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「財布を出せ!」ところが強盗は捕まえられてボコボコに…20代・日本女性がメキシコに移住して驚いた「私刑が許される社会」のリアル

文春オンライン / 2024年11月27日 11時0分

「財布を出せ!」ところが強盗は捕まえられてボコボコに…20代・日本女性がメキシコに移住して驚いた「私刑が許される社会」のリアル

写真のように警察が犯罪者をうまく取り締まらないのがメキシコの実情だという。写真はイメージ ©getty

〈 20代・メキシコ在住の日本人女性が「生理痛がひどい」と友人に相談→解決策に勧められて驚いた「日本では違法のアレ」の正体 〉から続く

 警察が犯罪者を取り締まらない国はどうなってしまうのか…? ここでは警察が頼りにならないゆえに、民間人による私刑が許されたメキシコの実情をお届け。

 コロナ禍前の2019年にメキシコへ移住し、現在はYouTuberとして人気を集めるルス・グアダルーペさん初の著書『 ラテンのフィルターを通した世界はいつでもポジティブ 社会不適合者の人生サバイブ術 』(KADOKAWA)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/ 最初 から読む)

◆◆◆

警察がまともに機能しないメキシコ

 メキシコの警察は、日本の警察ほど頼できる存在ではありません。犯罪を見逃す代わりに賄賂を要求してきたり、マフィアと繋がっている警察官がいたり……。はっきり言って、まともに機能しているとは思えません。

 結果、メキシコ人は犯罪者に遭遇すると、自分たちで罰をくだしがち。

 最近だと、とある村で子どもを殺した犯人が、村人たちにリンチの末殺された……という出来事がありました。

 メキシコの場合、犯罪をしても捕まらず逃げ切られてしまうことが多いので、その前に「自分たちで罰をくだそう」という考え方があるのかもと、感じます。

 私のInstagramのリールには、強盗がリンチを受けている動画がよく流れてきます。

 バスにマスクをした人が乗ってきて「財布を出せ!」と言うけれど、屈強なお客さんを中心にみんなで強盗を捕まえる。そこで止まれば良いものの、流れでボッコボコにしてしまい、挙句の果てにはバスから強盗を投げ捨てる……そんな動画です。

 日本だったら、強盗を捕まえるところまででお手柄だと思います。そこまでやって警察に突き出せば、法がきちんと裁いてくれるからです。

 でもメキシコの場合、捕まえた強盗は逮捕されたとしても、すぐに出てきてしまうことがあります。

 本来であれば言頼できるはずの警察や法律を、心から信頼できない。そんな現状に、国民がうんざりしているのでしょう。だから、自分たちで罰をくだすのです。

 日本の場合、犯罪者に対し、一般人が殴ったり蹴ったりすることはありません。犯罪者を裁くのは法律だし、むしろ犯罪者に対する暴力自体が場合によっては犯罪になる可能性もあります。

「犯罪者は法が裁くものだ!」と思っていたけれど…

 メキシコのような世界においては、悪いことをしても逃げ切れてしまう。

 私も当たり前のように、犯罪者は法が裁くものだ!と思っていました。しかし、胸糞悪い事件の犯人がまだ捕まっていない、ということを何度も聞くうちに、そんな綺麗事言ってられないのかな……自分の中の常識が揺らいでいくのを感じます。

 これはあくまで私個人の見解ですが、メキシコ人が自分たちで罰をくだすのには、「見せしめ」という側面もあるかもしれません。

 強盗をバスから投げ捨てるような動画がSNSで拡散されることで、実際に強盗をしようとしていた人の気が失せることもあるかもしれない。つまり、あのリンチがほかの犯罪の抑止力になっているのかも……。事実はわかりませんが、いろいろと考えさせられてしまいます。

 日本は、悪いことをしたら警察がちゃんと捕まえてくれます。そのうえ、法律がきちんと裁いてくれます。

 警察と法律が機能している。

 これだけで、日本は恵まれているのだと思うようになりました。

(ルス・グアダルーペ/Webオリジナル(外部転載))

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