「整形手術しました。数百万円単位です」“紀州のドン・ファン殺人裁判”須藤早貴(28)が使ったドン・ファンマネーの総額「ポルシェ2台、ハーレーも購入」 “覚醒剤 死亡”と検索したのは「直前に尾崎豊の動画を見てたから」
文春オンライン / 2024年11月16日 17時0分
12日午後、和歌山地裁で開かれた初公判に出廷した元妻の須藤早貴被告(中央)[イラスト・松元悠氏] ©時事通信社
〈 “紀州のドン・ファン殺人公判”「キメて他の女とセックスすると思った」「私はお断りです」須藤早貴被告(28)の言い分…夫に頼まれ覚醒剤を購入 〉から続く
須藤早貴被告(28)は覚醒剤を使って元夫の野崎幸助氏(享年77)を殺害したのか――。和歌山地裁で行われている注目の裁判員裁判は、11月15日、大詰めとなる3回目の被告人質問を迎えた。
野崎氏が和歌山県田辺市にある自宅2階の寝室で死亡したのは、2018年5月24日。第一発見者が、当時22歳の新妻・須藤だった。後日、野崎氏の死因は多量の覚醒剤を経口摂取したことによる急性覚醒剤中毒と判明する。
「私は何年も人殺し扱いなので。クソッと」
この日、検察側から野崎氏の死を知った時の感情を「どちらかといえば“無”」と答えた須藤。改めて野崎氏の死をどう思ったかを問われると、しばし沈黙して「目の前にいるなら文句を言ってやりたい」と静かに怒りを滲ませた。
その発言を受け、弁護側が「いま本人がいると思って文句を言ってみて」と促す。
「もうちょっと死に方を考えてほしかったです。社長(野崎氏)があのタイミングで死んだせいで、私は何年も人殺し扱いなので。クソッと」(須藤の法廷証言より)
司法担当記者が整理する。
「そもそも、須藤被告は野崎氏に『恋愛感情はなかった』と言い切り、金目当てで結婚したことも否定していません。求婚する野崎氏に対して、毎月100万円をもらう一方で、性交渉も同居もしない、そんな条件を飲ませ、2018年2月に入籍しています。
プロポーズの際、野崎氏から遺産をもらってほしいと言われ、須藤被告も自然死を待っていずれ遺産をもらうつもりだったようです。ところが、3月下旬から早くも野崎氏が離婚を口にするようになり、その月末から須藤被告が田辺市で同居を開始。5月、野崎氏は自宅で命を落としてしまうのです」
「(遺産より)月100万円の方が大事でした」
検察側は、野崎氏の死を「須藤による遺産目当ての殺人」と指摘。須藤は11月11日の被告人質問で「遺産目的で結婚したことは誰にも隠していない」と証言したが、質問最終日となる15日、あらためてこう強調した。
「結婚は遺産目的というか、お金目的です。私にとっては先のこと、未来より、目先のことの方が大事。(遺産より)月100万円の方が大事でした」
あからさまな金銭欲を披瀝した須藤が、野崎氏の死後、莫大な金を手にしていたのも事実。事後対応を任せた弁護士の勧めで野崎氏の会社の代表に就任した須藤は、同年9月6日、役員報酬として約3800万円を受け取っている。検察側の冒頭陳述によれば、須藤は元夫の死後、6800万円強の“ドン・ファンマネー”を個人口座に移し、逮捕までの約3年間で約5500万円を使っていたという。
15日の公判では、その使途にも質問が及んだ。以下は、検察側とのやりとりだ。
6800万円強の“ドン・ファンマネー”の使い道
――お金の使い道について。大きな出費は?
「ポルシェを買いました。1回乗り換えたので、2台。中古で、知り合いに頼んで安く買ったので、何千万円とかじゃないです。2台目は500万円くらいで、1台目はもうちょっと安いくらいです」
――ハーレーダビッドソンのバイクも?
「買いました。180万円くらいのものを1台です」
――友人とのLINEで「顔を変えたい」と言っているが、実際、美容整形手術はした?
「しました。(総額は)数百万円単位です」
YouTubeで「覚醒剤 死亡」などと検索していた履歴
そのほか、逮捕まで転々と住まいを変えた引っ越しの代金やタワーマンションの家賃なども、野崎氏のお金を当てていたという。
一方、この公判の最重要ワードとなっているのが、野崎氏の命を奪った覚醒剤だ。須藤は、事件の約1か月半前、性的機能が衰えた野崎氏から覚醒剤の購入を依頼されたと、捜査段階では供述していなかった内容を証言。当時、YouTubeで「覚醒剤 死亡」などと検索していた履歴があることについては、こう釈明した。
「直前に尾崎豊の動画を見ていました。『I LOVE YOU』の歌手です。覚醒剤を過剰摂取したため、路上で裸で死んだという話で、『死んじゃうんだ』と思って調べました」(須藤の法廷証言より)
須藤の持っていたライダースジャケットなどからは覚醒剤成分が検出されているが、
「ライダースジャケットは社長が亡くなった1年後の家宅捜索で押収されました。サングラスや靴、パスポートケースも一緒に押収され、そこからも反応がありました。これらは社長が亡くなった後、社長の家に出入りするときに身に着けていたものです。社長の家で反応が出ているから、いつ(覚醒剤が)付いててもおかしくないと思います」(同前)
この日で被告人質問を終えた須藤は、野崎氏とは金目当ての結婚だったこと、密売人から覚醒剤を入手したことを認めたうえで「殺していないし、覚醒剤も飲ませていない」と無罪を主張。野崎氏の死は、自殺または事故ではないかとしている。
対して検察側は「当日、野崎氏に覚醒剤を飲ませて殺害できたのは須藤被告しかいない」と強調。総勢28人の証人尋問を実施するなどして膨大な状況証拠を積み上げてきたが、須藤がどうやって致死量の覚醒剤を野崎氏に飲ませたのかは解明できていない。
次回18日は、検察側が論告求刑、弁護側が最終弁論を行って結審。判決は12月12日に言い渡される予定だ。
現在配信中の「 週刊文春 電子版 」11月14日発売の「週刊文春」では、須藤がネットで検索していた猟奇殺人者の名前や違法薬物の種類、本人がそれらに執着した理由についても、詳しく触れている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)
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