1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

〈写真多数〉直角にカーブ、内部にはナゾの分岐…? 千葉県・房総半島の山中で発見した“あまりにも異様な素掘りトンネル”を探訪してみた

文春オンライン / 2024年12月17日 6時0分

〈写真多数〉直角にカーブ、内部にはナゾの分岐…? 千葉県・房総半島の山中で発見した“あまりにも異様な素掘りトンネル”を探訪してみた

県道から左折すると、いきなりこのトンネルが現れる

 千葉県の房総半島を訪れた時のこと。探索仲間が「ダム湖の畔に変わった神社がある」と教えてくれた。何やら、断崖とダム湖の間に無理やり建てられたような神社だという。気になった私は、早速現地に向かった。

 地図アプリで調べると“八雲神社”として登録されている。目的地に設定し、ナビに従って車を進める。三島ダムに近づき、左折して狭い道に入ると、いきなり小さなトンネルが現れた。

 普通車でギリギリのサイズ感で、入り口には“この先行止りにつき通り抜け出来ません”と書かれた看板も設置されている。

車幅ギリギリのトンネルを進む

 しかし、目的地はこの先だ。慎重にトンネルに入ってゆく。トンネルの入口はコンクリートで補強されていたが、内部は掘ったままの素掘りの状態だ。

 一般の人なら進むのを躊躇するかもしれないが、私は道が好きで趣味として全国のトンネルを訪ねている。わくわくしながら、車幅ギリギリのトンネルを進む。

 ここで、あることに気づいた。このトンネルに見覚えがあった。以前に来たことがある場所だったのだ。前回、なぜここに来たのかは、この先に答えがある。

 狭いトンネルをゆっくり走っていくと、いきなり道が見えなくなった。トンネルが右に大きくカーブしているのだ。いや、カーブというような生やさしいものではなく、トンネルがほぼ直角に曲がっている。それも狭小な道幅しかなく、ゴツゴツとした素掘りのトンネルだ。

 この世にも珍しい直角に曲がるトンネルを10年ほど前に見に来たことがあった。

 意図せず再訪する形となったが、懐かしみながら進み、直角にカーブするトンネルを抜けた。目的の神社はこの先にあるというが、前回来た時に神社を見た記憶はない。いったいなぜだろう。

直角に曲がるトンネルの先にはすぐにまたトンネルが…

「本当にこの先に神社なんてあるのかな?」と思いながら走っていると、地図アプリのナビは「まもなく右方向です」と指示を出す。

 すると、すぐにまたトンネルが現れる。見た目のサイズ感は先ほどと同じだが、坑口も内部も掘ったままの素掘りの状態で、コンクリートなどで固められていない。

 1つ目のトンネルと同じで、100メートル足らずでトンネルを抜ける。その先もずっと一本道で、ナビのいう右方向へ分岐する道が見当たらない。

 おかしいなと思ってナビを確認すると、明らかに分岐地点を行き過ぎていた。

「え? 分岐なんてなかったよな?」

 疑問を抱きながらもUターンする。今度はナビの画面をこまめにチェックしながら、来た道を戻る。

 2つ目のトンネルの手前で、神社への分岐地点が近くなった。いや、この距離感は明らかにトンネルの内部で分岐している。しかし、トンネル内で道が分岐していれば目立つので、見落とすはずがない。

 どういうことだろうかと不思議に思いながら、再びトンネルに入る。トンネル内をゆっくり進んでいると、驚くべきことに分岐があった……! なかったはずの分岐路が、確かにあったのだ。

 といっても、分岐する道はとても小さく、車では絶対に入れない。人がギリギリ歩けるほどの大きさしかなかった。

 また、分岐はトンネルの中央付近にあるのだが、本線に対してやや斜めになっており、来た方向からは発見が非常に難しい。そのため、見落としてしまったのだ。そもそも車で行けると思っていたので、小さな分岐路は意表を突かれた格好だ。

 すぐにでも車から降りて神社に行きたかったが、道幅が狭く車を停められるようなスペースがない。

 1つ目のトンネルも抜けて広いスペースに車を置き、徒歩でトンネルに入る。分岐地点まで戻ってきたが、改めてその異様さが際立っている。

 現代においては、自動車が通行可能な掘ったままの素掘りトンネルというだけでも珍しい。地層がはっきりと見て取れる、惚れ惚れとする素掘りトンネルだ。その内部において、人が歩けるだけの小さなトンネルが分岐している。分岐する小さなトンネルもまた素掘りだ。

 私はこれまでに多くのトンネルを見てきたが、このトンネルはあまりにイレギュラーだ。内部で分岐するトンネルは全国にあるが、普通は同程度の大きさの道が分岐するし、そもそも素掘りではなくコンクリートで固められている。あまりにも異様な光景に、しばし見とれていた。

もう何もかもが異世界すぎる…

 神社に行くという当初の目的を思い出し、分岐する小さなトンネルのほうへと歩いていく。なんとか身長ほどの高さはあるが、頭を打たないように身を屈めて進む。トンネルは緩やかな下り坂になっていて、出口付近は階段になっていた。

 外に出ると、そこには断崖絶壁にへばり付くようにしてお社が建立されていた。トンネルも凄いが、お社も凄い。もう何もかもが異世界すぎる……。

 異空間に迷い込んでしまったかのような不思議な感覚に陥りながらも、お社に参拝する。

 断崖絶壁の僅かなスペースを、おそらく岩を切り広げて拡張し、お社を建てたのだろう。後方は屋根の上にまで岩がせり出し、まるで建物が岩にめり込んでいるかのようだ。前方はというと、崖下にダム湖が広がっている。

 地図アプリでは八雲神社と表記されていたが、現地に神社名を示すものは何もなかった。神社というには、とても簡素な気もする。

 参拝を終えて帰路についたが、あまりにも気になる場所だった。岐阜の自宅に帰ってからも色々と調べたが、情報は少なかった。そこで、神社がある君津市役所に問い合わせてみた。

 君津市役所によると、内部で分岐するトンネルの正式名称は“梅ノ木台2号隧道”、その手前にあった直角カーブのトンネルは“梅ノ木台1号隧道”という。君津市が管理している市道にあたるが、台帳に記載がなく、来歴や完成年も分からないとのことだった。

 そこで、地元の方に話を聞いてみると……。

〈 「房総半島の人はトンネルを造るのが得意でしょ」現地を訪ねてわかった…千葉県に“世にも奇妙なトンネル”がつくられた“意外な歴史” 〉へ続く

(鹿取 茂雄)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください