友人たちと「おばあちゃんになったら絶対に同じマンションに住もうな」…『同人女アパート建ててみた』はオタク女子の夢の住まい!
文春オンライン / 2024年11月29日 11時0分
賀来『同人女アパート建ててみた』秋田書店 既刊2巻
宇垣美里さんが選りすぐった傑作マンガの数々を熱量たっぷりに評する「週刊文春」の連載「 宇垣総裁のマンガ党宣言! 」より、『 同人女アパート建ててみた 』について綴った回を特別に掲載します。
◆ ◆ ◆
付き合いの長い友人たちと飲むたびに、おばあちゃんになったら絶対に同じマンションに住もうな、という誓いを立てあっている。たとえ結婚していようとしていなかろうと、子どもがいようがいまいが、人生の最後は支え合って面白おかしく生きていこう、と。全員一人の空間が必要なタイプだからシェアハウスじゃなくて、一部屋一部屋が独立した同じマンションの方が気兼ねしなくていいかも……なんて希望まで。『同人女アパート建ててみた』はそんな私たちにとってまさに理想の住まい!というか、こんなのいつの世もどの世代の女にとってもロマンそのものでは?
新築の“同人女アパート”が無事完成。ところが…
銀行員であり同人活動に励むオタクのA子には夢があった。それは、同人活動か創作活動をやっている女性限定のアパートを建てること。学生時代ひとりでオタク生活を送っていたA子は、皆で同じ空間で原稿を書いたり、一緒にアニメをリアルタイム視聴したりする、いわゆるオタクライフになみなみならぬ憧れがあったのだ。
実家所有のボロアパートと土地を担保に5000万円の融資を受けて、新築の“同人女アパート”が無事完成。ところが、A子の掲げた特殊な条件と相場より高めな家賃設定のため、入居者ゼロでスタートしてしまうことに。はたしてA子は初志貫徹し、同人女アパートの大家となれるのか。
共用スペースには複合機や人体工学に基づいたイス、無線LANも完備してある最強の原稿部屋だけでなく、なんちゃってライブビューイングやゲームも大画面で楽しめるホームシアタールームも併設。創作系オタクにとっては夢の城のようなアパートの描写に思わずうっとり。私自身は同人活動こそしていないが、彼女たちと同じくらい〆切に追われている身、おまけに重度のオタクなので、この物件の良さは痛いほど分かり、共感が止まらない。誰かと一緒なら黙々と頑張れるのに、一人だと気づいたら延々とネットの海を徘徊しちゃってること、あるよね……。
同人活動や大人オタクならではのあるあるはもちろんのこと、ローンの支払いや家賃収入などの不動産経営で直面する問題も学ぶことができる本作。夢の実現を前に立ちはだかる現実はなかなかに世知辛い。が、そんな中でA子の夢を応援する同人仲間たちや、仲間のサポートのおかげもあって集まった入居者たちの間に生まれる女性同士の緩やかな連帯が眩しく映る。性格や好きなジャンル、それぞれの同人活動の出力方法は違っても根っこは同じな彼女たちの会話を、いつまでも聞いていたいと思えた。
作品の設定は2011年あたりとのこと。そこから推察すると登場人物たち各々のハマっているジャンルのモデルがなんとなく見えてくるところも楽しい。
いくつもの困難を乗り越え、無事満室となった同人女アパート。肩の荷が下りてようやくイベントに出かけることができたA子だったが、そこで新たな問題が発覚する。不穏なラストにハラハラし、どうか私たちの将来の夢そのままの同人女アパートが無事運営されていきますように、と神を拝みながら次巻を待っている。
(「週刊文春」2024年4月11日号掲載)
〈 同人女が同人女アパートを建てようとする話「第二の人生としてアパートの大家もいいかな…って」 〉へ続く
(宇垣 美里/週刊文春 2024年4月11日号)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
省エネ住宅支援、賃貸も=子育て世帯の入居後押し―国交省
時事通信 / 2024年11月28日 16時22分
-
中古アパート経営を成功に導く「物件選び」の判断基準【不動産鑑定士兼税理士大家の実体験】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月28日 7時15分
-
【エイブル×BestStage】交流をつくる木造アパートの新商品の開発に着手
PR TIMES / 2024年11月25日 11時45分
-
TOKYO<β>マンガ荘から2名がプロデビュー
PR TIMES / 2024年11月21日 12時15分
-
人口減でも「マンション家賃10%上昇」のなぜ 首都圏だけでなく大阪市、福岡市などで家賃高騰
東洋経済オンライン / 2024年11月7日 9時0分
ランキング
-
1「ラヴィット!」渡瀬マキの近影にネット仰天「すごっ」「55だってよ!」「夫婦なの!?」「久しぶり」
スポーツ報知 / 2024年12月4日 12時8分
-
2反省なきスマイル社の無慈悲対応…旧ジャニーズ性加害問題「法を超えた補償」はどこへやらで法廷闘争に
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月4日 11時3分
-
3「3年C組は不倫してます。」真鈴(田中美久)暴露に視聴者ざわつく「すごいところで終わった」
モデルプレス / 2024年12月4日 11時21分
-
4小芝風花は来年も「ゴチ」はやるの? ファンからは「来年も笑顔は見たい」と継続希望の声
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月4日 9時26分
-
5テレビはより“オワコン化”が進む?『M-1グランプリ2024』令和ロマンが“2連覇”した場合の未来予想図
日刊SPA! / 2024年12月4日 8時52分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください