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「コンビニまで15分かかるから会社を辞めた」大企業に新卒入社→わずか2か月で退職…早稲田卒のエリート女性(23)が明かす、年収も地位も捨てた“本当の理由”

文春オンライン / 2024年12月28日 11時10分

「コンビニまで15分かかるから会社を辞めた」大企業に新卒入社→わずか2か月で退職…早稲田卒のエリート女性(23)が明かす、年収も地位も捨てた“本当の理由”

早稲田卒のゆいにゃさん23歳 ©杉山秀樹/文藝春秋

〈 偏差値76の名門女子校→早稲田法学部→大企業を“たった2か月”で退職…年収も地位も捨てたエリート女性(23)が語る、自信がなかった学生時代 〉から続く

 新卒で入社した大手IT企業を2か月で辞め、転職先のベンチャー企業はわずか1週間で退職したコンカフェ嬢のゆいにゃさん(23)。中学・高校は「女子御三家」の一角・女子学院で過ごし、その後、早稲田大学法学部に現役で合格。いわゆる“エリートコース”を歩んできた。

 そんなゆいにゃさんが、なぜ安定した年収と職を捨てるに至ったのか。短期間で2度も会社を辞めた“本当の理由”とは? 本人に話を聞いた。(全3回の2回目/ 3回目に続く )

◆◆◆

少しずつ自信を取り戻した大学時代

――中高時代は、成績が悪いことで劣等感に苛まれることが多かったそうですが、早稲田大学ではどんな生活を送っていたのでしょうか。

ゆいにゃ すごく充実していました。フットサルしないフットサルサークルに入って、毎日のように飲み歩いていましたね(笑)。でも、卒業に必要な単位はきちんと取っていたし、簿記や宅建などの資格もいくつか取りました。

 大学生活を通して、「私、やればできるじゃん!」と少しずつ自信を取り戻せたように思います。

――その頃には、中高時代に苛まれていた劣等感はなくなっていたのですか。

ゆいにゃ 今振り返ったら、中高時代の私は「完璧」にとらわれて余裕をなくしていたなって。大学生になって、自分と向き合う時間ができて、やっと自分を客観的に見られるようになりました。

 それだけじゃ解決できないこともあったから、「専門の病院に行って、メンタルの不調と向き合おう」と思ったんです。先生に話したり、薬を飲んだりしている間に、「完璧じゃなくてもいいんだ、自分のペースで頑張ればいいんだ」と、少しずつ自分を受け入れられるようになっていきました。

公認会計士を目指しながら就職活動も開始

――今は人と比べることはなくなった?

ゆいにゃ うーん。正直に言うと、今も周りと比べて落ち込むときはあります。だって、世間一般からすると、学校にも会社にも馴染めなかった私は、どう考えても社会不適合者ですから。でも、「そんな私だからできることもあるよね」とは思えるようになりました。

――ゆいにゃさんは、新卒で大手IT企業に入社していますよね。就職活動時の話も聞かせていただけますか。

ゆいにゃ 最初は、公認会計士を目指していたんです。

 大学生って、暇じゃないですか(笑)。だから、簿記や宅建を受けてみたのですが、特に簿記の勉強が面白くて。どうせやるなら、難関資格の公認会計士を目指してみようと思って、周りが就職を考える大学3年生のときから、勉強を始めました。

大学4年で就職先が決まらず「ヤバい」と焦って…

――しかし、新卒で入社したのはIT企業ですよね。何があったのでしょうか。

ゆいにゃ 会計士の勉強を始めたものの、想像以上に覚えることが多くて、メンタルがやられちゃったんですよね。少しお休みしてから勉強を再開したのですが、今度は試験の直前に盲腸になってしまって……。

 体は辛いし、大事な時期なのに勉強できなくてどんどん焦りは募るしで、心身ともにダウンしちゃって。

 その時は4年生の5月で、ほとんどの同級生たちは就職先が決まっていました。当時の私は、「安定した職に就くのが親孝行だ」と思っていたから、まだ何も決まっていない状態の自分に「ヤバい」と思って。

 でも、公認会計士になることも諦めきれてなかったから、働きながら資格取得を目指せないかな、と少しでも会計に関われそうな会社を中心に受けていました。そして、ご縁があった金融系のIT企業に就職することになったんです。

――周りから少し遅れてのスタートだったとはいえ、結果的に大手企業に就職していますよね。「女子学院卒なら、大学は早慶以上に行かなきゃいけない」と思っていたときのように、「早稲田卒なら、大手企業に入らなければいけいない」という固定概念はあったのでしょうか。

ゆいにゃ いい大学に行って、いい会社に入るのが“成功”なんだろうし、親孝行なんだろうな、とは思っていました。でも、大学の友達には良い会社に行く人もいれば、学んだことや学歴とは関係ない仕事に就く人もいて。

 学歴にとらわれない選択をしている人が周りにいたから、中高時代のように思い詰めることはなかったです。

メディアで「コンビニまで15分だったから退職した」と発言して炎上

――入社したIT企業は、どんな会社でしたか。

ゆいにゃ 社員数が多くて、全国に支社があるような、まさに「大手企業」と言われる会社でした。年次に応じて順当に給与は上がっていくし、社食や寮などの福利厚生もしっかりしている。

 私は入社してすぐに開発部に配属されたのですが、入社1年目は座学で勉強しているだけだったから、ほぼ定時で帰れたんですよ。

――条件を聞くと、働きやすい環境のように思うのですが、なぜ入社2か月で辞めることになったのでしょうか。

ゆいにゃ 以前メディアに出演させてもらったときは、「新卒で入社した会社は、コンビニまで15分だったから退職した」というエピソードを話して、案の定炎上しました。でもこれも「MARCHに人権はない」と同じで、一部を切り取っているだけなんですよね。

「毎日のように泣きながら両親に電話していた」大企業入社後に抱えていた“苦悩”

――詳しく教えていただけますか。

ゆいにゃ 大学は文系学部だったし、人と話すのは割と好きな方だから、営業部への配属を希望していたのですが、実際に配属されたのは地方にある開発部。最初は、「定時に帰れるから、家に帰って公認会計士の勉強ができるじゃん」と前向きに捉えていました。

 でも、全く知らない土地で、気軽に話せる人もいない。入居した寮は古くて扉がちゃんと閉まらず、虫が入ってくる。周りは林に囲まれた田舎で、よく言えば自然が豊かだけど、気分転換に遊べるような場所も近くになくて……。

 寮から自転車で15分のコンビニで買うビールだけが日々の救いで、仕事が終わったら毎日のように泣きながら両親に電話していました。

――その時、ご両親はどのような反応だったのでしょうか。

ゆいにゃ 「そんなに辛いなら、辞めてもいいんだよ」と言ってくれました。でも、先ほどもお話ししたように、当時の私は「安定した職に就くのが親孝行だ」と思っていたから、入社してすぐ辞める決断はできなくて。しばらくは泣きながら会社に行っていました。

適応障害が悪化…入社2か月で退職した“本当の理由”

――社内に相談できる人はいなかった?

ゆいにゃ 地方配属だったから、気軽に相談できるような同期はいなかったですね。上司には相談していましたが、「まずは3年頑張ってみよう」と言われて、その言葉通りに頑張るつもりではいました。

 でも、日に日に体調が悪くなっていく。「これはまずい」と思って病院に行ったら、適応障害だと診断されました。先生からは「少し仕事を休んだほうがいい」と言われ、休職の申請に必要な診断書を書いてくれて。

 上司に休職の相談をしたら、「まだ研修期間中だから休職制度は使えない」と言われてしまったんです。それは仕方のない事実だから、しばらくは心身の不調を抱えながら出社していました。その結果、適応障害が悪化してしまって、2回目のドクターストップが出たんです。

 就職したばかりの会社を辞めたくはない。でも、心と体が追いつかない。少しだけでいいから休みたいけど、就職したばかりで休める制度がない。ものすごく悩みましたが、「健康が何よりも大事だ」と判断して、入社から2か月で退職することに決めました。

「体が動けなくなってしまって…」転職先も1週間で辞めてしまったワケ

――退職したあとは休めましたか?

ゆいにゃ 6月6日に仕事を辞めて、すぐに転職活動を始めて。それから6月21日には内定をもらって、急いで引っ越しや就職準備を進めたんです。7月1日から新しい会社で働き始めたので、結局休む暇はほとんどなかったですね。

――「安定した仕事に就かないと、親を安心させられない」という考えがあったからでしょうか。

ゆいにゃ そうですね。だから、再就職先が決まった時は嬉しかったです。でも、その会社でも心身が追いつかなくなってしまって、働き始めて1週間後には動けなくなってしまって。

 そのときに「体を壊してまで、組織にしがみつく必要はない」と思うようになり、会社員として働くことを諦めました。

撮影=杉山秀樹/文藝春秋

〈 「社会を舐めてる」「だから若者はダメなんだ」とネットで炎上…大企業を“たった2か月”で辞めた早稲田卒のエリート女性(23)が、世間の批判に思うこと 〉へ続く

(仲 奈々)

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