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「なぜ、僕には親友がいないんだろう?」インフルエンサーと繋がって人脈を広げたいのに…10代男子学生の“純粋な悩み”

文春オンライン / 2025年1月3日 11時0分

「なぜ、僕には親友がいないんだろう?」インフルエンサーと繋がって人脈を広げたいのに…10代男子学生の“純粋な悩み”

画像はイメージ ©AFLO

〈 仕事のミスで落ち込む年下の彼女に良いアドバイスをしたのに…「なんで不機嫌に?」企業コンサルタント・20代男性のギモン 〉から続く

 やらなければいけないことを先延ばしにしてしまった。大事な手続きや持ち物を忘れてしまった。そんな失敗を繰り返して「私はだらしない人間だ」「情けない」「恥ずかしい」とがっかりしてしまうことはありませんか?

 ここでは、普段からADHD(注意欠如多動症)の大人にカウンセリングを提供し、自身もADHD特性のある臨床心理士・中島美鈴さんが、実際に担当されたケースをいろいろ混ぜた架空の人物の「お困りごと」を解決する 『仕事も人生も、これでうまく回る!不器用解決事典』 (朝日新聞出版)より一部を抜粋。

「なぜ、僕には親友がいないんだろう……」と悩んでいる10代男子学生に対して、中島先生が提案する解決法を紹介します。(全4回の3回目/ 続きを読む )

◆◆◆

アユムさん(10代学生、テレビ局アルバイト)のぼやき

 自分にはこれといって特技も強みもないし、トークも冴えないので、魅力的な人と親友になって、その人からいろいろ吸収したいんです。

 素晴らしいインフルエンサーと繫がれば、その人からいいものを学べるはずですし、その人から広がる人脈も大事にしたいです。

なんで、こうなるの?

 一般的に人間関係は、アサーティブな関係ほど続くと言われています。アサーティブな関係とは、相手と自分のどちらも尊重した、平等で率直な関係を指します。どちらかが一方を搾取したり支配したりするような関係ではなく、自己犠牲の上で成り立つ関係でもない点が特徴です。そうした関係が続けば、親友にまで仲を深めていくことができる可能性は上がるでしょう。

 アユムさんは、友達関係において他人から得ることばかりを考えています。それは自分の魅力に自信がないから、吸収したいと思っているだけなのですが、他人に求めてばかりで自分から何かを与えることが少ないのでは、相手と平等な関係とはいえません。

 アユムさんが希望するインフルエンサーが目の前に現れたとして、アユムさんは本当に対等な関係を築くことができるでしょうか?

 これでは、片方に負担がかかり、友人としてはいびつな関係ですし、双方にとって心地よいものではなく、続いていく可能性は低いでしょう。

 一方であまりにgive and takeの考えにばかりとらわれるのも、なんだか違う感じがします。こうした感情にとらわれすぎると「自分から与えてばかりで損したくない!」「自分が相手にしてやった分は返してほしい!」といった恩着せがましい関係になりがちということです。

 アユムさんには、目の前の人にもっと何か与えられることのある魅力的な人になってほしいですし、見返りを求めてgiveしようという動機ではなく、本当に相手を大切にしたいという思いで友達を作ってほしいものです。

親友を目指すなら対等な関係が必須。まずは“与える”ことに焦点を当てよう

 アユムさんには他者に対して与えたいという優しい気持ちを思い出してもらい、まずは見返りなく「与える」ことに注力しましょうとアドバイスしました。それが何よりの魅力につながるはずです。

 アユムさんは周囲からどのような役割を求められているのでしょうか。

 人からのニーズを客観視すると、自分が気づかなかった魅力を発見できるものです。それはたとえば「誰にも言えない話を打ち明けやすい気軽さ」かもしれないし、「特定の分野に詳しいカリスマ性」かもしれません。

 こうしてまずは人に求められていることに応えることで一定の人間関係が築けます。

 もちろん、そのニーズは相手によっても違うでしょう。本来、誰かから求められることほど幸せなことはありません。

 相手からお返しがあるかないかではなく、ここのフェーズではひたすら「自分はこの世の中に何が与えられる人間なのだろうか? 貢献できることはなんだろうか」とシンプルに考えていきます。

 次のステップとして、この関係を維持していくフェーズで、対等な関係を目指しても遅くはないでしょう。自分が与えた分だけ相手からお返しがくるとか、お互いに困ったときに力になり合うとか、自分が相手を気遣うのと同じぐらい相手も気遣ってくれるかどうかを見ながら、少し人間関係を絞っていってもいいでしょう。私たちの時間や体力や気力は有限なのです。

 アユムさんは、友達から頼まれたことを笑顔でこなし、感謝されることで、他人との信頼関係を築くことができました。たとえば、友達にノートを借りたいと言われたときに、快く貸すことで相手にアユムさんの親切心が伝わりました。

 また、アユムさんは友達が困っているときに助けを申し出たり、話を聞いて共感することを心がけました。

 もちろん中には、アユムさんが尽くす立場にばかり立たされる不平等な関係が生じることもありましたが、同じように返してくれる仲間にも出会えました。

 こうした過程でアユムさんはこれまでの自分がいかに人間を上か下かで見ていたか、自分が他人から搾取ばかりしようとしてきたか、そしてそれが相手からは透けて見えるかということを実感しました。

 徐々にではありますが、アユムさんは平等な関係を築ける友達との付き合いが増えて、そうでない関係は自然にフェイドアウトしていきました。アユムさんは言います。

「まずは与えられる人間になることから始めないといけないんだな。与えて損をするとかそんなことを怖がっていたら何も始まらない」

 こうしてアユムさんは、前より友達付き合いに自信を持つことができました。親友ができる日も近そうです。

〈 「なぜカバンがいつも重くなるの?」不安でいろいろ持って行ってしまう…図書館司書の30代女性が抱える“お困りごと”の解決策は 〉へ続く

(中島 美鈴/Webオリジナル(外部転載))

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