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「ふてほど」でも「50-50」でもない…11月頭に発表された流行語大賞の後に生まれた「2024年の本当の流行語大賞」とは?

文春オンライン / 2024年12月10日 6時0分

「ふてほど」でも「50-50」でもない…11月頭に発表された流行語大賞の後に生まれた「2024年の本当の流行語大賞」とは?

立花孝志氏 ©時事通信社 

 12月2日に発表された今年の「新語・流行語大賞」で、「ふてほど」が選ばれた。しかし、いつも不思議に思うことがある。ノミネートされた言葉は11月の頭に発表されるからだ。これだと1年は10月末までということになる。11月以降にインパクトがある言葉が出てきたらどうするのだ。
 
 たとえば今年は11月に兵庫県知事選があった。アレは流行語の宝庫だった。斎藤元彦氏が再選したのはSNSの勝利でありオールドメディアの敗北と言う声があった。そう、「オールドメディア」は今年の流行語大賞とも言ってもよいのではないか。それほど流通していたし、あらためてその意味を考えたい言葉だった。

 斎藤氏を支持した人たちからすればテレビや新聞はさんざん斎藤氏側にネガティブな報道をしていたが、「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首をはじめとするSNSやネット情報のおかげで「真実」を知ることができた。だから「オールドメディアの敗北」なのだろう。
 
 一方で斎藤氏の一連の疑惑を注視していた人たちからすれば、選挙期間に新聞やテレビが中立・公平を自称しているときにSNSで真偽不明の言説が自由に飛び交った。その状態に「既存メディアはこれでいいのか」と疑問に思った人も多いだろう。つまりどの立場からもメディアは疑問を持たれていたのだ。

それならもっと早く言ってよ!

 しかもメディアは選挙の翌日から饒舌になった。読売と朝日の社説を並べてみよう。
 
『兵庫県知事選 真偽不明の情報が拡散した』(読売新聞11月19日)
『選挙と立花氏 言動を看過できない』(朝日新聞11月23日)
 
 それならもっと早く言ってよ! と思ったのは私だけだろうか。毎日新聞も社説で、《見逃せないのは、今回の知事選で多数の偽情報が出回ったことだ。発信力の強い「インフルエンサー」らが「パワハラ疑惑はでっち上げ」など事実でない情報を拡散した。接戦となった他候補の評判を落とす偽情報も流布された。》(11月19日)。
 
 せめて偽情報が出回っていることを報道することはできないのだろうか? そうした意味で私もオールドメディアにはかなり不満だったのである。

 しかし「オールド」には伝統や歴史も感じる。取材をして裏付けをとる訓練を長年している組織はまだ利用できる価値があるはずだ。ネットに対して腰が引けてる場合なのだろうか。功罪含めて「オールドメディア」は今を考える重要な言葉なのだと思う。

前言を翻す立花氏

 ちなみに「オールドメディア」という言葉の火付け役とも言える立花氏は12月12日の「週刊文春」で「なぜ斎藤氏を応援したのか」という記者の質問に対して、「当然、最初は斎藤さんを応援するってところから入らないと注目を浴びられないから」と答えている。
 
 さらに立花氏は自死した元県民局長が「不同意性交等罪が発覚することを恐れての自殺」などと選挙ポスターなどを通じて主張していたが、「同意であると確認できた」とあっさり前言を翻している。選挙戦で何が言いっぱなしになったのか、テレビや新聞でも検証が必要ではないだろうか。
 
 兵庫県知事選から生まれた「流行語」としてもう1つ挙げておきたい。「#さいとう元知事がんばれ」である。

「流行」は誰かによって仕掛けられるものもある

 兵庫県のPR会社社長はこのハッシュタグの発信は自分が仕掛けたとnoteで告白した。SNSの勝利ではなく、SNSを仕掛けた自分の勝利という意味なのだろう。「流行」は誰かによって仕掛けられるものもある、という教訓も含めて今年の流行語にふさわしい。
 
 ではPR会社社長による投稿について斎藤知事の代理人を務める弁護士はどう説明したか? 「盛っている部分もある」と話した。そういえば斎藤知事はパワハラ疑惑などを内部告発した元県民局長については「嘘八百」と断言した。まったく別の案件なのに斎藤氏側はいつも似たようなリアクションをせざるを得ない展開になるのが興味深い。「嘘八百」「盛っている」も今年の要注目ワードだ。
 
 さてここからは自分の足で稼いだ流行語について報告したい。流行と言っても全国一律ではなく、ある地域のみで盛り上がる言葉もあった。10月末におこなわれた衆院選で見つけた。

 私は衆院選では萩生田光一氏の選挙戦に注目し、公示日から八王子に何度も入った。裏金と旧統一教会という、ここ数年の問題のどちらにも顔を出した萩生田氏。土壇場で自民党からの公認を受けられなかった萩生田氏はどんな選挙戦をするのか現場を見ておきたかった。

空前の「土」ブーム

 注目の演説では自分を批判する相手候補を批判していた。「すべて最初から最後まで私への批判、この街に対しての政策は1ミリもない」と。決め言葉は「私は八王子の土になります!」であった。

 すると同じことを叫んでいた人もいた。ジャーナリストの鈴木エイト氏が教えてくれたのだが、和歌山2区に出馬していた二階俊博氏の三男も「和歌山の土になります」と演説していたという。空前の「土になりますブーム」である。今年の10月に局地的に流行していた。

 実はこれには“元ネタ”がある。昭和最後の首相でもあった竹下登氏である。竹下氏が1958年5月の衆院選に初めて立候補したときの第一声が、「島根に生まれ、島根に育ち、やがて島根の土となる」だったのだ。現在は故郷の竹下像の台座にこの言葉が掲げられている。おそらく萩生田氏も二階氏も“自民党レジェンド”の言葉を拝借したのだろうが、故郷を最大のアピールにするしかないほど追い詰められていた選挙戦ということもうかがえたのである。

 以上、10月末からも流行語がたくさんあったというご報告でした。

(プチ鹿島)

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