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安倍派五人衆・西村康稔が明かした「キックバック継続を泣きついてきた議員」とは誰か?《裏金問題の核心》

文春オンライン / 2024年12月11日 11時0分

安倍派五人衆・西村康稔が明かした「キックバック継続を泣きついてきた議員」とは誰か?《裏金問題の核心》

「記憶が曖昧で」と言葉を濁した西村康稔氏 Ⓒ時事通信社

衆院選で自民党大敗の原因となった「裏金問題」。一度は廃止が決まったはずのパーティー券売上の「キックバック」はなぜ継続されたのか。ノンフィクション作家の森功氏が、その核心に迫る。

◆◆◆

手招きで呼ばれて廊下に出ると……

 東京・永田町にある自民党本部で2024年2月1日、安倍派(清和政策研究会)最後の総会が開かれた。

「安倍元総理の遺志を継いで政策実現に向けて運営してきましたが、このような事態になり、誠に残念無念です」

 およそ70人の参加者に頭を下げる座長の塩谷立に対し、派閥の所属議員から責任論が噴出した。そこで手を挙げたのが、稲田朋美だ。

「塩谷さんは会長ではなかったでしょう。誰がこれを復活させたか。それが問題なんだから、そこを明らかにすべきなんじゃないですか」

 稲田の言う問題が、安倍派の政治資金パーティで収支報告書に不記載となってきた裏金システムを指すのは、参加議員の誰もがわかっている。派閥会長の安倍晋三はいったんキックバックの廃止を指示していたが、2022年7月に暗殺された。安倍派はそのひと月後の8月、裏金システムを継続するよう決めたとされる。予想通り、安倍派最後の総会は紛糾した。総会では、参議院議員の西田昌司も稲田に同調した。

「私らは何がどうなっているのかわからへんのです。そこをはっきりさせんことには、どないもこないもならんでしょう」

 安倍派議員たちは会長代理から座長に就いた塩谷、元会長代理の下村博文、そして五人衆と呼ばれる幹部たちに批判の矛先を向けた。西田は責任追及の急先鋒の一人だ。発言した後、ふと五人衆の方を見ると、意味ありげな様子で西村康稔が西田に手招きをしている。そのまま廊下に出ると、西村が声を潜め、西田の耳元で囁いた。

「あれはある議員に泣きつかれてやむなくやったことなんで、何とかご理解を」

西村の囁いた「泣きついた議員」とは誰か?

 一度はやめようとした裏金のキックバックを、なぜ続けたのか。自民党の政治とカネ問題における最大の焦点がそこだ。しかし、2023年11月の問題発覚以来、検察の捜査を経てなお、それが明らかになっていない。政治不信を払拭できないのはそのためである。今になって首相の石破茂は政治倫理審査会(政倫審)の開催を示唆し、20人以上の参院議員が出席の意向を示している。西村の囁いた「泣きついた議員」とは誰か。そこで何が起きたのか。

「安倍派」当選率はわずか4割

 今度の第50回衆院選挙は、自民党政治の終焉を象徴するような出来事だった。新首相に就いた石破が早々に衆院を解散し、10月27日の総選挙に踏み切った。だが、自公は過半数割れし、いまや政権運営に四苦八苦している始末だ。政治とカネ問題が与党大敗の要因なのは言うまでもない。

 少数与党に転落した自民の中でも、最大派閥だった安倍派は、最も大きな痛手を負った。先の衆院選で安倍派は50人が立候補して当選できたのはわずか22人、当選率にすると、4割を少し超えたに過ぎない。惨憺たる有様である。つい1年前まで隆盛を誇ってきた最大派閥は崩壊し、45年続いた歴史の幕を閉じる。

 そんな安倍派議員の多くには、会長の安倍亡き後、派閥を率いてきた幹部に対する不満が燻っている。裏金問題の解明がなされないまま、衆院の解散総選挙に突入し、惨敗した。落選議員たちはもとより当選組も、釈然としていない。何が何だかわからないまま選挙を闘わされたという恨みに近い意識が強い。

◆本記事の全文は「文藝春秋」2025年1月号と「文藝春秋 電子版」に掲載されています(森功「 重大証言 安倍派を壊した男たち 」)。この記事の 全文 (約1万1000字)では、下記の内容をお読みいただけます。

・「もうアカン」半ばあきらめた衆院選

・総裁選で分断は深まった自民党

・「集団指導体制はよくなかった」

・世耕が振り返る8月5日会合

・検察に提出したメッセージ

・「世耕から電話はなかった」

・西田は岸田前首相に直訴した

・訴訟を取り下げた下村博文

・真相解明は同志への弔い

(森 功/文藝春秋 2025年1月号)

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