戻ってきていました。セットに近づいて、そっとセットの柱にキスして、何も言わずにまた立ち去っていきました。

 だれに見せるわけでもなく、感情を露わにするのでもないけれど、相手への敬意と愛情は最大限に示す。それが香取慎吾さんなりのサヨナラの表現なのでしょう。

 SMAP解散の翌年に、彼が長らく出演してきた『SmaSTATION‼︎』も終わりを迎えます。制作スタッフとして僕が楽屋へ出向いておつかれさまと伝えると、

「本当におつかれさま、ありがとう」

 としみじみ言って、しっかり肩を抱き合い、そのあと記念写真も撮りました。長い付き合いで、ふだんそんなことはしないというのに。いっしょに何かをつくってきた仲間への想いが、本当に熱くて深い人なのだと感じました。

「新しい地図」で多難の再スタート

 SMAPの活動を終えた香取慎吾さんは、稲垣吾郎さん、草彅剛さん、そしてマネージャーだった飯島三智さんとともに「新しい地図」を立ち上げ、再スタートを切ります。

 さまざまな事情が絡み、彼らの姿はしばらくテレビの地上波で見ることができなくなりました。これまで陽の当たるところを歩き続けてきた香取慎吾さんにとって、難しい時期だったのはたしかなはず。ただ同時に、テレビの世界や芸能界のことを知り尽くしている彼にとって、自分たちが新しい道に歩を進めたことによって何が起きるか、どんな波風を立てることになるのかもよくわかっていました。だから焦らず騒がず、地道に自分たちができることをやり続けていこうとしましたし、周りで支えてくれている人へもいっそう感謝するようになったのだと思います。

 そんななか、2017年にAbemaTVで「72時間ホンネテレビ」が生放送されます。「新しい地図」の面々が番組に出演し続けるという企画です。

 この番組に僕も制作スタッフとして関わっていたのですが、そこで少々トラブルが起きました。僕が番組制作に参加することをあまり良しとしない声があり、強行すると放送作家として、今後ほかの仕事に大きな支障が出そうだったのです。

 そうなっても、僕は、メンバー5人全員とこれからも仕事をしていくと決めていましたが、近しい人たちが心配してくれていました。

 そのタイミングで飯島さんが、あとで香取慎吾さんから電話をしていいかと僕に伝えてきました。電話番号をあまり交換しない彼の連絡先を僕も知りませんでした。かかってきた電話では、僕の状況に理解を示してくれて、

「オレらはだいじょうぶだから、自分のことを第一に考えてほしい。いま抜けたとしても、悪く思わないに決まっているし、もうじゅうぶんに感謝してる」

 と言ってくれました。自分たちだってたいへんな立場を背負っていて、生放送の番組はもう間近に迫っているというのに、わざわざ気を配って電話してきてくれたことに、僕は思わず涙を落としてしまいました。

香取は「ただただ、残念」と…

 僕はことし3月に放送作家をやめると決めたことを、SMAPメンバーのなかでは香取慎吾さんに最初に打ち明けました。自分の考えを伝えると、彼は大きくうなずきながら多くは語らず、

「ただただ、残念」

 と言いました。そのあとに、

「気づけばずっとそこに、そばにいてくれた人だよね」

「自分の人生だし、自分で決めたのなら、それでいいと思う……」

 とも付け加えてくれました。彼のひとことずつが、身に沁みました。

 僕はSMAPとの関わりを、木村拓哉さんとラジオ番組をともにつくることから始めました。そうしてSMAPが紡ぐ物語を間近で見ることができたわけですが、物語が幕を閉じてからふりかえってみると、いちばん太いパイプを築くことになったのは香取慎吾さんだったように思います。

 彼との関係が、何らかのかたちでこれからも続いていったらうれしいかぎり。何より、今後のことがこれほど気になる人も、ほかにいません。

これからの香取慎吾

 SMAPを解散して、「新しい地図」として活動を始めたことで、彼の選択肢はいったん減ってしまいました。けれど、本人と仲間たちのがんばりによって、この8年でどんどん盛り返してきました。気づけばまた、前よりも多いたくさんの選択肢と、いろんな色の絵具を、彼らは手にしています。

 香取慎吾さんはこれからますます幅広く、深みのある活動を展開するはずです。温かみある司会ぶりは相変わらず冴えているし、年齢とともに役者としての重みも増してきています。さらにはアーティストとしての活動も継続しており、年々評価が高まっているようです。

 タレントとしては、ちょうど内村光良さんや西田敏行さんのような、何でも受け止めてくれる懐の大きい存在になり得るんじゃないでしょうか。現在47歳の香取慎吾さんが、これから人生の後半戦に向けて、どんな活躍を見せてくれるのか。楽しみでしかたありません。

(山内 宏泰)

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