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米大統領選はなぜ「トランプ圧勝」だったのか? 池上彰さんが現地で感じた“空気”

文春オンライン / 2024年11月21日 6時0分

米大統領選はなぜ「トランプ圧勝」だったのか? 池上彰さんが現地で感じた“空気”

大統領に返り咲いたドナルド・トランプ氏 ©EPA=時事通信社

Q “もしトラ”が現実に…米大統領選はなぜ「接戦」にならなかったのですか?

 米大統領選で返り咲きを果たしたドナルド・トランプ氏。事前に優勢が伝えられていた州に加え、選挙結果を左右すると言われた7つの激戦州すべてでトランプ氏が勝利しました。事前の世論調査ではカマラ・ハリス氏との「大接戦」が伝えられていたのに、なぜこのような結果になったのでしょうか。(10代・男性・学生)

A 私が現地で感じたのは……。

 そもそもアメリカの世論調査は、日本ほど緻密ではなく、信頼がおけないのです。そうはいっても、各種の調査がいずれも「接戦」という結果になっていました。なぜ世論調査が当たらなかったのか。私が現地で感じた仮説は以下のようなものです。

 2016年の大統領選挙では「隠れトランプ」という言葉が流行しました。当時は「トランプを支持している」と公言すると、変わり者扱いされるのではないかと心配した人たちが世論調査に答えなかったからです。

 トランプが大統領になった後は、トランプ支持を公言しても変わり者と見られなくなりました。

通常の世論調査では、トランプ圧勝を把握できなかった

 しかし、トランプは既存のメディアを「フェイク・ニュース」と罵倒してきました。トランプ支持者もメディアを信用しなくなり、メディアの世論調査に協力しなくなった結果、圧勝という結果がつかめなかったのではないかと思うのです。

 私もアメリカ各所で街頭インタビューを試みましたが、快くインタビューに応じてくれた人たちは、ほとんどが「ハリス支持」と明言しました。その一方で、マイクを持って近づくと顔を背けたり、「あっち行け」と手を振ったりする人たちがいました。いまから思えば、この人たちがトランプ支持者だったのでしょう。結局、通常の世論調査では、トランプ圧勝のうねりを把握できなかったのだと思います。

(池上 彰)

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