「もう帰れ!」「ルールを覚えられない…」人気急上昇アーティスト・4s4ki(アサキ)が人と同じようにできない自分に落ち込んでいた学生時代
文春オンライン / 2024年12月29日 11時0分
作詞・作曲のほか編曲やトラックメイクも一人でこなし、舞台音楽でもその才能を発揮するなど今最も注目を集めるミュージシャンの一人の4s4ki(アサキ)。海外でも大きな注目を集める彼女だが、ここに至るまでの道のりは平坦ではなく、学生時代には「人と同じようにできない自分」に落ち込むこともあったという。彼女を苦しめたものは一体何だったのか?(全4回の1回目/ ♯2 、 ♯3 、 ♯4 を読む)
◆◆◆
おもちゃより先に楽器で遊んでいた
――このインタビューが始まる直前までピアノに没頭されていましたが、とても美しい旋律でした。
4s4ki すみません! 全く気が付かなくて。
――3歳からエレクトーンを習っていたそうですが。
4s4ki 母とショッピングモールへ買い物に出掛けたときに楽器屋でエレクトーンを見つけて、「これやりたい」って。おもちゃより先に楽器で遊んでいました。いろんな音が出るし、テレビゲームや鬼ごっこと違ってルールも無いから、一番楽な遊びだったんでしょうね。当時、習い事としてちょっと流行っていたし。
――4s4kiさんは現在26歳。今から23年くらい前ですね。
4s4ki 地元の近くにヤマハ音楽教室があって、同じように通っている同級生もたくさんいました。私は楽譜が読めなかったから先生の音を聴きながら覚えて弾いていたんですが。
――“絶対音感”をお持ちなんですか?
4s4ki うーん、そこまでじゃないかな。“聴いたら何とかなる音感”くらい?(笑)。いま思えばそれがのちの作曲やアレンジ能力に繋がったみたいで。でも、中学校に上がるくらいの頃、エレクトーン教室をクビになっちゃって。
――と、いうと?
4s4ki 教室行くにも教材のバッグを丸ごと何回も家に忘れたり。「お月謝がもったいない!」みたいな感じでお母さんにクビにされました(苦笑)。
――当時の4s4kiさんはどんな子どもでしたか?
4s4ki 何でもすぐに興味を持ってはすぐに辞める子だった気がします。やっぱり当時流行っていた一輪車とかおじいちゃんが作ってくれた竹馬も1日ぐらいで飽きちゃう。あと、ルールがあることが上手く出来なかった。ルールを覚えられないから。
意図的でもなく悪気もなく、頭からすっぽり抜けちゃう
――でも、学校には校則や時間割など、ルールが溢れていますよね。
4s4ki だから学校とはすごく相性が悪かった。ランドセルや靴を忘れて学校まで行っちゃったり、反対に、上履きのまま帰っちゃったりしたし。あと、時間通りにあまり行けないし、提出物とか親への連絡帳なんかも、やるのも持っていくのも忘れちゃうし。もちろん子どもだし面倒くさいときもたまにはあったんだけど、ほとんどの場合、意図的じゃなければ悪気もなくて、本当に頭からすっぽ抜けちゃうんです。でも、すごく怒られていました。私、世の中の1998年生まれの人間の中で一番、小学校の先生から「もう帰れ!」って言われた子だったんじゃないかな。
――ちなみに「もう帰れ!」と言われたら、どうされていたんですか?
4s4ki 最初はマジで帰ってたんですけど、親にいっぱい怒られて。「ああ、ほんとに帰っちゃだめなんだな」と理解して。
――当時、先生もお母さんもADHD=発達障害という意識は全く無かったでしょうし、そもそもADHDという言葉自体も、今日のように知られていたわけではないし。
4s4ki そうですね。成績表にも、「いつも笑顔で挨拶の声が大きくて活発な子です」と書かれる一方、「周りが見えていない」とか書かれていましたね。あと、得意科目と苦手科目の差がすごくて。
いま思い返すと、あれって嫌われてたのかな?
――得意科目は何でしたか?
4s4ki 小学校のときは国語と音楽と図画工作。算数と理科が極端にできなくて、数学はガチで0点獲ったこともあったし、マジで分かんなかったです。
でも、ぶっちゃけ、私、小学生のときはそれも何とも思ってなかった。悪いとか、悲しいといった気持ちも無くて。でも、成長するにつれて、人と同じように物事ができない自分に落ち込むようになっていって……。
――中学から高校という思春期のあたりはどんな感じでしたか?
4s4ki 幸いなことに友だちは割といたんですが、いま思い返すと、あれってすごく嫌われてたのかな? とか、もしかしていじめられていたのかな? みたいなことも結構あって。当時は、「自分のことでみんなが笑ってくれてうれしい」としか捉えていなかったんですけどね。
相変わらず忘れ物もしちゃうし、時には忘れ物をしていることや、怒られたことすら忘れてしまうし。家族もやっぱり思うところがいっぱいあったようで、学生時代は険悪になった時期もありましたね。
“音楽が降りてくる瞬間”じゃなくて「過集中」という症状だった
――4s4kiさんは今年10月にリリースされた「頑張り屋さんだから愛して」という曲を発表する際に、SNSでADHDであることを公表されました。当時、ご家族の間でも思い当たる節はありましたか?
4s4ki 真面目な家族だったので、たまに私を見て、「だらしない」と言っていたことがありました。実際、私自身、性格的に怠惰な部分も結構あるので、一概に全てがADHDのせいとも言えないのかな? という思いもありますが、ADHDという言葉が世間で知られるようになって、実は母自身も、私と似たような気質だったことに気付いたそうで。「そういえば、私も『だらしない』とか言われてたの」と話してくれましたね。
――ADHDの特徴的な象徴は、不注意、多動性、衝動性といった3つに大きく分けられるそうですが、ほかにも、今にして思うと、「あれはADHDの影響だったのかも?」といったことはありましたか?
4s4ki めちゃめちゃありました。たぶん私は注意欠陥障害の要素も大きいんですが、一番大きいのが衝動性でして。それこそ分かりやすいもので言えば軽はずみな失言とか、衝動的な行動から併発してしまった精神疾患もありました。
あとは過集中。それこそ、さっきまでピアノを弾いていたときも周りが見えなくなっちゃっていたんですけど、私、ライブの時も記憶が全く無いときが結構あって。楽曲制作も、作業が進むときは鬼のようなスピードで大量に曲が出来上がるんですが、その間、ほかのことが何も出来ない。日常生活も超ぐちゃぐちゃで、あまり寝ないし、トイレまでノートパソコンを持ち込んで作業し続けちゃう。自分では、かなり最近まで過集中の時間を“音楽が降りてくる瞬間”だと捉えていたんですが、どうも勘違いだったみたいで。反対に、何も出来ないときは本当に全く何も作れなくて。
――4s4kiさんがADHDだと診断されたのは?
4s4ki 本当につい最近、今年(2024年)の3月でした。最近はADHDという言葉も度々耳にするようになりましたけど、3月の診断の前までは、別の病院で複数の精神性疾患と診断されていたし、自分でもそう思い込んでいました。でも、実はADHDが全ての元凶で、ほかはそれに付随して併発した精神疾患だったことが分かって……。
撮影 深野未季/文藝春秋
〈 「もう死ねば解決じゃん」「飛び降りちゃおう」「首絞めちゃおう」気鋭のミュージシャン・4s4ki(アサキ)を苦しめていた“ある疾患” 〉へ続く
(内田 正樹)
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