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「科学部の一員になったような気持ちで」…感動の最終回を前にドラマ『宙わたる教室』の原作者×脚本家×監督が語った制作秘話!

文春オンライン / 2024年12月4日 6時0分

「科学部の一員になったような気持ちで」…感動の最終回を前にドラマ『宙わたる教室』の原作者×脚本家×監督が語った制作秘話!

左からNHKドラマ10『宙わたる教室』の脚本家の澤井香織さん、原作者の伊与原新さん、監督の吉川久岳さん

〈 「夜の教室から宇宙へ」…話題の秋ドラマ『宙わたる教室』の制作過程を原作者×脚本家×監督が明かす! 〉から続く

 伊与原新さんの青春科学小説を原作とした、 ドラマ10『宙わたる教室』 (NHK総合 毎週火曜夜22:00ほか)は、いよいよ第10話「消えない星」で最終回を迎える。ドラマの舞台となった定時制高校科学部の「部員のような気持ちで」本作と向き合い続けてきた、原作者の伊与原さん、脚本家の澤井香織さん、監督の吉川久岳さんが、改めて作品に込めた思いや最終回のみどころを語った。

(全2回の後編/前編は こちら から)

はるかに予想を超えてきたひとりひとりの登場人物

伊与原 僕は演劇というものに触れてこなかったので、脚本というのを今回初めてじっくり読んだんです。実際にドラマを観ていると、僕が想像したものとはまったく……セリフだけ読んでいたものが映像になってくると、キャラクターが生きて立ち上がってくる度合いが、僕の予想をはるかに超えていました。きっと澤井さんは演者さんのセリフの間とか、表情とか動きも含めて、完全に頭の中で再現しながら、脚本を書いているにちがいない。そうでなければこういうことになるはずはない、と思いながらいつも観ていたんですが、そんな感じでしょうか?

澤井 一応あるにはあるんですけど、そこに監督の解釈も入ったり、役者さんの解釈も入って、また違うものになるので、それが映像のすごく面白いところですね。脚本は全体の土台のようなものをお渡しする感じかなと思います。

伊与原 そうなんですか!? 完全にすべてイメージできているとしか思えませんでした。

澤井 スタッフや演者の方に、登場人物たちの気持ちの流れや動きなどが、なるべくイメージしやすいように書けたらとは考えています。

伊与原 小説のように地の文がないのに、脚本では感情を説明しなければならないなんて、超難しいでしょう(笑)。小説家とは全然違うすごさですね。

澤井 映像が自分が書いた通りになるかどうかは、普段からあんまり気にしないんですけれど、やっぱり今回は楽しかったというか、もう絵(映像)になった時点で、はるかに私の予想を超えていました。毎回の皆さんの演技は、その人を生きているようで。それが本当にすごいと感じました。

伊与原 いつも驚いてばかりなんですけど、藤竹先生を演じる窪田さんの表情とか、目の動きだけで多くを語る技術には本当に圧倒されて。お会いしたときの小林さんは普通に明るくて飾らない若者でしたけれど、あんなに憑依するというか、小林さんの演じる岳人の喋り方、めっちゃ好きなんですよ(笑)。伊東(蒼)さんも立っているだけで佳純で、早口で喋れないのに、いろんな科学用語を解説させられる難しい役だと思うんですけれど、その塩梅がすばらしい。

吉川 小林さんをはじめとして、科学部メンバーのお芝居が脚光を浴びていますが、それは藤竹先生演じる窪田さんの存在があってこそだと思っています。自分自身は決して前に出過ぎることなく、皆の芝居をしっかりと受け止めて活かしてくれている。それでも作品全体のトーンを決定づけているのはやはり藤竹なんですよね。何か、記号的なものではなく、全体の流れの中でこそ重大な意味を成してくるようなお芝居――そのカットだけを取り出しても意味が捉えづらいけど、文脈の中に置かれると、藤竹の感情や行動の意味が立ち上がってきて、自然と前のめりに見入ってしまう。

 藤竹はいいことももちろん言いますけれど、基本的にはにこにこ微笑みながら、科学部を見守ってくれている。こういう先生がいたら本当にいいですよね。藤竹のような“眼差し”は、本当はすごく大事なものだけど、現代に足りていないものなんだろうなぁと感じます。藤竹の眼差しに導かれて、科学部がどういうエンディングを迎えるのか、楽しみにしていただけたら! 

窪田正孝さん演じる定時制高校理科教師の藤竹 ⒸNHK

最終回では会場のエキストラの目にも涙が!?

澤井 ドラマ『宙わたる教室』はプロットの初期の段階では、藤竹の告白(第9話「恐竜少年の仮説」)があった後に、1回ドラマのオリジナル回を挟んで、最終話(「消えない星」)へという流れでした。けれど、脚本を作っていく過程で話し合いを重ねる中で、やはり藤竹を深掘りするためにも、科学部の勢いそのままに大会へ進むという流れに変更されたんです。

吉川 最終回の舞台となる、日本地球惑星科学会の場面は、実際の大会でセッションや研究発表が行われる会場よりも、一回り大きい1000人ほど入る会場で撮影しました。それはそれで大変だったんですけど、ちっちゃい教室の片隅で生まれた科学部が、広い世界に触れていくという意味でも、広いところで撮りたいと思って……。ポスター発表についても、一枚、一枚を美術さんががんばって作ってくれたんです。今回のスタッフのだれもが作品に対する愛情がめちゃくちゃ深くて、最後の最後まで粘り強かったことにも、ずいぶん助けられました。

 もともと2日間、撮影場所を押さえていて、エキストラさんも400人弱集まっていただいた大掛かりなものです。ただ、その人数の規模で撮影ができるのは1日目だけだった。それまではちゃんとシーン毎に埋めていくという撮影の仕方をしてきたんですが、翌日は50人ほどに減るので、とにかく1日目に広い絵と客席が映るカットを優先的に撮っていきました。

もう少しこの科学部のそばにいたい……

伊与原 エキストラの方の中には泣いてしまった方もいたそうですね。

吉川 はい、号泣していました。

伊与原 ネタバレになってしまうからあまり言えないんですが、岳人のスピーチの場面には、澤井さんが脚本で加えていただいた要素があります。あれが素晴らしくて、もう本当に今から楽しみにしているんです。

澤井 科学部にとっても、藤竹にとっても、ひとつのゴールというか、目指してきたものの集大成となるシーンになっていると思います。

吉川 岳人役の小林さんは、400人のエキストラさんを前に、最初は緊張からか「もう帰りたい」と言っていたんですが(笑)、本番ではビシッと決めてくれて、本当に素晴らしい芝居を見せてくれました。存分に期待していてください。

澤井 ドラマを観てくださっている方々は、きっと科学部の一員になったような気持ちで、応援してくれているんじゃないかと思うんです。何より私がそういう気持ちで書いてきたから、10話を書き終えるときには、ちょっと寂しいな、って。いつもは「早く脱稿したい!」ってなるんですけど(笑)、もう少し書いていたい、彼らの側にいたいなと思いました。

伊与原 僕も終わってしまったら……絶対、ロスになります。

澤井 藤竹の最初のイメージは、伊与原さんだったんです。ふだん人が見ていないところを見ていらっしゃるというか。それがすごくいいな、って。いや「いいな」っていうのも変なんですけれど(笑)。

伊与原 (藤竹先生に)近づけるように頑張ります(笑)。

INFORMATION

放送中:2024年10月8日(火)スタート〈全10回〉
総合テレビ 毎週火曜 夜10:00~10:45
BSP4K 毎週火曜 午後6:15~7:00
[再放送] 総合テレビ 毎週金曜 午前0:35~1:20 ※木曜深夜
配信中:Amazon Prime Video(最新話はNHK放送の翌週水曜午前0:00に公開)
原作:伊与原新 『宙わたる教室』
脚本:澤井香織
音楽:jizue
主題歌:Little Glee Monster「Break out of your bubble」

出演:窪田正孝  小林虎之介 伊東蒼 ガウ
田中哲司 木村文乃/中村蒼  イッセー尾形 ほか

(伊与原 新,澤井 香織,吉川 久岳/文藝出版局)

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