「ピューッと血が噴き出てきた」5万円の賞金をかけられ二度刺されたことも…石原慎太郎の元参謀(77)が語る「安保闘争の凄まじさ」
文春オンライン / 2024年11月28日 11時0分
学生たちが安保闘争に燃えていた、1960年代後半~70年代前半はどんな時代だったのか…。写真はイメージ ©getty
「予算配分をめぐって全共闘系の学生たちと、さんざんやり合いましたよ。議論はもちろん、ケンカもしょっちゅうです」
ときには刃傷沙汰に発展することも…日米安全保障条約を巡って、論争やデモ活動に励んでいた1960年代後半~70年代前半の学生たちの喧騒ぶりを、新刊『 政治家ぶっちゃけ話 「石原慎太郎の参謀」が語る、あのニュースの真相 』(清談社Publico)より一部抜粋してお届け。学生時代は民族派のリーダーであった元東京都副知事の濵渦武生氏が直面した命の危険とは?(全2回の1回目/ 後編 を読む)
◆◆◆
あまりにも危険だった安保闘争の思い出
――1966(昭和41)年4月、関西大学文学部新聞学科に入学した濵渦は、全共闘(全学共闘会議)運動が全盛期を迎えるなかで、彼らに対抗すべく、民族派学生として、反・全共闘の闘士となっていく。
江本孟紀(以下、江本) 濵渦さんは関西大学時代、関西で民族派の学生たちのリーダーだったんですよね。
濵渦武生(以下、濵渦) 当時は70年安保があって左翼学生たちが活発でした。私は彼らに対抗するための民族派の学生のネットワークづくりをやっていたんです。
最初は学内にある「政治問題研究部」に入ったことからですね。部室には国旗が掲げてあり、男子学生たちは詰め襟姿。バンカラだった私の感性に、なんだか合ったんです(笑)。そのあとは学友会自治会の役員になって、3年生のときには書記局長を務めました。予算配分をめぐって全共闘系の学生たちと、さんざんやり合いましたよ。議論はもちろん、ケンカもしょっちゅうです。
1969(昭和44)年6月には全共闘による大学会館の封鎖が始まって構内が無法状態になったこともありました。学内封鎖の翌日に5000人規模の討論集会を学友会としてやったんです。集会のあいだに学外の全共闘が乱入してきて、すさまじい乱闘でした。
江本 あの時代にそこまで戦っていたら、濵渦さんも過激派の学生たちから目をつけられたんじゃないですか。
濵渦 ええ。私と間違えられて学外の連中に拉致されて、リンチされたあげくに指と足をパイプで折られて、顔じゅうをたばこの火で焼かれた友人がいました。
なんとか救出して病院で手術して助かったのですが、駆けつけたお姉さんが泣いていましたね。病院の待合室のテレビに甲子園の松山商と三沢高の決勝戦が流れていた記憶があるから、1969(昭和44)年8月18日か19日だったと思います。一試合目か再試合のほうか、どちらかは覚えていませんが。
江本 濵渦さんも危険な目にあったことがあるんですか。
手をひらくとピューッと血が噴き出てきた
濵渦 ここだけの話、私自身も刺されたことが二度ほどあります。一度目は大阪の梅田にある阪急東通商店街に「セシボン」っていう飲み屋さんがあって、そこに友人と学生服で入っていってハイボールを飲んでいたら、チンピラのお兄ちゃんがからんできたんです。もみ合いになっているうちに刃物が下から出てきて、ブスッと刺されました。近くの大阪中央病院で診てもらって、命に別条はありませんでした。それが一度目ですね。そのときはチンピラとのケンカみたいなものですが、こう見えても全共闘学生からは目をつけられて5万円の賞金首(懸賞金をかけられた人)になっていたんです。民族派としては目立っていましたから。
あるとき兵庫県の尼崎を歩いていて、「なんかおかしいな」と感じて振り向いたら、いきなり首元をナイフで刺されそうになったことがあります。思わず左手でナイフを押さえて命拾いしましたよ。
そのままひたすら走って逃げて病院に駆け込んだら、もう硬直して手が開かない。なんとか開くとピューッと血が噴き出てきた。そのときの神経の切れた傷跡が、いまだに手に残っています。
江本 それは背後からの殺気に気づいたんですか。
濵渦 不思議ですが、なんとなくわかるものなんですね。あの当時は自分自身も殺気立っていたというか……つねに緊張状態にいて、警戒心があったんだと思いますよ。
〈 「三島さんの首が据わらないで転がっていた」クーデターはなぜ失敗? 自衛隊員に演説するだけで終わった「三島由紀夫の大誤算」 〉へ続く
(濵渦 武生,江本 孟紀/Webオリジナル(外部転載))
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「三島さんの首が据わらないで転がっていた」クーデターはなぜ失敗? 自衛隊員に演説するだけで終わった「三島由紀夫の大誤算」
文春オンライン / 2024年11月28日 11時0分
-
ダンプ松本と対戦後の女子プロレスラー、結婚記念日にファミレスで豪遊 合計金額は……「しっかりアプリのクーポン使って」
ねとらぼ / 2024年11月21日 18時36分
-
阪神ドラ1に悲劇…いきなり酷使で「終わった」右肩 与えられなかった“猶予期間”
Full-Count / 2024年11月18日 6時50分
-
中日・立浪監督が打ち破れなかった「ミスタードラゴンズ」のジンクス…星野仙一、落合博満との奇妙な共通点
集英社オンライン / 2024年11月3日 11時0分
-
「あんな選手を使いやがって」中日・立浪監督が3年連続最下位でも正しい野球理論を備えていたといえる2つの理由
集英社オンライン / 2024年11月2日 11時0分
ランキング
-
1財源明確化、国民民主に求める=年収の壁で「論点」提示―自公両党
時事通信 / 2024年11月28日 16時5分
-
2「僕は無実です。独房で5年半くじけずに闘い続けて良かった」2歳女児への傷害致死罪に問われた父親に『逆転無罪判決』
MBSニュース / 2024年11月28日 18時25分
-
3194キロ衝突死、懲役8年判決…当時少年の男に危険運転致死を適用
読売新聞 / 2024年11月28日 15時40分
-
4原発の汚染水処理めぐり12億円を詐取か…64歳の会社役員の男を逮捕 架空の発注があったかのように装った疑い
MBSニュース / 2024年11月28日 19時40分
-
5闇バイトで金銭トラブルか 留学生を監禁・恐喝未遂容疑で中国籍5人逮捕 警視庁
産経ニュース / 2024年11月28日 13時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください