「なぜカバンがいつも重くなるの?」不安でいろいろ持って行ってしまう…図書館司書の30代女性が抱える“お困りごと”の解決策は
文春オンライン / 2025年1月3日 11時0分
写真はイメージ ©︎AFLO
〈 「なぜ、僕には親友がいないんだろう?」インフルエンサーと繋がって人脈を広げたいのに…10代男子学生の“純粋な悩み” 〉から続く
やらなければいけないことを先延ばしにしてしまった。大事な手続きや持ち物を忘れてしまった。そんな失敗を繰り返して「私はだらしない人間だ」「情けない」「恥ずかしい」とがっかりしてしまうことはありませんか?
ここでは、普段からADHD(注意欠如多動症)の大人にカウンセリングを提供し、自身もADHD特性のある臨床心理士・中島美鈴さんが、実際に担当されたケースをいろいろ混ぜた架空の人物の「お困りごと」を解決する 『仕事も人生も、これでうまく回る!不器用解決事典』 (朝日新聞出版)より一部を抜粋。
「コンパクトな荷物でお出かけしたいのに、なぜカバンがいつも重くなってしまうんだろう?」と悩んでいる30代司書の女性に対して、中島先生が提案する解決法を紹介します。(全4回の4回目/ 最初から読む )
◆◆◆
シオリさん(30代、図書館司書)のぼやき
かばんの中に傘、スマホの充電器、充電コード、ワイヤレスイヤホン、水、のど飴、絆創膏など多くの物が入っていて、いつも重く肩も凝ってしまいます。出先でなかったら困るかもしれないという不安があって持っているんだけれど、実際にはほとんど使わないものばかり。
コンパクトなかばんで出勤やお出かけすることに憧れます。
なんで、こうなるの?
荷物の多い人の背景には、優先順位がつけられないことや、過去に忘れ物をしてひどい目に遭った経験による不安があると思われます。
シオリさんは、必要なものと不必要なものの区別ができていないので、かばんの中にものを詰め込みすぎてしまい、実際には使わないものも多く入れることになります。
しかし、その背景には、学生時代に忘れ物をして𠮟られた経験があるのです。それ以来、シオリさんは、いつもランドセルや学生かばんにすべての教科書を入れて登校しました。かなり重かったのですが、そのおかげで忘れ物をせずに済んだのです。
大人になった今でも「念のために」とあれもこれも持ち歩かないと不安なのです。重い荷物を毎日持っていると、肩も凝るし疲れます。シオリさんはもっとおしゃれでかわいい小さなバッグで出かけてみたいなと思っています。
必要なものから優先順位をつけて荷物をコンパクトにしよう
まず、かばんに入れるものの優先順位をつけ、本当に必要なもの、いつも使うものだけを持ち歩くようにします。かばんの中に入れたいもの(または、今現在かばんに毎日入れているもの)をリストアップし、必要なものから順に優先順位をつけます。シオリさんにとっては、「どれも大事だしなあ」とこの作業が難しいようです。
そこで、優先順位のヒントを示します。優先順位1位は、「ないと絶対に困るもの」です。たとえば鍵やお金などがそれに該当し、施錠せずに出かけるわけにもいかないし、お金がないと目的地まで行けないというように行動に支障を来たしてしまう必携アイテムです。交通系ICカードやスマホは最悪なくても、お金があればなんとかなります。しかし人との待ち合わせがある場合などはスマホもこの第1位に入るでしょう。現在服用中の薬も重要です。
優先順位2位は、「あれば生理的欲求を満たすことができて窮地に陥らない、現地調達が難しいもの」です。たとえば、かかりつけの病院で処方されている、それほど頻繁には起きない片頭痛やめまいなどの頓服薬などがここに含まれます。持っていると落ち着くお守りなども入ります。
優先順位3位は「生理的欲求を満たすことができて窮地に陥らない、現地調達が場所によっては難しいもの」です。たとえば暑さや寒さの調節のための上着、雨を凌ぐための傘、生理用品、水などがそうです。
いかがでしょうか? こうして書き出してみると「まあ、なくてもやっていける」「困ったら現地で買える」「誰かに分けてもらえる」などといろんな対処があると気づけるでしょう。
こうした視点で見るといつも「絶対に化粧ポーチは必要」と思い込んでいたシオリさんですが、実際には通勤の移動中に化粧直しをすることなどほとんどなく、リップもパウダーも会社の昼休みにちょっと使うぐらいでした。使っていない物は家に置いておき、たとえば歯ブラシや筆記具、メイク直し道具など職場でしか使わないものは職場のロッカーなどに置いておくことで、かばんの中身が減らせます。
さらに、折りたたみ傘や充電器などは軽量でサイズの小さなものを選ぶと、もっとコンパクトになります。
これまでシオリさんは、「何か忘れ物があると大変ことになるかもしれない」と世の中全般に対して不安を抱きがちでしたが、持ち物に優先順位をつける作業を通して「忘れてもなんとかできる。私はもう大人になったんだから」と自分を信じることができました。シオリさんのかばんはずいぶん小さいもので足りるようになり、気持ちも軽くなりました。
(中島 美鈴/Webオリジナル(外部転載))
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