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「三単現のsすらわからなかった」高校を中退した社会人女性(34)が世界ランキング8位の大学に合格できた“まさかの理由”

文春オンライン / 2024年12月14日 6時0分

「三単現のsすらわからなかった」高校を中退した社会人女性(34)が世界ランキング8位の大学に合格できた“まさかの理由”

ひとみさん

〈 17歳で“中卒”に→28歳で結婚破談→34歳でアメリカ超名門大に合格…「私って何者にもなれなかったんだな」という後悔から始まった女性の逆転人生 〉から続く

 名門の中高一貫校に入学したものの高校1年で中退して“中卒”に。その後はアルバイトや派遣を転々とし、28歳の時には結婚も破談。

 そんな人生のどん底から34歳にして世界8位のトップ大学カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に合格したひとみさん。一度はエリートコースからドロップアウトしたひとみさんは、なぜ再び勉強と向き合うことができたのか。(全2回の2回目/ 最初から読む )

◆◆◆

ーー過酷な労働環境や、結婚の話が破談になるなど、20代後半はひとみさんにとって辛い時期だったのでは。

ひとみさん(以下、ひとみ) その当時はご飯も食べれなくなって、水も飲めなくなって、部屋に引きこもったんですね。それでも会社には行かなきゃいけなかったので、数日ぶりに電車に乗ったら車内で倒れちゃったんです。近くにいたおばさまが席に座らせてくれたんですけど、そのときにふと「私の人生、どこで間違えたんだろう」と思って。意識がボーッとしてるなか、自分に問いただしたとき、それは17歳で高校を中退して自分の人生から逃げ出したときだと気づいて。そこで、「17歳のときに立ち返って人生をやり直そう、あのとき諦めてしまった大学進学をしよう」と思いました。

ーーなぜ日本の大学ではなく、海外の大学を目指したのですか?

ひとみ 現実的に、当時の私が日本にある頭のいい大学に入るというのは無理があったんです。日本はセンター試験(現・共通テスト)で何科目受けると決まっているじゃないですか。私は高校を中退したことによって日本の受験勉強は何もわからない状態だったので、国内受験は考えず、コミュニティカレッジ(アメリカにある2年制の大学)から世界の名門大学に編入するという道を選びました。

ーーそのコミュニティカレッジにも入学試験があると思いますが、どうやって対策したのでしょうか。

ひとみ コミュニティカレッジや海外の大学を目指すための英語塾に入りました。ネイティブの先生のもとで、どのように英語でエッセイを書いたり、プレゼンテーションをすべきかを習っていました。ですが、十何年ぶりぐらいに勉強をしたので、当時は英語の3単現のsもわからなかったんです。だから授業で「文章を書いてみましょう」と言われても、一文も書けなくて先生に呆れられてしまって。

海外留学のために猛勉強

ーーその状態からどのようにして英語をマスターしたのですか。

ひとみ とにかく半年間膨大な量の宿題を黙々とこなしました。最初はエッセイの課題が出てもなにもわからなかったんですけど、「この日本語って英語でどういう風に書いたらいいんだろう」という疑問を毎回調べて、それを覚えて、使ってを繰り返していました。そうすると次第に使える言い回しが増えてきて。そのおかげで、コミュニティカレッジに必要なTOEFLの点数を2回目の試験で取得して、2022年にコミュニティカレッジに合格することができました。

ーーカリフォルニアにあるコミュニティカレッジを選んだのには理由があるのですか?

ひとみ 私が目指していたUCLAといったカリフォルニアの州立大学は、カリフォルニア州にいる学生をメインに受け入れているので、カリフォルニアにあるコミュニティカレッジであれば編入できる可能性が高いと考え、選びました。

ーーコミュニティカレッジに2年間通い、晴れてUCLAに合格されましたが、どうすればそんな難関大学に合格できるのですか?

ひとみ カリフォルニアの州立大学への編入というとこだけにフォーカスして言えば、もちろん愚直に努力することも必要ですが、情報がとにかく大事です。

ーーそれはどういうことでしょうか。

ひとみ 本当にいい大学に入りたいんだったら、コミュニティカレッジの成績でGPA4.0(全科目最高評価)を目指さなくちゃいけないんです。そのためにはクラス選びがすごく大切になってきます。なので、厳しい先生にできるだけ当たらないよう、各先生の授業に関するレビューが載っているサイトを見て、授業選びをしていました。

ーーひとみさんのGPAはいくつだったんでしょうか。

ひとみ UCLAなどに出願したときは、4.0でした。ただ、コミュニティカレッジでは数学といった理系の授業も取る必要があって、数学が苦手な私にとってはすごく大変でした。統計学の授業を取ったんですけど、厳しい先生にあたってしまって。A評価を取るために、授業のグループワークのメンバーと夜の10時から朝5時まで作業したりしていました。こうした努力もUCLA合格のためには必要ですが、成績が良いだけではそうした大学には入れないんです。

UCLA入学への高いハードルとは

ーー出願時のエッセイも大事。

ひとみ そうです。UCLAやUCバークレーに入るためには、良い成績のほかに課外活動を20個、そしてエッセイを書かないといけません。

ーーエッセイではどんなことを書かれたのですか?

ひとみ 今までの自分の人生のことを書きました。私はこれまでの自分の人生を肯定できていなくて。でも、エッセイで今までの人生を心を込めて書いて、それがUCLAに受け入れてもらえるんだとしたら、そこで私は初めて自分の人生を肯定できるんだろうなと思って、そういう気持ちで書きました。

ーー課外活動も重要とのことですが、ひとみさんはどんなことをされていたんですか。

ひとみ コミュニティカレッジに留学中は、現地の日本人学生グループに所属したり、日本からアメリカに駐在される方向けの家を紹介する不動産会社でインターンシップをしていました。仕事内容は、駐在される方に代わって、英語で水道や電気の開通をしたりしていました。

ーー勉強だけでなくエッセイや課外活動が認められ、UCLAに合格。その瞬間の気持ちや、周囲の反応はどうでしたか?

ひとみ 28歳のときから勉強を始めているので、「長かった」「ようやく報われた」という気持ちが大きかったです。両親は私がUCLAに入れるなんて思ってもなかったので、「本当なの?」と半信半疑でした(笑)。それでも、「努力が報われてよかったね」と言ってくれました。

ーーXで投稿した「UCLA合格」のポストが11万いいねとバズりましたね。どういった反応がありましたか。

ひとみ びっくりしました。「元気がもらえました」といった反応が多くて、中にはDMで「自分もくじけてしまったことがあるんですが、ひとみさんの投稿を見てもう一回頑張ってみようと思いました」というメッセージをいただいて。誰かの希望になれるんだ、というのがすごく嬉しかったです。1つ、2つだけ「ババアで草」というコメントもいただきましたが、別に気にしなかったですね。

UCLA以外にも3校合格

ーーちなみに、UCLA以外の大学にも合格されたのですか?

ひとみ UCバークレー(THE世界大学ランキング2025年版総合8位)、UCサンディエゴ(同ランキング34位)、UCデービス(同ランキング62位)を受けて、全部合格をいただきました。

ーーすごいですね。念願のUCLAに進学し、心境の変化はありましたか。

ひとみ 今までの私は、「自信」を頭がいいとか、かわいいとか、そういう能力を持っている人が自分に自信があると思っていました。ですが、留学を通して、自信というのはそうした能力をひけらかすことではなく、どんなときも自分のために行動をおこし、自分を正しい道に導いてあげられると信じることなのだと感じました。

大逆転を期待しているわけではない

ーーひとみさんは今後、UCLAを経てどのようなキャリアを送っていきたいと考えていますか?

ひとみ これまでの私自身のキャリアから、即戦力で生かせるスキルがあるかというと、なかなか難しいですし、キャリアで大逆転を期待しているわけではないんです。卒業後はご縁があったところで頑張りたいなと思っていますし、何より自分の心の中にいた17歳の自分を泣き止ませてあげたい。あのときの自分が手に入れられなかったものを、いまの私がさかのぼって、ひとつずつ17歳の自分に渡したいという気持ちで生きています。

ーーそうしたひとみさんの姿に元気や勇気をもらった人が多くいると思います。

ひとみ 人生でどれだけ辛いことやなにか後悔があっても、いつかその点が線になる瞬間があって。視点を変えればどんな不利な点もアドバンテージに変えることができると思うので、私も頑張るから、頑張ってほしいなと思いますね。

(写真提供=ひとみさん)

(「文春オンライン」編集部)

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