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「マンネリとする声も…」それでも郷ひろみ、石川さゆりが紅白に出場し続けるワケ

文春オンライン / 2024年12月30日 7時0分

「マンネリとする声も…」それでも郷ひろみ、石川さゆりが紅白に出場し続けるワケ

郷ひろみ ©時事通信社

「昔の大ヒット曲を繰り返し歌う歌手は必要なのか」論争。もう十何年も前から、紅白の出場者が決まると、沸き起こる議論である。

 紅白の常連の一人が郷ひろみ。51年前の1973(昭和48)年に「男の子女の子」で初出場してから、何度かブランクがありつつも、今年で37回目の出場を果たしている。特に2015年ごろからは、「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」か「GOLDFINGER'99」の歌唱が多く、自然とこちらもエキゾチックジャペアオオンかアチチ、どちらかの雄叫びとジャケットプレーを待ち構えるようになっている。

郷ひろみの出場をマンネリとする声も…

 彼の出場をマンネリとする声もある。しかし結局、郷ひろみが出るとテンションが上がるのだ。名は体を表すというが、GOGOGO!と場の空気を前向きに持っていく郷の高揚感、瞬発力は唯一無二。出番がトップバッターや2番手が多いのも頷ける。エンジンをかければ即フルスロットルになる彼のモチベーションは、「幕開け」にふさわしい。

 2017年から2019年は、楽屋から登場し、その年話題になったスポーツや輝いた人をモノマネなどで表現する芸人たちと絡みつつ、歌いながら小走りにステージに向かうスタイルが定着。私も勝手に「その年の流行や明るい出来事を、走る郷ひろみと振り返るコーナー」として銘打ち、楽しみにしていた。

 これが毎回続くと思いきや、昨年は趣を変え「2億4千万の瞳~ブレイキンSP~」。パリ五輪から正式種目に加わるダンス競技「ブレイキン」のダンサーたちとパフォーマンスし、補助ありながら片手倒立の技「マックス」を成功させていた。

そろそろ郷ひろみのバラードをガッツリ見たい

「(ダンサーから)楽しんでやることを教わりました」――。郷のこの69歳とは思えない謙虚さと身体能力とチャレンジ精神は、見るだけでエネルギーをもらう。もはや「郷ひろみが若手以上に弾ける姿」そのものが一つのエンタメである。これから高齢者が全人口の多くを占める時代になっていく日本。彼のように、年齢を重ねてもパワフルかつハッピーに現役として挑戦を続ける人は、どんどん求められていくことだろう。

 2024年を振り返ってみても、80年代とは違ったカッコよさを見せた柴田恭兵と舘ひろし主演の映画『あぶない刑事』、90歳の草笛光子主演の映画『九十歳。何がめでたい』も大ヒットとなった。朝ドラ「おむすび」で主人公の祖父役をする松平健が出す圧倒的な明るさも話題だ。郷ひろみを毎年紅白で観る、というのも同じ意味がある。経験を積みながらもなお成長を止めず、時代を楽しく生きていく、一つ上の世代の「陽」から、心強さと安心感をもらえるのだ。

 今年の曲目も、「2億4千万の瞳」。ただ「放送100年 GO!GO!SP」というサブタイトルの通り、来年迎える放送100年にちなみ、NHKが長年蓄積してきたアーカイブ映像に、郷のパフォーマンスを絡ませるというから楽しみだ。郷が船長をつとめる“時空の旅”、目が足りないくらいブチ上がることは間違いない。

 ただ、郷ひろみの名曲はテンションの高い曲ばかりではない。彼はバラードの名手でもある。2016年(第67回)紅白の、土屋太鳳とコラボレーションした「言えないよ」の名演が記憶に残っている人も多いだろう。あの、舞台を一瞬にしてロマンチックに染める歌唱力と表現力。彼が持ち前のパッションで紅白のテンションをあげるのももちろん楽しみだが、そろそろバラードを歌う郷をガッツリ堪能したい。「逢いたくてしかたない」「哀愁のカサブランカ」を聴く準備はいつでもできている。

紅白の常連と言えば石川さゆり

 そしてもう一人、紅白の常連と言えば石川さゆりである。彼女は1977(昭和52)年から連続出場。今回で48年目、47回目の出場となる。紅白の歴史の半分以上を体験している計算だ。これは偉業と言えるだろう。

 さらに特徴的なのは、2007年から、「津軽海峡・冬景色」と「天城越え」を交互に披露するルーティン状態となっていること。しかし、飽きられるどころか、もはや年末の風物詩となっている。紅白歌合戦は見ないが、石川さゆりの歌唱の前後だけチャンネルを合わせる、という人もいるほど。常に気鋭のアーティストとコラボして、同じ曲ながら、新鮮な迫力を生み出しているのも、一つの要因だろう。加えて、彼女がフィナーレで必ずつける、新年の干支のヘッドアクセサリーもまた話題。年越し前の一つのお楽しみとなっている。

なぜ「津軽海峡・冬景色」「天城越え」の2曲?

 ただ、石川さゆりの「2曲ルーティン」という選曲はNHK側からの要望で、ご本人的には複雑なのだそうだ。確かに2曲以外のヒット曲も多く、新曲も積極的に出していることを考えれば、そちらを歌いたい思いもあるだろう。2021年、KREVAとMIYAVIとのコラボレーション「火事と喧嘩は江戸の華」は最高にエキサイティングだったにもかかわらず非常に短く、「津軽海峡・冬景色」に切り替わってしまったため、もっと長い尺で聞きたかったという声も非常に多かった。

 2023年にリリースされた新曲「ダメ男数え唄」も、大泉洋をはじめとした盛り上げ上手の白組歌手が応援に入る演出をすれば、おおいに盛り上がった気がするので、非常にもったいない。私自身「津軽海峡・冬景色」「天城越え」を聴かねば年を越せない体になっているのは確かだが、バリエーション豊かに歌う彼女も観たいというせめぎあい。なんとももどかしい。

 そしてついに今年、2曲のルーティンを崩し、震災に苦しんだ能登に向けて、1977年の名曲「能登半島」を歌う。力強い応援になるはずだ。

 歌う除夜の鐘。そんなレベルで、石川さゆりの歌はある。

同じ曲をアップデートし、素晴らしいパフォーマンスに!

 流行歌の定義が大きく変わる昨今。サブスクリプションが一気に普及したことで、歌に「時間、時代」の概念が薄まりつつある。プレイリストに浮かんでくる懐メロは、若者にとっては、もう懐メロではなく、新曲のように愛される時代なのだ。

 そういった意味で「昭和から色あせず愛される、素晴らしい歌とパフォーマンスを、年を越す際にその良さを改めて知り、次の時代に語り継ぐ」――。それもまた、紅白歌合戦の大きな見どころになる。今回の、イルカ、南こうせつ、THE ALFEEの出演は、その岐路にふさわしい。今回なぜか名前が見えない鈴木雅之や、2009年に「後進に枠を譲りたい」と紅白を勇退した布施明も、もう一度、返り咲いてほしい。

 もちろん、若手、中堅とのバランスを考えるのは大前提だが、同じ曲でも、毎回常に素晴らしいパフォーマンスを見せてもらえるという安心感と信頼があれば、それは、なくてはならない楽しみと化す。

 郷ひろみと石川さゆりのエネルギッシュなステージが、今年も楽しみだ。

(田中 稲)

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