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SNSで浴衣姿をアップしたら炎上、“着物警察”から「昼間から着るなんて!」と…長谷川普子(58)が明かす、10年ぶりの帰国で感じたこと

文春オンライン / 2024年12月14日 11時0分

SNSで浴衣姿をアップしたら炎上、“着物警察”から「昼間から着るなんて!」と…長谷川普子(58)が明かす、10年ぶりの帰国で感じたこと

インフルエンサーの長谷川普子さん

 海外生活を機に独学で着付けを学び、その魅力を発信するインフルエンサーの 長谷川普子さん 。

 “58歳女性”として体や心の変化についても綴り、プライベートでは4度の結婚を経験するなど、同年代の女性を中心に熱い注目を集める長谷川さんに、着物の魅力から現在のパートナーとの関係性まで話を聞いた。(全3回の1回目/ 続きを読む )

◆◆◆

パートナーに敬遠された着物

――今日はよろしくお願いします。先ほど思ったのですが、歩くのが早いですよね。

長谷川普子さん(以降、長谷川) 「着物だから歩くのが遅い」と言われるのが嫌だったので、サンダルでもブーツでも草履でも同じように歩けるようにしたいなと思って。まあ、鍛錬といいますか、慣れだと思います。

 夫も最初は、いろいろと制限がかかりそうだと思ったみたいで、私が着物を着るのを嫌がってましたね。

――パートナーが着物を嫌がったのは具体的にはどんな理由で?

長谷川 夫婦で海外生活をはじめた時に着物を着始めたんですけど、目立つのが嫌、というのがまずあったみたいです。日本ですら着物を着ている人はほとんど見かけない中、海外ならなおさら、というところで。

 あとはやっぱり、お手入れが大変だから行く場所が制限されるんじゃないか、というのもありました。移住先がタイだったんですけど、それで屋台とか市場に行けるの? みたいな。

――洗濯機に入れてグワングワン洗うわけにはいかないですよね。


長谷川 だから最初は、綿やポリエステルでできた洗える浴衣を着て、「汚れても平気だよ。家でも洗えるよ」という感じで、徐々にイメージをアップデートしていきました。

常夏のタイだから浴衣で過ごしたいと…

――海外生活を機に着物を着るようになったということですが、きっかけは?

長谷川 夫と結婚してからタイに移住することになった時、ふと、「タイは常夏だからずっと浴衣でいいのでは?」と思いついたんです。

 あと、トランク一つでどこでも動ける人になりたい、断捨離したい、という気持ちもあり、それまで持っていた洋服もほとんど処分して、浴衣10枚を詰めてタイに移住しました。

――もともと浴衣はよく着ていた?

長谷川 私は今58歳なんですけど、高校生の時に浴衣を縫う授業があって、その中で着付けまで習ったんですね。だから浴衣だけは自分で着られたので、大人になってからもビアガーデンとかネイルサロンとか、夏場にどこか遊びに行く時には、普通に浴衣を着てたんです。

――実際にタイで浴衣を着てみて、現地での反応はいかがでしたか。

長谷川 そもそも海外の方って、他人が何を着ていようとあんまり興味がないですよね。時々は「まあ、素敵!」とかっていうのはありましたけど、ひと盛り上がりしてすぐ終了、みたいな。なので、楽でしたよ。

 それでどんどん浴衣にハマっていったとき、SNSで大炎上を経験しまして。

SNSで浴衣姿をアップしたら、なぜ炎上?

――SNSで浴衣姿をアップしたら炎上した?

長谷川 Facebookの4万人くらいいる着物愛好家グループに、浴衣でタイの語学学校やネイルサロンに行っている写真をアップしたら、「昼間から浴衣で出歩くなんて!」と、大論争が巻き起こったんです。

――浴衣を着て昼間に歩いたらダメ?

長谷川 もともと浴衣は「湯帷子(ゆかたびら)」といって、御殿様なんかがお風呂に入る時に着て、その上から水浴びをするものだったんです。その後、お風呂上がりにバスローブみたく羽織るかたちで浴衣を着るようになっていくんですが、つまり浴衣は歴史上、日中出歩くような服ではなかった、ということなんですけども。

――とはいえ、現代では当たり前に昼間から着てますよね。

長谷川 私が日本にいる時だって、“浴衣でモエ・エ・シャンドン”みたいな催し物がいっぱいありましたし、もはや浴衣が街着になっている時代にもかかわらず、ネット上では「浴衣を昼間から着るなんて!(激怒)」になったんで、その乖離に驚きました。しかも、タイで昼間に浴衣を着た私の写真を炎上させていたのは日本在住の日本人で、なんかいろいろ遠いしなんだかなぁと思って(笑)。

 もう10年以上前のことですけど、それより前からこういう“着物警察”はいましたね。

収拾がつかなくなり、あえて浴衣から着物へ

――人の着物についてアレコレ指摘する“着物警察”ですね。ネット上だけでなく、街なかで着物警察に会ったこともありますか。

長谷川 タイに持っていた浴衣は吊るしで売っているプリントのお安いものだったんですけど、「プリントはねぇ」と、バンコクで日本人のおばさんに言われたことがあります。

――プリントはダメなんですか?

長谷川 いいんですよ、別に。プリント、かわいいじゃないですか。でもそのおばさんは、「染めのちゃんとしたのじゃないと」とかって言うんです。そりゃあ、染めのちゃんとしたものはいいですよ。でも、高価ですから。

「マイサイズでちゃんとお仕立てを」みたいに言ってくるおばさんもいましたし、日本だけじゃなく、世界のどこに行っても着物警察はいるんだなあと思いました。

――着物警察に接して、着物を着るのが面倒にならなかったですか。

長谷川 その炎上で、「足袋を履けば浴衣に見えないから足袋を履け」と言われたかと思えば、「浴衣には下駄だ。足袋を履くのは粋じゃない!」とか、もう収拾がつかなくなっていたので、私はそっとそこから離れて、「じゃあ、浴衣だけじゃなく着物も着てみよう」みたいな、すごい軽いノリで着物をはじめたんです。だから私の場合はむしろ、炎上によって着物に足を踏み入れたのかな(笑)。

洋服に満足できなくなっていった40代

――その後、独学で着付けを学び、今では着物のインフルエンサーになっています。着物のどういうところにハマりましたか。

長谷川 そもそもタイに行く直前の40代後半の頃から、それまで着ていた洋服がなんとなく似合わないなぁ、と思ってたんですね。

――着物を着る前はどんなファッションを?

長谷川 当時はロングヘアの巻き髪だったので、それに似合うような、フリルとかリボンが付いた、フェミニンな洋服を着ていました。でも、加齢で顔がくすんだりたるんだり、髪のボリュームも色つやもなくなってきたりして、若い頃に着ていたものをそのまま着ると違和感を感じていて。

 あと、女性って40代ぐらいまでは、母としての行事や勤めているお仕事の関係だったりで、他者を意識した装いをされるシーンが多いと思うんです。

――自分の着たい服というより、TPOに合わせたファッションが多くなる時期ですよね。

長谷川 そこから、子どもも成長して仕事での役割も変わる中で、ふと自分を見つめる時間が増えると、「あれっ、なんかちょっと違う」みたいな時期が訪れるような気がするんです。

 私の場合、その時期と海外移住とが重なって、着物にシフトしていった感じですね。さらに、移住先が南国だったからか、お洋服への購買欲がなくなったんですよ。

南国のおもてなし「強い冷房」には冬用の着物がちょうどいい

――Tシャツ短パンで過ごせちゃうところがありますよね。

長谷川 そうそう。もともとおしゃれも好きだったけど、ファッション欲が洋服だと満たせない環境というか。かといって、歳を重ねるにつれて汚くなるのも嫌だなというのもありました。

 着物にハマったのは、分からなかったことができるようになるのが面白かったからだと思います。浴衣しか着られなかった私が、帯がうまく結べた、着付けが上手にできた、という楽しさですよね。で、このコツをみんなに教えたいと思ってYouTubeを始めたんです。

――週1日だったのが2日、3日……と着物を着る頻度が増えていったような感じですか。

長谷川 そうです。最初は週1日を目標にして、それが週に2回着れたらいいな、みたいな感じで着る日がだんだんと増えていきました。

 タイでラジオのお仕事をさせてもらってたんですけど、ラジオブースはエアコンが15度設定で、車の中も15度とか、南国のおもてなしは強い冷房なんですね。そうすると浴衣一枚では寒いということもあり、車移動がメインの日は冬用の着物も着られるくらいでした。

 観光で外を歩くなら浴衣1枚持っていけば日焼け防止にもなるし汗も吸い取ってくれるので重宝しますが、長期滞在の場合は、冬用の着物があってもいいくらいですね。

靴擦れを起こしやすい人にとって草履は最高

――着物を着るようになると体が楽なのか、疲れるのか、どうですか? 

長谷川 私は楽になりました。といっても、洋服もストンと着ればいいだけのワンピースが好きなので洋服も楽なんですけど、着物の楽さで言うと、私は草履ですね。靴を一日中履くより、草履を履いていたほうが全然、楽。締め付けないし蒸れないし。

――草履だと足の形も問わないわけですよね。

長谷川 私、外反母趾なんですよ。どんな靴でも靴擦れを起こしてしまってたので、靴擦れを起こしやすい人にとって草履は最高です。

 あと、鼻緒が痛いイメージがあるかもしれませんが、浴衣の下駄と違って草履の場合は足袋を履きますから、擦れないです。鼻緒も、本来は足の指にがっつり入れて履くのではなく、挟むように履けば痛くないですし。

 ただ、今は更年期で暑くなりやすいから、そこは着物だと大変かな。

――すぐ脱げないから?

長谷川 そうそう。洋服は暑かったら脱げるけど、着物はそうはいかないので。

 帯の他にも伊達締めがあったり、私はおはしょりも作っているので、お腹周りが厚いんですよ。だから、逆に言えばお腹が冷えないですし、体幹が鍛えられている感じもあります。

――トイレはどうですか。和服だから和式のほうが楽ってことはありますか。

長谷川 いや、和式は大変ですよね。足腰の問題で、年をとったらやっぱり洋式が楽です。和服だから和式がいい、ってわけじゃないですね。

 トイレは、着物よりオールインワン(つなぎ)とかワイドパンツの方が大変だと思います。あれ、裾を何とかして下に付かないようにしてやらないといけないからヒヤヒヤするじゃないですか。着物の場合は1枚ずつめくっていくのがちょっと面倒、ってくらいです。

10年ぶりの帰国で感じた「日本という国」

――長谷川さんは今年10年ぶりに帰国されたそうですが、日本と海外で着物への反応に差がありますか。

長谷川 海外よりも日本の方が、人から見られますね。タイにいるときも、タイ人より、タイに住んでいる日本人が見てくるんです。上から下まで、「この人、何?」みたいな感じで。

 日本という国は、すごく他人に興味があるというか、文句を言いたくてしょうがない人たちが多いんだなって改めて思いました。

写真=石川啓次/文藝春秋

〈 「日本の女性は皆キレイにしてるけど…」「おばさんが水着を着ただけで炎上」着物インフルエンサー長谷川普子(58)が語る、日本の窮屈さ 〉へ続く

(小泉 なつみ)

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