7年前のiPhoneは今でも使える? カメラや通信速度は最新型に惨敗、LINEが使えない機種も…しかしいまだに“優位な点”も
文春オンライン / 2024年11月22日 17時0分
今回はホームボタン搭載iPhoneの中では比較的世代の新しい、2017年発売の「iPhone 8」(左)を、最新のiPhone 16 Pro Max(右)と比較します
最近のスマホは、年に1度はモデルチェンジが行われるケースが大半を占めます。そのせいで、新しいスマホが紹介される時は、ひとつ前のモデルとの比較で、どこが進化したか語られることがほとんどです。
もっともスマホを毎年買い替えるユーザはむしろ少数派で、多くの人は最低でも2~3年、場合によっては数年以上にもわたって、同じスマホを使い続けていることでしょう。そのためひとつ前のモデルと比較されても、自分が使っている数世代前のモデルとどのくらい違うのか、なかなかピンと来なかったりするものです。
今回は、iPhoneでかつて主流だった「iPhone 6」から「iPhone 8」までのホームボタン搭載モデルと、最新のiPhone 16シリーズの最上位であるiPhone 16 Pro Maxを比較し、具体的にどこが違うのか、また買い替えずに使い続けた場合に何がネックになりうるのかをチェックします。
カメラのレンズが1つだけ、Wi-Fiも遅く5Gは非対応
今回取り上げる「iPhone 8」は、iPhone 6や6s、iPhone 7、さらに現行の第3世代iPhone SEとほぼ共通のボディデザインを持つ、画面下にホームボタンを搭載したモデルです。薄いながらも手に収まりやすいラウンドフォルム、さらには出っ張りの少ないカメラを備え、いまなお評価の高い製品です。
とはいえ現行のiPhone 16シリーズと比べると、さすがに見劣りする部分が多々あります。画面サイズは4.7型で、iPhone 16シリーズの中でもっとも小さいiPhone 16(6.1型)と見比べてもかなりの差があります。大きければ必ずしもよいわけではありませんが、見やすさの差は圧倒的です。
また画面の明るさも、iPhone 16 Pro Maxのピーク輝度は2,000ニト(屋外)なのに対し、iPhone 8およびiPhone 7は625ニト、iPhone 6/6sに至っては500ニトと、直射日光下での視認性には大きな差があります。実際に使っていると気が付かないものの、買い替えた時にびっくりさせられるポイントのひとつと言えます。
またハード面での最大の違いはカメラで、現行のiPhone 16は広角と超広角、ハイエンドであるiPhone 16 Pro Maxは広角・超広角・望遠とレンズが3つもあるのに対して、iPhone 8は広角の1つだけ、なおかつ12MPと、同じ広角レンズでも48MPあるiPhone 16シリーズの足元にも及びません(8MPしかないiPhone 6だと差はさらに広がります)。現行モデルに買い替えた時にもっとも差を実感するのが、このカメラでしょう。
パフォーマンスについても、ベンチマークアプリで比較すると、上位のiPhone 16 Pro MaxとiPhone 8のスコア差は平均して3倍近くあります。体感的にも、さまざまな操作で反応がワンテンポ遅れるイメージで、用途によらず使っていてつらいものがあります。またWi-Fiが遅いためダウンロードにも時間がかかりがちなほか、5Gに非対応なのも、いまとなっては大きなネックです。
iPhone16の顔認証より指紋認証の方が便利な場面も
もっとも最新モデルがすべての面で優れているわけではありません。なかでも評価が分かれるのは生体認証でしょう。
iPhone 16シリーズをはじめ現行のiPhoneのほとんどは生体認証として顔認証(Face ID)を搭載していますが、マスクをしているとうまく解除できない場合があるなど、万能とは言えません。その点、iPhone 6~8に搭載されている指紋認証(Touch ID)は、指さえ乗せれば画面を見つめることなく解除できるなど、使い勝手のよさを評価する声はいまなお多くあります。
また現行のiPhone 16では、音量ボタンの上にあるボタンが、ミュート以外にもさまざまな機能を割り付けられるアクションボタンに変更されているほか、右側面にはそれ以前のモデルになかったカメラ撮影用の専用ボタンも追加されています。うまく使えば便利なのですが、やや複雑化しているほか、ミュートボタンはスライド式からプッシュ式に改められたことで直感的に使いづらくなっており、必ずしもプラスとは言えません。
またiPhone 8以前のモデルが明確に有利な点として、ボディの軽さと薄さが挙げられます。iPhone 8は148g、iPhone 6に至っては129gしかないのに対し、現行のiPhone 16は170g、望遠レンズも搭載するiPhone 16 Proだと199gと、相当な差があります。重量差の違和感を感じずに済ませるのであれば、耐えられるのはiPhone 16がギリギリでしょう。
LINEが使えなかったり、下取り価格がガクンと下がるのも難点
一方のソフトウェアはどうでしょうか。iOSが動作している以上、使える機能はほとんど同じ……と勘違いしがちですが、iPhone 8が対応するのはiOS 16.7.10までで、iOS 17や18で追加された新機能は利用できません。同様に、iPhone 7およびiPhone 6sはiOS 15.8.3、iPhone 6に至ってはiOS 12.5.4で、サポートが打ち切られています。
最新のiOSが使えないことでネックとなる機能はいくつもありますが、なかでも今後を考えると重要なのが、パスワード関連の機能です。現行のiOS 18では、任意のパスワードマネージャを使ってのパスワードおよびパスキーの管理と自動入力が行えますが、iPhone 8以前では利用できません。パスキーの利用率はここ1~2年で大きく上がってきており、これらに対応しないことによって、今後使いづらく感じる機会は増えてくるはずです。
また使い勝手の部分では、ホーム画面でアイコンを詰めずに飛び石で配置できたり、個別のアプリをFace IDでロックできたりといった、最新のiOS 18で追加された便利機能も利用できません。またコントロールセンターも、iOS 18ではジャンル別に画面が分かれていたり、アイコンが色分けされるなどしてより見やすくなっていますが、これらもやはりiPhone 8以前では対象外です。
もっとも利用者にとっては、アプリのサポートのほうがクリティカルな問題と言えるかもしれません。古いiOSのサポートを早めに打ち切ることの多いLINEなど一部のアプリは、すでにiPhone 7以前ではサポートが終了しており、iPhone 8も崖っぷちの状況にあります。主要なアプリが使えなくなると手放す人が増え、同時に中古品としてのニーズも低下するため、下取り価格も雀の涙となってしまいます。早めに手を打ったほうが得策でしょう。
7年もたてばさすがに買い替えの時期
以上のように、ボディの軽さや薄さ、指紋認証など、現行のiPhone 16にない利点があるのは事実なのですが、やはりマイナスがそれらを上回っている印象です。新しいiPhone 8ですら発売から7年以上も経過しているわけで、そろそろ本腰を入れて考えたほうがよさそうです。
なかでもカメラに関しては、買い替えの強力な動機になり得ます。写真や動画は将来にわたって手元に残り続けるわけで、今は特に見劣りしなくとも、撮った写真や動画のクオリティの低さに将来がっかりする可能性は高いでしょう。現行モデルは画素数だけではなく、ビデオ撮影で手ぶれ補正や120fpsに対応しているなどの利点もあり、買い替えて損はありません
またこれだけ長年使い続けていればバッテリーも相応に劣化し、モバイルバッテリーをともに持ち歩かなくてはならなくなっているはずで、そうなるとiPhone 8以前のモデルの利点である軽さについても、意味が薄れてしまいます。それならば新しいモデルに買い替えて、モバイルバッテリーを持ち歩かなくてよくなるほうが、荷物を減らすという意味でもプラスと言えるのではないでしょうか。
(山口 真弘)
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