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仕事のミスで落ち込む年下の彼女に良いアドバイスをしたのに…「なんで不機嫌に?」企業コンサルタント・20代男性のギモン

文春オンライン / 2025年1月3日 11時0分

仕事のミスで落ち込む年下の彼女に良いアドバイスをしたのに…「なんで不機嫌に?」企業コンサルタント・20代男性のギモン

写真はイメージ ©︎Paylessimages_イメージマート

〈 「いつも5分遅れてしまう」仕事だけでなく、友達とのランチや美容院の予約にも…30代会社員女性「なんでこうなるの?」 〉から続く

 やらなければいけないことを先延ばしにしてしまった。大事な手続きや持ち物を忘れてしまった。そんな失敗を繰り返して「私はだらしない人間だ」「情けない」「恥ずかしい」とがっかりしてしまうことはありませんか?

 ここでは、普段からADHD(注意欠如多動症)の大人にカウンセリングを提供し、自身もADHD特性のある臨床心理士・中島美鈴さんが、実際に担当されたケースをいろいろ混ぜた架空の人物の「お困りごと」を解決する 『仕事も人生も、これでうまく回る!不器用解決事典』 (朝日新聞出版)より一部を抜粋。

「仕事のミスで落ち込む彼女にアドバイスしたら、なぜか不機嫌にさせてしまった」という20代企業コンサルタント男性のお悩みと、中島先生が提案する対処法を紹介します。(全4回の2回目/ 続きを読む )

◆◆◆

ユウキさん(20代、企業コンサルタント)のぼやき

 僕には年下の恋人がいるのですが、彼女のために何かしてあげたいといつも考えています。たとえば、仕事のミスで落ち込んでいる様子を見ると、少しでも力になってあげたくなるんです。

 だから、どんなふうにミスが起きたのか状況を聞き出して「取引先に予算と納期についてはっきり確認しておかないからミスが生じたんじゃないかな。次からは気をつけた方がいいよ」と優しく助言しました。

 すると彼女は「そんなの私だって知ってるよ」と不機嫌になったのです。せっかく聞いてあげたのに、彼女の態度にはがっかり。面白くありません。

 今回だけじゃなくて、せっかくいいアドバイスをしたのに、彼女が不機嫌になることがよくあって、何がいけないんだろう……。

なんで、こうなるの?

 相手に何か助言をしたくなる背景には「すべき思考」と呼ばれる認知の歪みがある場合が多いです。これは、「~して当たり前だ」「普通~するべきだ」という私たちが自分自身や相手に対して求めている基準のような思考を指します。

 ユウキさんは、相手を思いやって仕事でミスが生じた状況を丁寧に聞き出し、次に同じ失敗を繰り返さないための助言をしましたが、そのアプローチが相手の気持ちに寄り添っていませんでした。

 彼女としては、ミスをして上司に𠮟られたつらかった気持ちをもっと聞いてほしかったのです。しかし、ユウキさんは、相手の気持ちを理解しようとせず、自分の意見を押し付けてしまっていました。「~してあげたい」という表現にもそれが表れています。

 まとめると、ユウキさんは相手の気持ちを聞いた上で共感しようとすることができていないのです。このようなやりとりを繰り返していては、この恋愛は続かないかもしれません。

すべき思考から脱却して相手がしてほしいことに焦点を当てよう!

 認知行動療法では、認知(考え方、捉え方)と感情の関係に注目しながら、認知の歪みがあればそれを自己理解し、ほぐしながら認知を柔軟なものへと変容させます。このことで、コミュニケーションのバリエーションが増えて、流暢になるのです。

 この手法をベースにして、まず、すべき思考を「~した方がいい」と言い換えることで、他にもいろんなやり方があるとモノの見方の幅を広げます。たとえば、「ミスをなくすべき」と感じるとプレッシャーがかかりますが、「ミスをなくしたほうがいい」と言い換えることで、相手の負担が軽減されます。

 さらに、恋人が本当は何を求めているのかを確認することが重要です。助言をする前に、相手の気持ちを十分に聞き、「それはつらかったね」「悔しかったね」「ミスなんてしたくてしてるわけじゃないのにね」などと共感の態度を示すことで、相手に寄り添ったサポートができるようになります。

 ユウキさんもこの方法で恋人と向き合ってみました。すると恋人は、「私ね、解決のアドバイスがほしいんじゃなくて、ユウキに大丈夫だよって言ってほしかっただけだったのよ」と言いました。

 ユウキさんは自分にすべき思考を浴びせ、いつもがんばることで目標を達成してきました。それでついつい恋人にもすべき思考を押し付けてしまっていたことを詫びました。恋人はユウキさんの素直な姿勢に安心感を得られたようです。

〈 「なぜ、僕には親友がいないんだろう?」インフルエンサーと繋がって人脈を広げたいのに…10代男子学生の“純粋な悩み” 〉へ続く

(中島 美鈴/Webオリジナル(外部転載))

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