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夜9時には就寝、風呂は週に数回…「軍隊みたいな生活に馴染めるわけがない」中学生でグレて逮捕された過去を持つアレン様が語る“少年院での日々”

文春オンライン / 2024年12月19日 17時0分

夜9時には就寝、風呂は週に数回…「軍隊みたいな生活に馴染めるわけがない」中学生でグレて逮捕された過去を持つアレン様が語る“少年院での日々”

アレン様 『全てアレン様が正しいでございます』より

〈 「出会い系で男呼んで、ホテルでシャワーを浴びてる間に金抜いて逃げることも…」アレン様が明かす、グレて“やりたい放題”だった中学生時代のこと 〉から続く

「生きる幻」として知られ、SNSを中心に人気の大物マダムタレント・アレンさん。10月末に刊行された『 全てアレン様が正しいでございます 』(通称「全ア本」/玄光社)には、今まで明かされなかった過去や想いが綴られており、大きな反響を呼んでいる。

 中学時代に突然始まったいじめに対し、「見返したい、怖がらせたい」という気持ちがどんどん強くなり「グレた」というアレンさん。「やりたい放題」していたある日、玄関のベルが鳴り、ついに逮捕されてしまう――。

 ここでは「全ア本」より一部を抜粋して、少年院でのアレンさんの体験や生活について紹介する。(全3回の3回目/ 最初から読む )

◆◆◆

逮捕の朝

 前日の夜に「もうこういうことはやめよう」って日記に書いたのに……。朝6時くらいだったかしら、親が部屋に来て、「警察来てるよ」って言ったの。その時ヮタクシは直感的に「あ、これ多分家に帰れない」と思ったわ。本当にその通りで、その日を最後に2年半も家に帰れなかったの。

 警察が親の前で訴状を読み上げるのよね。◯月◯日に何をやったかを逐一確認して、親もびっくりよ。親には当然、「これから逮捕しに行きますね」なんて通知とかないからね。ほら、親が子ども可愛さに逃がしたり匿ったりする可能性もあるから。警察はヮタクシがこの時間になら家にいるっていうのも調べているのよ。本当に恐ろしいわ。

 逮捕されて留置所に行って、拘置所に行って、少年鑑別所に入って、1ヶ月で処分が決定して、少年院に約2年間いたわ。超ざっくりと説明するとこんな感じ。鑑別所には1ヶ月しかいられないみたいで、その間に鑑別されて、この子は少年院に送致すべきかどうかっていう判断が家庭裁判所で決まるの。

 その時、本当に偶然なんだけど、鑑別所で当時仲良かった親友に会えたの。同じタイミングでその子も逮捕されてたんだけど、「え、やだ! こんなところで会えるなんて!」ってなるじゃない。なぜだか逮捕された悲しみより喜びが勝ったわ。

 だから友達と一緒に運動の時間とかコソコソ喋ったり、小さい窓からちょっと目線で合図したり、そんな感じで過ごしていたの。

四国少年院へ

 鑑別所では危機感なんてまるでなくて、自由はないけど暇だな、なんて思ってたの。教官の人も少年院ほどきつくなかったし。でもある日家庭裁判所に連れて行かれて、親とか学校の先生も来ている中、「四国少年院へ」って言われて、「え…。ウソでしょ。帰れないんだ…」って絶望って感じで大泣きしたわ。ちなみに親友は自宅へ帰されていたわね。その後すぐ車でお迎えが来て、速攻で少年院へ。着いた瞬間に髪は坊主にされるの。その時、13歳か14歳になったぐらいだったわ。

 だから本当に激動って言葉が合ってるわよね。中学に入っていじめられて、グレて捕まって少年院で2年間、自分と向き合わされる。もう嫌でも大人になるしかないのよ。

 ヮタクシが少年院の中でどんな生活を送っていたたのかも、手短にお話するわね。

 少年院には単独寮っていう、独房みたいなところと、集団で生活して自律した行動を学んでいく集団寮っていうのがあるの。ヮタクシは四国少年院に入ったんだけど、最初の10日間くらいは単独寮で過ごすのよ。0.5畳くらいしかない、本当に狭い部屋に閉じ込められて、トイレも丸見えの状況でひたすら内省させられるの。内省っていうのは、反省文を書いたり、自分の幼少期からのことや親への気持ちを思い返したり、被害者への思いを紙に綴ったりするの。ヮタクシの時は運動すらさせてもらえなかったから、ラジオ体操を部屋の中でするだけだったわ。

外の世界への憧れ

 そのあと集団寮に移動になるんだけど、教官たちが、いくつかある寮のうちどこの寮に入れるかを決めるの。ヮタクシは希望(のぞみ)寮っていうところに配属が決まって、担当がT先生という方だったわ。

 1つの寮にはだいたい20数人くらいいるんだけど、居室(きょしつ)っていう部屋が7部屋か8部屋ぐらいあって、1つの部屋には4人まで入れたの。単独寮から移ったからって大幅に環境が良くなるわけじゃなくて、部屋もそんなに大きくない中で、普通の布団を敷き詰め合って寝るのよ。

 少年院に入って一番最初に実感するのは、ふと窓に目を向けた時にある、鉄格子から見た外の世界への憧れだったの。「早く出たい、出たらこれやりたい」っていうことばかり考えてたかな。例えば運動場に出た時も、そこからうっすらと外のレストランとかが見えると、「あのご飯が食べたいな、外に行きたいな」とか考えちゃうんだけど、だんだん少年院の中での暮らしが長くなってくるとそうもいかなくなってくるの。どちらかといえば、やらなきゃいけないことや、書かなきゃいけない作文とか、毎日やることに追われていて、外の世界のことを考える暇もなくなってきたわ。

軍隊のような日々

 ヮタクシの判決の期間は11ヶ月半だったんだけど、最長2年間まで収容期間があるの。ヮタクシのようなオカマっぽい子がそんな軍隊みたいな生活に馴染めるわけがないと思ってたけど、人って適応能力があるから不思議ね。

 独房の時は朝7時に起床してからずっと内省と読書、運動はラジオ体操だけで、ノイローゼになりそうだったわ。でも、集団寮になると朝7時に起床して、点呼、朝食、授業、午後の行事や作業。夕方に帰ってきて夕食後は作文や読書、夜の8時から1時間だけテレビ視聴が認められて、9時5分には就寝。お風呂は夏は週3回、冬は週2回、運動の時間がある日はシャワーが特別に許可されるけど、時間が短くて大変だったわ。

 そんな毎日を過ごしていたら、余計なことを考える余裕なんてなかったのよ。だって、夜9時に寝て朝7時に起きるんだけど、そうなると10時間寝ているわけじゃない? 普通なら寝すぎって思うでしょ。でも毎日かなり気も張ってるし、自由がなくてギチギチのスケジュールって結構疲れるものなのよ。だって歩く時も「こう」、止まる時も「こう」っていう絶対的なルールがあるから、何一つ自由な動きはできないし。だから毎日張り詰めて行動している分、夜もすぐ寝ちゃってたわ。

慌ただしく過ぎる毎日

 寮にいる間は当然だけど、自由がないじゃない? だから自分の心の変化の実感も正直ないのよね。1日のスケジュールが細かく割り決められているから、日々の作業をこなすので精一杯だったの。唯一、作文の時間に自分をゆっくり見つめ直すとか、幼少期からの自分を振り返るっていう時間があるんだけど、毎日いろいろなことをこなしているから、どうしても流れ作業のようになってしまった時もあったわ。

 そうやって、少年院の中のみんなは必然的に生活リズムが勝手に変わっていくの。どれだけ不良してて、どれだけ生活リズムが狂ってたとしても、1ヶ月ぐらいで元に戻るし、栄養があるものをいっぱい食べるから、体も健康的に回復していく。体が変わるにつれて、人格もニュートラルに戻っていく感じがしたわ。

 規則正しい生活の中で、「これが普通なんだ」とか、「やっちゃダメって分かってて、なんでやっちゃったんだろう」とか考えるから、1年ぐらい経つ頃には、ある程度の常識が身についていて、気がついたら自分が変わってる実感があったの。

(アレン/Webオリジナル(外部転載))

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