「お母さん。私、膝がどこにあるのか分からない」レイプ男から逃げようとしてマンションから転落→下半身不随に…24歳女性を“車椅子生活”にした犯人男「驚愕のその後」(2017年の事件)
文春オンライン / 2024年12月14日 17時0分
24歳女性を一生、車椅子生活にした犯人男にくだされた罰は? 写真はイメージ ©AFLO
〈 嫌がる女性にキスをしながら服の中に手を入れて…24歳女性をレイプ未遂→大ケガをさせて“もう二度と歩けないカラダ”にした「悪魔の正体」(2017年の事件) 〉から続く
レイプ魔から逃げようとした結果、膝から下は何も感じない、動かすことも、体温調節も、排泄も一人でできない…2017年、レイプ事件に巻き込まれて大きな障害を抱えてしまったA子さん(当時24歳)。彼女を車椅子生活にした犯人の男はその後、どうなったのか? 裁判所が下した罰は? 事件の結末をお届けする。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/ 最初 から読む)
◆◆◆
レイプ男から逃げようとしてマンションから落下…
「人を騙したりすれば、必ずその報いを受けると分かっていて、オレをペテンにかけようとしたんだな?」
何を考えているのか分からないような目つきも不気味だし、片手をポケットに入れている仕草も威圧的で、垣内は居酒屋にいたときとは別人のようだった。A子さんは半ズボンを膝まで脱がされたが、必死でお尻を床につけて抵抗した。少しでも腰を上げたら、全部脱がされそうだったからだ。
「いいじゃん、しようよ。そうやって必死にこらえている顔がまた、たまらないんだよ」
必死に抵抗を試みるA子さんの苦悶の表情さえ、垣内にとっては欲情を煽るスパイスになっているらしい。「このままじゃレイプされてしまう…」と焦った。
「ああもう、いい加減にせんと怒るぞ!」
A子さんは垣内が自分の服を脱ごうとした瞬間に、ベランダに向かって駆け出した。垣内はすぐに追いかけてきたので、携帯を取り出して110番しようと思った。だが、携帯がない。さっきカギを取り出したときに落としたのかもしれない。慌てたA子さんは隣の住人に助けを求めようと、サンダル履きのまま、ベランダの壁によじ登り、仕切り板に腕を回して体を反転させようとした。そのときだ。足を滑らせて落下してしまったのだ。
それから先の記憶はない。次に気が付いたときは病院のベッドの上で、そばには目を赤く泣き腫らした母親の姿があった。A子さんの体には何本ものチューブが取り付けられ、医療器具が作動していた。A子さんは頸椎骨折の重傷を負っていたのだ。
「お母さん。私、膝がどこにあるのか分からない。ちょっと触ってみて…」
母親が触っても、何も感覚がないことから、下半身が麻痺していることが分かった。胸から下は何の痛みも感じない。体温調節もできない。動かすこともできない。排泄も一人ではできないし、食事のときは専用の器具を使わなければならなくなってしまった。今後の回復の見込みもなく、一生車椅子で過ごすことを余儀なくされてしまったのだ。
一方、垣内はA子さんを助けるどころか、事件後は実家に逃走。訪ねてきた警察官に対しても犯行を否認し、「被害者にセックスを迫ったら怒り出し、勝手に玄関から出て行った。実家に帰るとき、被害者が倒れているのは見たが、通報したら自分が犯人にされてしまうと思ったので、関わらないようにした」などと供述した。
「事件は記憶にない」と無罪を主張する男
警察は垣内を強制性交等致傷容疑で逮捕した。さらに被害者を救護する義務があるのに放置したという保護責任者遺棄容疑でも再逮捕した。だが、垣内は「被害者を無理やりセックスしようとしたことはない。事件は記憶にない」と無罪を主張した。
それを裏付けるかのように、垣内の部屋の真上に当たる3階の空き室から、A子さんの携帯電話やカギ、化粧品などが見つかった。A子さんは「犯人の部屋が2階だったか、3階だったかは覚えていない。でも、部屋はガラーンとした感じじゃなくて、人が生活しているような空間だった」と説明した。当時、その部屋はダイヤル式の南京錠で施錠されていた。だが、垣内は「これこそが冤罪の証拠だ。被害者は3階から落ちた」と主張した。
「被害者は大ウソつきだと思います。私は3階など行ったこともないし、被害者を強引に押し倒したりもしていない。事件には一切関わっていないのだから、私は何も知りません。警察には『アンタしか犯人はいないんだよ』と言われ、とてもムカついています」
情状証人として出廷したA子さんの母親は「娘から事件のことは聞けていません。看病しているだけでもショックなのに、私が事件の内容を詳しく知ってしまったら、復讐を考えるほど憎むと思います」と述べた。
男に言い渡された罰は…
裁判所は「3階から被害者の所持品が見つかった経緯は不明」としながらも、「被告人は執拗に暴行や脅迫をして性交しようとしており、被害者が両脚や両腕の麻痺などの後遺症を負った結果も重大。犯行時の経緯の説明や女性のケガの状況などから、被告人の主張は具体性に乏しく不自然であり、被告人には反省の態度もうかがわれない」として、懲役10年を言い渡した。
まれにみる凶悪な性犯罪であるにも関わらず、この量刑は軽すぎるのではないか。垣内は自分の言い訳に限界を感じたのか、控訴することなく服役した。
(諸岡 宏樹)
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