17歳で“中卒”に→28歳で結婚破談→34歳でアメリカ超名門大に合格…「私って何者にもなれなかったんだな」という後悔から始まった女性の逆転人生
文春オンライン / 2024年12月14日 6時0分
UCLAに進学したひとみさん
名門の中高一貫校に入学したものの高校1年で中退して“中卒”に。その後はアルバイトや派遣を転々とし、28歳の時には結婚も破談。
そんな人生のどん底から34歳にして世界8位のトップ大学カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に合格したひとみさん。一度はエリートコースからドロップアウトしたひとみさんは、なぜ再び勉強と向き合うことができたのか。(全2回の1回目/ 続きを読む )
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名門中学に入学したときが人生のピークだった
ーー今年の秋からUCLAに入学されて、現在は試験期間中(取材は11月)だそうですね。どういったことを学ぶ予定なのですか?
ひとみさん(以下、ひとみ) 試験があとひとつ残っていて、ちょっとまだ試験勉強に忙殺されています(笑)。次の学期から社会学部で学ぶ予定です。UCLAには今年の9月にコミュニティカレッジ(アメリカの2年制の大学)から編入する形で入学しました。
ーーひとみさんは中学受験を経験されていますが、幼少期から教育に熱心なご家庭だったのでしょうか。
ひとみ 全然そんなことはなくて、両親から「勉強しろ」とか「いい大学に行け」と言われたことはないんです。ただ、姉が優秀で、中学受験で「御三家」と呼ばれる都内の名門私立に合格して、その後も旧帝大に現役合格していて。なので、「私も中学受験をするんだな」と思うのは自然な流れでした。私も御三家ほどではないですが、それなりの進学校に合格することができました。そこに入学したときが、私の人生のピークだったんだと思います。
突然、学校に行けなくなった
ーー進学校に無事合格されたあと、授業にはついていけたのでしょうか。
ひとみ これが私の高校中退につながる話でもあるんですけど、突然学校に行けなくなっちゃったんですよね。勉強に対しての苦手意識があって、学校を一回休んでしまって。で、一回休むと休み癖がついて、どんどん行けなくなっちゃって。最後は出席日数が足りなくなって中退、という感じでした。
ーー出席日数が足りなくなったのは中学のときから?
ひとみ 中学3年ぐらいだったと思います。なんとか高校に上がることはできたんですが、高1から高2に上がれなかったんです。中高一貫だと高校受験もないので、自業自得ですが、「中だるみ」みたいなのが私自身にあったんだと思います。中退直前はほとんど学校に行った記憶がなくて、家で泣いていた記憶しかないです。
高卒認定試験を受けるも…
ーーそうしたひとみさんの状況をみて、ご家族は心配していたのではないですか。
ひとみ 両親はすごく私のことを大切に思ってくれていましたし、いっぱいサポートもしてくれたんですけども、当時はうまく感情を通わせることができませんでした。そこで結構、溝ができちゃったんですね。
ーーどういった溝でしょうか。
ひとみ 両親は「ここで学校に行かなくなったら、あなたの人生は悪い方向に進んでいくよ」と正論を言うタイプで。たしかにその通りなんですけど、私自身の心が不安定だった時期なのもあって、もっと寄り添ってほしいという思いもありました。でも、両親なりにどうしたらいいか、というのをすごく考えてくれていたというのも理解しています。
ーー出席日数が足りなくなり中退を選ぶわけですが、高校留年は考えなかった?
ひとみ そういう選択肢もあったと思うんですけど、留年するとなると一学年下の後輩とかかわることになるわけじゃないですか。部活で後輩とのかかわりもあったので、そこに抵抗があったんだと思います。周りのみんなと学年が違うという劣等感を絶対持ち続けるだろうな、というのもあったので。
「いつかは大学に行くぞ」と思っていた
ーー中退されたあとはどのように過ごされていたのですか。
ひとみ 高1から高2に学年が変わる春に中退して、その年の夏に高卒認定試験を受験し、全科目に一発合格しました。
ーー高卒認定試験を受けようと思ったのはなぜですか?
ひとみ 中退したときから、「いつかは大学に行くぞ」という気持ちはあったので、その過程で必須となる高卒認定試験は受けておこう、と思いました。
ーー大学に行きたいという気持ちは、通っていた進学校で周囲が目指していたから?
ひとみ そうですね。やっぱり大学に行くのは当然というのは、私の中に刷り込まれていたんだと思います。
ーー当時、実際に大学受験はしたのですか。
ひとみ 18歳から19歳のとき、予備校に行っていたこともあるんですが、当時は勉強の遅れをなかなか取り戻せなかったのと、明確な目標がなくて断念しました。私が通っていた進学校は、ちょっと言い方が悪いですけど「早慶上智を目指すのが当たり前で、MARCHに引っかからなかったらかわいそうだよね」みたいな風潮があったんですよね。その雰囲気にのまれながらも、私自身は受験勉強に本気になれていませんでした。
ファミレスやカフェでバイトする日々
ーーその後はどうされたのでしょうか。
ひとみ ファミレスやカフェでバイトしたり、高級ホテルで派遣スタッフをしたりする数年間でした。両親は当時、本当に心配していたと思います。「どうなっちゃうんだろうこの子」と思っていたでしょうし、姉がすごい優秀なぶん、私は逆方向に向かっていっちゃったので。とにかく心配をかけましたね。
ーーアルバイトをされていたわけですが、一方で美容専門学校にも通われていた。
ひとみ 高級ホテルの派遣で結婚式の現場にいたときに、花嫁さんのヘアメイクの様子を見て「手に職をつけよう」と一念発起し、美容専門学校に進みました。その後、美容師免許を取得しました。私自身、「さすがに高校中退のままだとこの後の人生もダメなんだろうな」とモヤモヤを抱えていたので、専門学校への進学を選択したという感じです。
夜の11時まで残業したエステサロン時代
ーーその後は美容院に就職されたのですか?
ひとみ そうではなく、エステサロンの正社員になって受付の仕事をしていました。美容院への就職を考えるなかで、技術よりもお客様におもてなしをしたいという風に考えが変わったんです。ただ、就職したエステサロンは一日中立ちっぱなしで、売り上げのノルマも厳しく、ストレスで蕁麻疹が止まらなくなってしまって……。夜の11時まで残業していることもよくありました。そうした過酷な環境だったので、エステサロンも結局辞めてしまいました。
ーーエステサロンから海外大学を目指すまで、どんな経緯があったのでしょうか。
ひとみ 海外大学を目指すまでは、ずっと派遣会社を通じて契約社員として企業受付をしていました。美容師免許も取ったけど、美容師にもならなかった。高校もやめてしまった。それで当時は、「私って何者にもなれなかったんだな」といううつろな気持ちが自分の中にすごくありました。目標もなかったですし、ただ消費するだけ。すごい人生が空っぽな感じで、この人生を変えてくれる何かをすごく求めていました。
28歳のときにたまたまお付き合いしていた方と結婚の話が出て、「これで私は幸せになれる」というふうに、勘違いしてしまったんですね。自分の心の穴を、高価な結婚指輪や、相手方の職業といったステータスで埋めようとしていました。ですが、結婚のお話は破談になってしまって。相手の方はほんとうに素敵な方でしたが、「人に頼って生きたい」という未熟さが私の中にあったんだと思います。
〈 「三単現のsすらわからなかった」高校を中退した社会人女性(34)が世界ランキング8位の大学に合格できた“まさかの理由” 〉へ続く
(「文春オンライン」編集部)
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